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青少年の健康増進に対する運動の効果|研究と現場からの考察

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はじめに

現場の理学療法士として日々痛感しているのは、青少年の心身の健康問題が深刻化していることです。特に気になるのが運動習慣の二極化で、毎日汗を流す子どもと、ほとんど体を動かさない子どもの差が広がる一方です。臨床でも、運動不足から来る姿勢の悪さや体力低下を訴える若者が増えています。

本稿では、Domaradzki氏ら(2025)のPEER-HEART研究やWu氏ら(2025)の研究を基に、青少年の健康に対する運動効果について解説します。臨床経験を踏まえつつ、日本の現状に合った実践的アプローチも提案したいと思います。

青少年を取り巻く健康課題

運動習慣の二極化

スポーツ庁の調査を見ると、日本の子どもたちの運動習慣が明確に二極化していることがわかります。特に中学女子は顕著で、「ほとんど運動しない」生徒が約2割もいます。「よく運動する子」と「ほとんど運動しない子」の差は極端です。前者は週420分以上(1日60分)、後者は週60分未満(1日8分)という状況です。

リハビリの現場でも、この差を実感します。運動部の子は筋力や柔軟性が高く、怪我からの回復も早いです。一方で、運動をしない子は基本的な動作さえぎこちなく、軽い負荷でもすぐに疲労します。

笹川スポーツ財団のデータでは、青少年の運動実施状況に大きな変動はないものの、運動する子が微減し、しない子が微増する傾向があります。これは将来的な健康リスクにつながる懸念があります。同調査によれば、12〜21歳の約76.8%が「健康である」と自己評価していますが、運動不足の子どもは将来、様々な健康問題を抱えるリスクが高いことを知ってほしいと思います。

メンタルヘルスの課題

臨床でも感じるのは、若者のメンタルヘルス問題の増加です。実際、うつ病やストレス関連障害の患者は年々増えています。2011年には厚生労働省が「4大疾病」に精神疾患を追加し「5大疾病」としたことからも、問題の深刻さがうかがえます。

Wu氏ら(2025)の研究では、内在化問題行動(うつや不安など)と外在化問題行動(攻撃性や衝動性など)が青少年の学業成績や社会的適応を阻害することが指摘されています。リハビリテーションの現場でも、メンタルヘルスの不調が身体機能の回復を遅らせることをよく目にします。

運動が青少年の健康に与える効果

身体的健康への効果

Domaradzki氏ら(2025)のPEER-HEART研究は、実際の臨床に応用できる貴重な知見を提供しています。この研究では、学校ベースの高強度インターバルトレーニング(HIITおよびHIPT)が青年期の体脂肪率、血圧、心肺機能に与える影響を調査しました。307人の健康な青年を対象とした8週間の介入で、次のような効果が確認されました。

青少年の健康増進に対する運動の効果|研究と現場からの考察

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