厚生労働省は31日、「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査」の速報を公表しました。17~39歳の男女15,845人が回答し、就職・転職にあたって知りたい企業情報の最多は「男性の育休取得率」(30.7%)でした。「自分の職場は子育てとの両立がしやすい」と感じている人は「今の職場で働き続けたい」との回答が78.0%と、そう感じていない人(33.1%)を44.9ポイント上回っています。
同じ7月31日には令和7年度雇用均等基本調査の結果も公表されました。産業大分類「医療、福祉」の事業所では男性の育児休業取得率が55.9%と全体(50.9%)を上回る一方、男性の育児休業・育児目的休暇の取得率を公表している事業所は21.8%にとどまります。若年層が最も知りたがっている種類の数字を、医療・福祉の職場の8割近くは外に出していないことになります。
調査の枠組み
意識調査は、共働き・共育ての推進を目的とした厚労省の広報事業「共育(トモイク)プロジェクト」の一環として実施されたものです。全国の17~39歳の男女(高校生・大学生などの学生および社会人)を対象としたWEBによる定量調査で、回答数は15,845人。調査期間は2026年6月13日から17日までで、性年代別等の人口構成に合わせたウェイトバック集計が行われています。
設問ごとに対象者が異なる点に注意が必要です。就職・転職で知りたい情報や共育てへの意識は全回答者(N=15,845)が対象ですが、実際の働き方や職場に求めることは「子どもがいる社会人」(N=1,247)に限られます。今回公表されたのは速報段階の結果です。
両立のしやすさで、定着意向が44.9ポイント違う
目を引くのが、職場の両立のしやすさと定着意向の関係です。
「今の職場は子育てとの両立がしやすい」と回答した層(N=761)では、「働き続けたい」「どちらかというと働き続けたい」の合計が78.0%。「両立しにくい」と回答した層(N=165)では33.1%で、その差は44.9ポイントでした。

職場の両立のしやすさと今の職場で働き続ける意向(厚生労働省「若年層における仕事と育児の両立に関する意識調査(速報)」17ページより)
調査は職場環境と定着意向の関連を示したもので、両立のしやすさが定着を生んだという因果関係まで示したものではありません。ただし、両立しにくいと感じている層では「働き続けたくない」「どちらかというと働き続けたくない」の合計が52.9%と半数を超えており、離職意向と結びついている状況がうかがえます。
希望する働き方の実現状況にも段差があります。子どもが生まれるまでは「希望する働き方ができていた」層が66.4%だったのに対し、生まれたあとは50.6%に下がりました(子どもがいる社会人、N=1,247)。低下幅は女性で大きく、女性は72.7%から51.5%へ、男性は60.5%から49.7%へと変化しています。
ハードルは制度の不足ではなく「業務量」
子育て期に希望する働き方を実現するうえでハードルになりそうなこととして挙がった上位は、「業務量が多い」37.8%、「長時間労働になりやすい」37.3%、「突発的な業務が多い」32.3%でした(学生および現在子どもがいない社会人、N=11,817)。
これに「上司・管理職の理解が得にくい」28.5%、「勤務時間を柔軟に調整しにくい」28.3%が続きます。一方で「育休や短時間勤務などの両立を支援する制度が十分でない」は17.1%、「育休・短時間勤務中に業務を代替する体制がない」は14.6%と、いずれも上位には入っていません。

希望の働き方を実現する上でハードルになりそうなこと(同調査15ページより)
すでに子育て中の社会人が企業や周囲に求めることでも、順位は近い並びになりました。「業務量の適正化」37.5%、「仕事と子育ての両立についての上司・管理職の理解促進」32.5%、「長時間労働・残業の削減」29.6%、「制度を利用しやすい雰囲気づくり」27.6%が上位です(N=1,247)。制度そのものの充実を挙げた回答は、「育休・短時間勤務などの制度の充実」22.9%にとどまりました。
制度そのものの拡充より、日々の業務量と管理職の理解を挙げる回答が上位に並んだ形です。今回の調査は業種別・職種別の集計を示していないため、リハビリ現場に当てはめた数値ではありませんが、当日の入退院やキャンセルで担当と単位数が組み替わる働き方において、上位の「業務量」「突発的な業務」が身近な項目であることは確かでしょう。






