【85%の原因不明の腰痛はこれだ】突撃!編集長の辛口書評ー非特異的腰痛のリハビリテーションー

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さまお待ちかね、辛口書評のお時間です。辛口にも関わらず、いつも贈呈いただける著者様、出版社様には感謝申し上げます。でもそこは、理学療法士会の毒蝮三太夫こと編集長のイマイ(@shunta0701)ですので、忖度なしに書評させて頂きます。…しかし、似顔絵を自作しましたが、僕はこんな顔だっただろうか…。

 

今回は、以前(肩関節痛・頸部痛のリハビリテーション )も贈呈いただきました三木先生編集の書籍でございます。その名も、非特異的腰痛のリハビリテーション (痛みの理学療法シリーズ)。やたらと“豪華”な執筆者の方々が。

 

おそらく、三木先生はまた辛口コメントをもらうだろうから、このような“豪華”は布陣を引いてきたのだと思います。こんなにも、“豪華”な執筆者だと流石に辛口というわけにもいきません。正直怖いので。

 

ただ、そんなんで引き下がるイマイではございません。三木先生がその気ならと、こちらにも考えがあります。その名も、直撃取材。洗いざらいこの書籍の“裏側”を暴いてやろうと思っています。では、その模様をご覧ください。

編集長イマイ
三木先生突然すいません。書籍届いて読み終わりました。ちょっと物申したいことがあるので、本日はよろしくお願いします。見たところによると、コンクリート打ちっ放しのステキなお宅ですね。

 

三木先生
いえ、イケメンイマイさんの顔を観ながら話ができて光栄です。壁は、ただのシートです。

 

編集長イマイ
(…イケメンて…。辛口批判されないための布石を早くも…)いえいえ!そんなことないですよ!イケメンだなんて恥ずかしい!では、先生が編集されましためちゃくちゃ面白い書籍について質問させてください!早速ですが、今回の趣旨は非特異的腰痛とのことですが、昔の論文で「85%の腰痛は原因不明である*1*2」という例のやつですよね?

 

*1https://jamanetwork.com/journals/jama/article-abstract/399079

*2https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJM200102013440508?url_ver=Z39.88-2003&rfr_id=ori:rid:crossref.org&rfr_dat=cr_pub%3dpubmed

 

三木先生
そうです。書籍にも書いてありますが、原因不明というのは解剖学的・構造学的に異常が見つからないという前置きがあります。

 

編集長イマイ
断片的に捉えて、原因不明だということばかりが、日本中を騒がせましたよね。要するに画像所見がないってことでいいでしょうか?

 

三木先生
そうですね。85%原因不明といえばインパクトありますからね。メディア特有の情報操作です。画像上問題ないですが動きや心理社会的要因を評価すれば、ある程度原因を特定できる、いわば理学療法士が主役になれる分野だということです。

 

編集長イマイ
(…POSTは操作していません)ある意味、誤って伝わった情報へのアンサー書籍ともいうべきものですね。やはりこれは、オーストラリアで学ばれた経験からですか?

 

三木先生
そうですね。オーストラリアで受けた教育では当たり前に学んでいる内容が、まだ日本では紹介されていなかったので、出版社の方に協力いただきながら2~3年ほどかけて作成しました。

 

編集長イマイ
また執筆者も豪華ですね。贅沢に執筆依頼されましたね。

 

三木先生
本当そうですね。各分野のプロフェッショナルにお願いできたのは、非常にありがたかったです。

 

編集長イマイ
(…やっぱり僕に辛口コメントさせないつもりだな…)海外では、非特異的腰痛をどのように捉えているのですか?

