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第二回:先入観が邪魔をする【小児リハに携わり40年|理学療法士 三沢峰茂先生】

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診断名が作り出す先入観

― 小児のリハで難しいと感じる部分をどのような部分にありますか?

 

三沢先生 乳児や幼児は自分の状態を説明できませんよね。ですから、PTが診ながらそれを判断していく必要があります。問診は、本人というよりはお母さんと話をして、日常生活の中で困っていることや気になっていることを聞きます。

 

初めに、お母さんと子供の関りを観察し、更に気になる所を直接評価して何をしたらよいか、仮説を立てていきます。

 

評価にあたっては、出来るだけ先入観をもたないように気を付けながら、関わるようにしています。

 

以前、小児症例検討をしていた時のことですが、不随運動を伴う混合型の症例でしたが、緊張の強い痙直型の症例と思い込んで訓練をしていたため、その子供が示す不随意運動に気づかず見逃していることがありました。

 

乳児期から訓練を行っていたお子さんが、歯科を受診したときに「この子は、顎の発達が良いですね」と言われたことがありました。日頃の関りでは、口の中をしっかり見ることがなく、指摘されて初めて口腔の発達と訓練との関連に気づかされたこともありました。

 

 多くの職種が関わる、チームアプローチの大切さを認識した機会になりました。

 

飲む機能の発達からわかる必要な機能と理学療法士の関わり方

 

― 小児領域の摂食·嚥下リハビリテーションについて教えてください。

 

三沢先生 食べるとか飲むとか、最初はおっぱいを飲むことから始まりますが、「飲む」機能に必要な口の動きは妊娠8週目から9週目の胎児期から発達が始まっています。

今では胎内の様子を超音波で、診ることができるようになっており20週目くらいになるとは、指をしゃぶったり、羊水を飲んだりしています。

 

胎児期からおっぱいを飲む能力を発達させていますので、生後2、3日もするとリズミカルに飲むことが出来るようになります。

 

生後6ヵ月頃になると首や上半身がしっかりして、喉頭部が下がってきます。

 

そうすると、飲み物が空気の通路でもあり食物の通路でもある同じ通路(咽頭部)を通過するため、誤嚥のリスクも出てきます。食べ物を咀嚼し嚥下する能力は、頭のコントロールや体幹の重力に抗した運動能力とも関連が大きいのです。首のすわりが遅い子供や身体が不安定な子供は摂食·嚥下機能の発達が遅れたり問題になることも少なくありません。

 

 

それが脳性麻痺や低緊張の子達は、首のコントロールが遅れがちです。

 

例えば、天井を見るように首を上に向けて、つばを飲み込もうとすると、姿勢だと飲み込みにくいですよね。

 

首をまっすぐに起こしておけると、はじめて飲み込みがしやすくなります。

 

 

施設では、医師·言語聴覚士・栄養士・調理師とも連携して、食形態や栄養面の配慮等の介入も理学療法士も食事場面に加わり、また姿勢や運動、呼吸機能の面からも関わるようにしてきました。

 

【目次】

第一回:悪いとわかっても公言できない社会

第二回:先入観が邪魔をする

第三回:教授回診について回る

最終回:PTとしての専門の知識だけではトータル的なケアはできない

 

三沢先生オススメ書籍 

ソロモンの指環―動物行動学入門 (ハヤカワ文庫NF)
Posted with Amakuri at 2017.11.12
コンラート ローレンツ
早川書房

 

三沢峰茂先生のプロフィール

 

【出身校】

東京都立府中リハビリテーション学院卒業    

京鍼灸柔整専門学校卒業

 

【職歴】

東京女子医科大学病院

横浜市総合リハビリテーションセンター

町田市医師会訪問看護ステーション

 

履修研修等

ボバース神経発達学的治療法講習会修了

ボイタ法セラピスト講習会修了

NPO法人日本ボイタ協会インストラクター

日本摂食·嚥下リハビリテーション学会認定士

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