キャリアコンサルタントが徹底サポート

「離床なきリハ」減算案に診療側が懸念──ALS等への配慮求める

4238 posts

本日(1月28日)、中央社会保険医療協議会(中医協)総会が開催され、前回積み残しとなっていたリハビリテーション関連の個別改定項目について議論が行われました。 焦点となったのは、疾患別リハビリテーション料で提案されている「離床を伴わない訓練」への減算規定です。診療側委員からは「神経難病患者など、医学的にベッド上訓練が必要なケースへの配慮が必要だ」と、一律の制限に対して慎重な運用を求める意見が相次ぎました。その他、回復期リハ病棟の除外基準や新設加算の医師要件など、現場の運用に関わる議論をまとめます。

1. 疾患別リハ:「離床できない患者」への評価で注文

今回、診療側から具体的な懸念が示されたのが、疾患別リハビリテーション料の見直し案です。 厚労省案では、「離床を伴わずに行うリハビリテーション」について、所定点数を減算した上で、上限単位数を「1日2単位」に制限する方向性が示されています。

「医学的に必要なリハビリまで制限されかねない」これに対し、診療側委員(日本医師会・江澤和彦常任理事)は、28日の総会で懸念を表明しました。 同委員は、「ADLが回復する過程には、どうしてもベッド上でリハビリを行わなければならない時期がある」と指摘。さらに「ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経難病患者では、医学的に離床が困難で、ベッド上でのリハビリを実施せざるを得ない方が多くいる」と実態を強調しました。

その上で、「こうした患者に対し、必要なリハビリ提供が一律に制限されることになれば、すなわち患者さんを見放すことになりかねない」と述べ、医学的必要性を考慮した除外規定などの配慮を強く求めました。

2. 回復期リハ:「成果が出にくい症例」の扱いで議論

回復期リハビリテーション病棟の「実績指数」を巡っても、支払側と診療側の間で議論が交わされました。

支払側:「基準値引き下げは最小限に」健康保険組合連合会の松本真人理事(支払側)は、リハビリの「質」と「結果」を適正に評価すべきとの立場を示しました。 今回提案されている「運動機能の改善があまり期待できない患者を重症患者割合の対象から除外する(=実績指数の計算対象に含める)」方向性については理解を示しつつも、それによって実績指数の基準値が下がることについては牽制。「引き下げは最小限にとどめ、アウトカム向上につながる適切な水準に設定すべき」と述べました。

診療側:「FIM20点以下でもSTが必要な患者がいる」一方、日本医療法人協会の太田圭洋委員(診療側)は、除外基準の変更に際して配慮を求めました。特に「運動FIMが20点以下の患者」を除外対象から外す案について、「運動FIMが低く身体機能の改善が見込みにくい患者の中にも、失語症や高次脳機能障害を有し、言語聴覚療法(ST)を集中的に行う必要がある患者が多数存在する」と指摘。一律に「成果が出にくい」として扱われることで、受け入れが抑制されないよう制度設計を要望しました。

3. 新設「強化体制加算」と医師確保の課題

回復期リハビリテーション病棟入院料1を対象に新設される「回復期リハビリテーション強化体制加算」についても、要件面での課題が指摘されています。

泌尿器科医の確保に懸念 日本歯科大学の小坂知子委員は、同加算の要件に「排尿自立支援加算の届出」が含まれている点に言及しました。現行の排尿自立支援加算は、泌尿器科医の関与など要件が厳しく、算定ハードルが高いのが実情です。 小坂氏は、「回復期リハ病棟でこの加算を必須化すれば、泌尿器科医の奪い合いになりかねない」と指摘。「研修を受けた医師でも可とするなど、要件を柔軟にしないと現場が回らない」と、現実的な対応を求めました。

4. 急性期再編:「地域包括医療病棟」との併設制限

急性期入院医療の再編についても議論が続いています。 診療側の太田氏は、新設される「急性期病院一般入院基本料B(地域密着型の急性期)」について、地域包括医療病棟との併設を認めない案に対し、「地域のニーズに応じて病棟構成を選択できるよう、ケアミックスを認めるべき」と要望しました。対して支払側の松本氏は、急性期機能の集約化を進める観点から、事務局提案(併設制限)を支持する姿勢を見せています。

まとめ・今後の展望

一連の議論では、リハビリテーションの「質」と「効率」を求める支払側に対し、診療側が「臨床現場の多様性(難病・失語症など)」を根拠に、画一的な制限への配慮を求める構図となりました。診療側からは医学的必要性を考慮した除外規定などの配慮を求める声が上がりました。今後の答申に向け、これらの意見がどのように反映されるか注視が必要です。

▶︎中央社会保険医療協議会 総会(第645回)

「離床なきリハ」減算案に診療側が懸念──ALS等への配慮求める

Popular articles

PR

Articles