 

三木先生
私はオーストラリアで勉強していたので、世界各国の隅々まではわかりませんが、非特異的腰痛つまりは手術のいらない腰痛は、理学療法士が担当する分野ということが根付いています。

 

編集長イマイ
すでに海外では当たり前のことなんですね。あの論文も90年代に書かれたものですもんね。

 

三木先生
そうですね。すでに議論され尽くされて、今がある状態だと思いますので、日本は10年以上遅れていますね。

 

編集長イマイ
10年!?当時生まれた子が、10歳になる年月ですね(…やばい、意味不明な返ししか浮かばない…)こう遅れてしまうのも、日本の医療制度が関係しているのでしょうか。

 

三木先生
そうだと思います。非特異的腰痛では日本で保険点数取れませんからね。画像所見優位かつ診断名ありきの保険制度ですから、非特異的腰痛は日本では馴染めないものですね。

 

編集長イマイ
海外ですと非特異的腰痛はなんて呼ばれているんですか?

 

三木先生
Non specific low back painですね。海外ですと診断名としてNon specific low back painとつくことはあります。診断名で保険がつくわけではないので、日本ほど診断名が重要ということではないのかと思います。

 

編集長イマイ
ある意味日本では、その“レッテル”が重要ということですものね。

 

三木先生
そうです。それをラベリングというのですが、ラベリングをすることでミスリードにつながってしまうというのが、日本の問題点の一つだと思います。

 

編集長イマイ
実は、僕も腰痛がありまして、遡ること4年前、ハイクリーンをやっていた時に、魔女の一撃をいただきました。それから、こんな仕事ですから、度々腰痛があります。ちなみに、ここに書かれている検査をやってみましたが、CSI31点でマイルドでした。。

 

三木先生
仕事のストレスですかね。笑 この書籍にも書かれていますけど、急性腰痛つまり生物医学的な問題が起きた時に、適切な対応を取らないと慢性化すると書かれています。

 

編集長イマイ
(…クレームに毎日怯えています…)

 

三木先生
急性腰痛後、3ヶ月以上持続するものを慢性疼痛と定義していますが、急性期の対応が不十分だと起こります。運動的な部分もそうですが、恐怖だったりの心理社会的要因がここでは関わってきますね。

 

編集長イマイ
(…編集長といっても中間管理職ですからね、上からの圧力と部下からのシカトでストレスが溜まったのだと思います…)今回の書籍の内容とは異なりますが、急性腰痛に対する対応の重要性もまだ理解が進んでないということですね。

 

三木先生
そうですね。通常、急性痛は風邪のような側面があって、2週間ほどで自然寛解すると言われています。そこに対して、徒手対応を評価せず行うと、慢性化させる原因の一つになります。ここでの対応は、誤った情報を患者さんに与えないということが重要です。「絶対安静です」とか。

 

編集長イマイ
三木先生は現在、ツーリングを楽しむために東京から札幌の整形外科に移られましたが、職場の方には理解が広まっていますか?

 

三木先生
笑。そうですね。職員には全員買ってもらいました。職場内での共通認識のツールとして、腰痛に関しては理解が進んでいると思います。

 

編集長イマイ
この書籍の監修者には、勤務先の院長先生も入られているようですね。

 

三木先生
はい。院長はバリバリOpeをしますが、非常に理解ある先生で、この書籍の監修をお願いする時に、非特異的腰痛の概念等を説明すると「知らなかった」ということで、この書籍を通じて、ご理解いただけたと思います。それからは、非特異的腰痛の方が来院すると、理学療法士に任せてくれることが多くなりました。

 

編集長イマイ
すごくいい流れですね。ただ、非特異的腰痛は非常に多岐にわたる分野の理解が重要だと思います。今回、全ページカラーで動画まで付いていますから、このページ数に収めるのは大変だったのではないでしょうか?

 

三木先生
そうですね。ですから、今回の書籍は概要的なことを中心に書いていて、そもそも非特異的腰痛を知らない人向けに書いています。

 

編集長イマイ
書籍を読まさせていただいて、若い方向けに書かれている書籍ということですが、書籍内には診断名で書かれていないため、どのようにこの参考書を使用すればいいのかわからない人も出てくるのではないか、という懸念点があります。日本では、診断名があって、それに対するテストバッテリーがあって、というプロトコール重視の面があるので、まずこの書籍をどう読めばいいのかわからない人がいるのでは、と思います。

 

三木先生
まず重要なのは、非特異的腰痛という定義を理解した上で、診断名にとらわれず評価しようという理解が産まれるといいですね。逆に、明らかな下肢症状があったりなど、特異的腰痛もありますので、全てを非特異的腰痛としないように注意してほしです。

 

編集長イマイ
つまり、この書籍で紹介されていますClassification(分類)特に、OCSに書かれている流れ通りに評価をしていくという理解でいいですか?

