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ゴルフにおける傷害予防の現在地 ― 現在利用可能なプログラムと開発中の研究の展望 ―

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目次

はじめに

世界で8000万人以上が楽しむゴルフ。年齢を重ねても続けられるスポーツとして親しまれていますが、実は特有の傷害リスクを抱えています。主な傷害部位は脊椎、肘、手首、手、肩で、その多くが繰り返し動作による慢性的なオーバーユース傷害です。

サッカーにはFIFA 11+という確立された傷害予防プログラムがありますが、ゴルフではどうでしょうか?実は現在でも「ゴルフの傷害予防に関するランダム化比較試験は存在しない」(Gladdines et al., 2022)というのが現状です。しかし、臨床現場で働く私たちには、エビデンスに基づいた予防的介入が求められています。

本記事では、今使えるゴルフ傷害予防プログラムの特徴や効果、そして現在進行中の研究について詳しく解説します。明日からの臨床で活用できる実践的な内容をお届けします。

ゴルフ傷害の実態を知る

どんな怪我が多いのか?

ゴルフでの傷害発生率は意外に高く、アマチュアで15.8〜40.9%、プロでは31〜90%という報告があります(Thomas & Wilk, 2023)。注目すべきは、なんと82.6%がオーバーユース(使いすぎ)による傷害で、急性外傷は17.4%に過ぎません。

よく見る傷害部位(頻度順)

  1. 腰部・脊椎(やっぱり一番多い)
  2. 手首・手部
  3. 肘部
  4. 肩部
  5. 膝部

なぜ腰を痛めやすいのか?

ゴルフスイングは「スポーツで最も難しい動作の一つ」と言われています。実際、腰椎には相当な圧縮負荷がかかることが知られています(Gladdines et al., 2022)。現代的なスイングで重視される腰と体幹の分離(X-ファクター)は、パフォーマンス向上の一方で傷害リスクも高めてしまいます。

特にアマチュアゴルファーは筋活動のばらつきが大きく、スイング時の負荷も高いため、準備運動なしでのプレーは危険です。

現在使えるプログラム①:Golfer's Foreシリーズ

3段階で構成されたプログラム

Thomas & Wilk (2023)が開発したこのプログラムは、一人でも実施できるよう工夫されており、レベル別に3つのプログラムが用意されています。

ゴルフにおける傷害予防の現在地 ― 現在利用可能なプログラムと開発中の研究の展望 ―

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