 

三木先生
そうですね。それを道しるべにして行っていただければわかりやすいかと思います。ただ、これが絶対というわけではなく、Classificationはいくつかあります。その中でも今回は、心理社会的問題まで含んだ分類が行われている、Classification(OCS)を日本で初めて紹介しました。

 

編集長イマイ
できれば、様々あるClassificationを全世界共通のものにしてもらえるとありがたいですね。

 

三木先生
それは重要だと思います。非特異的腰痛はOpeをしても良くならないことはわかっています。つまり、理学療法士が主役になれる分野だということです。しかも、腰痛は運動器でいうと一、二位を争う障害です。そして、その中の85%が非特異的腰痛ですからね。

 

編集長イマイ
運動器を専門とする理学療法士であれば、全員が理解していないといけない分野ですね。

 

三木先生
現在は、手技が表舞台に立って、手段が目的化しているように感じます。そうなれば、技術の方の中に症状を当てはめてしまう傾向になるので、手技はそのままで、それを始める前段階の評価、理解として今回の書籍を使ってもらえたらと思います。

 

編集長イマイ
確かにそうですね。では、この参考書を手にした時、1章〜6章までを順番に読んでいけば良いですか?たまに、医学書となると現在自分が受け持っている患者さんに対して重要な情報を抜き出そうと、部分的に読む方も多いと思います。

 

三木先生
今回、編集していく中で目次にはすごくこだわりました。この一冊がストーリーになるように、目次を考えているので、1章から順番に読んでもらえればと思います。

 

編集長イマイ
これ読んでいて思ったのですが、腰痛と聞くと未だ徒手療法のイメージが強いと思います。ただ、書籍では書き方的に「movement障害」に対しては効果はあるようですが、その他は効果がないという理解でいいですか?

 

三木先生
そうですね。例えばmotor controlに対しては、徒手療法ではなくて、運動療法や認知面に対するアプローチが中心になってきますし、原因に応じて、手技を選択するのが有効だと考えます。

 

編集長イマイ
これは、養成校の授業で習えるといいですね。

 

三木先生
僕の場合は、オーストラリアの授業で習った内容です。ここまで詳しくはないですが、そうなるのが理想ですね。

 

編集長イマイ
ありがとうございます……。んー、あのーオチが依然として見つからないのですが…。

 

三木先生
笑。 すいません真面目な話ばかりで。

 

編集長イマイ
せっかくなので、この書籍の“裏”情報を教えてください。すごく“ダーク”なやつ。

 

三木先生
裏情報ですか?では…

 

と、本日はここまで。と言っても、今回だけです。最後に、裏情報を聞き出したのですが、あまりにもオチにならないので、バッサリとカットいたしました。

 

どーしても、“ダーク”な情報が欲しくて、隅から隅まで書籍を読み倒したのですが、結局見つけたのはこれです。

 

 

書籍の最後、“裏”ページにあります、三木先生の紹介画像が異常に“暗い”

 

こちらからは以上です。

 

三木先生をはじめ、この書籍に関わられた全ての方々に、この場をお借りし感謝申し上げます。

 

三木先生編集の最新刊

非特異的腰痛のリハビリテーション (痛みの理学療法シリーズ)
非特異的腰痛のリハビリテーション (痛みの理学療法シリーズ)
Posted with Amakuri at 2018.11.13
赤坂 清和, 竹林 庸雄, 三木 貴弘
羊土社
【85%の原因不明の腰痛はこれだ】突撃!編集長の辛口書評ー非特異的腰痛のリハビリテーションー

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