外出のハードルを下げるWHILL モビリティが叶える移動した先の世界

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患者さんのHOPEが「買い物に行けるようになりたい」「近所の友人に会いに行きたい」だった場合、あなたはどのようなアプローチを提案するでしょうか?

 

「T字杖歩行がもう少し安定したら」

「シルバーカーで〇〇m歩けるようになったら」

 

上記のように歩行能力向上を目標に設定して、下肢や体幹機能訓練のメニューを考える人は少なくないと思います。

 

実際、理学療法の臨床場面において、「移動能力の獲得」は優先順位の上位に挙げられることが多いです。

 

しかし、リハビリの本来の目的に立ち返って「身体的、精神的、社会的に最も適した生活水準の達成を可能」にすることを考えた場合、必ずしも身体的な回復のみが目的ではないこと気付きます。

 

パーソナルモビリティに乗れば、誰でもいつでも自身の力で外出することが可能になります。外出のハードルが下がり、移動したその先のアクティビティーを楽しむことができるようになることで、精神的・社会的な健康に繋がるとは思いませんか?

 

今回、パーソナルモビリティを開発しているWHILL株式会社の営業部、石原朝子さんに利用状況やその機能など詳しくお話を伺いました。

 

 

若い人でも、障害がなくても乗りたくなる

 

ー WHILLを数年前と比べて、ずいぶんと街中で見かけることが増えましたね。脊髄損傷やALSの方に使われていることが多いイメージがあるのですが、実際はどんな方に利用されているのですか?

 

石原 疾患別でみると脳血管障害の方が5割、変形性関節症などの整形外科疾患の方が3割くらいです。WHILLの立ち上げ当初は、比較的重度の障害をお持ちの方に利用されていることが多かったのですが、最近は要介護1以下の比較的動ける方であったり、64歳以下の前期高齢者の方にも多く利用いただいています。「免許返納した後の乗り物として使いたい」という声も多く聞かれます。

 

 

WHILLは世間でいう電動車椅子ですが、私たちはパーソナルモビリティと呼んでいます。「車椅子」というと、どうしても身体に何か障害があって、それを補完するために乗るものというイメージがあると思いますが、パーソナルモビリティは自転車やバイクみたいに、どこかに行きたいから使うものです。

 

身体が不自由な人だけでなく、誰もが乗りたくなるような、新しい移動手段のカテゴリー、移動インフラになることを目指しています。

 

ー なるほど。ノーマライゼーションの考え方に近いですね。

 

石原 そうですね。私がこの会社に惹かれて入ったのは「フラットな世の中を作りたい」という考え方にすごく共感したからです。

 

高齢の人も若い人もみんながモビリティーに乗るようになると、周りから見たらその人が、何かしらの疾患を抱えているなんて分からなくなりますよね。そうなると、物理的なバリアだけでなく、「車椅子ユーザー=気の毒な人」という心のバリアもなくなると思います。

 

WHILLの原点は、創業者たちが出会ったある車椅子ユーザーに言われた言葉です。相模原のリハビリセンターに通っていた方が「100メートル先のコンビニに行くのをあきらめる」とおっしゃったそうです。

 

その方は、行動力があり社交的な人でしたが、車椅子に乗っていることで、自分がどういう人間かに関わらず気の毒な人という目で見られる、それが苦痛で外出をあきらめてしまっていました。

 

それならデザインとテクノロジーの力で、誰もが乗りたくなるようなカッコいい車椅子を作ろうということでWHILLのプロジェクトが走り始めました。

 

横にも回転する特別な前輪

 

ー WHILLの機能面の特徴を詳しく教えてください。

 

石原 まずWHILL Model AとWHILL Model Cがあるのですが、今は軽量でかつ普及価格帯のモデルCを利用される方が多いです。

 

 

マウス型コントローラーの上に手のひらを乗せて、前後左右に動かしていただくことで直感的な操作が可能です。特徴はこの縦だけではなく横にも回る特別な前輪、オムニホイールです。

 

 

24個の小さなタイヤの組み合わせでできており、小さいタイヤが一つ一つ真横に回ることで、365度その場で回転することも可能で、省スペースでの方向転換に非常に適しています。

 

本体自体も、幅550mm×長さ985mm×高さ740mm(フィッティング可能)とコンパクトな設計になっているため、歩道だけでなく室内でも快適に走行することができます。

 

また、一般的なものと比べて前輪が大きいことと、高出力モーターによって、5cmの段差でもそのまま乗り超えることができます。

 

普通の車椅子だと、ウイリー操作で前輪を持ち上げたりしますが、それだとどうしても手が疲れてしまって外出が億劫になってしまいますよね。

 

WHILL Model Cは、それこそ神社の玉砂利やご自宅周りのでこぼこ道、草の上なんかでもラクラク走行が可能です。傾斜道でも左右のモーターが適切に制御することで、まっすぐ走ることができますし、手を離せば坂道でも自動ブレーキがかかるようになっています。

 

ー 車に積むとなると、重量があってけっこう大変そうですね。

 

石原 モデルCは、工具不要でパーツを3つに分解することが可能です。(分解時の重量はシート部:約14.5kg、メインボディ部(後輪)が約20kg、ドライブベース部(前輪)が約14.5kg、バッテリー:約2.8kg)

 

週末の買い物や家族との旅行でも、車に乗っけて外出先で組み立てれば、そこでの移動も安心です。バラバラになるので家で保管しておく際に、玄関などにも省スペースで置くことができます。

 

 

ー 移乗に関しては、どうですか?

 

石原 モデルCは前輪が普通の車椅子より大きいので、片麻痺の方ですと普通の車椅子より少し大変かもしれません。

 

アーム部分の跳ね上げが可能なので、移乗に関しては斜めからお尻をうまくずらして乗ったり、スライディングボードを用いたりして利用していただいています。

 

ー あと、介護保健で利用可能なのか、補装具費支給制度は使えるのかも気になります。

 

石原 はい。介護保険制度を適用すれば、月額約2,700円でレンタルが可能ですし、補装具費支給制度で普通型電動車椅子が適していると判定された場合はWHILLを制度で購入することができます。

 

もちろん、自費でも購入いただくことも可能です。(メーカー希望小売り価格:45万円、非課税)

 

人生に彩りを

 

ー 「運動機会が減って、身体機能が落ちてしまうのではないか?」と危惧するセラピストもいる気がします。

 

石原 確かにそうおっしゃるセラピストや患者さんも多くいらっしゃいます。しかし、あくまで、患者さんの希望を叶えるための一つの手段として、パーソナルモビリティという選択肢を持っていただけると嬉しいです。

 

自宅に帰られたあとに、外出が大変だという理由で家に引きこもりがちになったら、リハビリを行う意味がなくなってしまいますよね。WHILLはリハビリをアシストしてくれる、相棒のような立ち位置でありたいと思っています。

 

 

この方は長野の白馬でロッジを経営している方なのですが、数年前に脳梗塞を患って、退院後はずっと寝たきりでした。

 

「動けないし、仕事もできない。俺なんかもうダメだ」と家族に当たることもあったそうですが、WHILLに乗るようになってからは、外出するようになり、奥様と夕日を見ながら散歩をしたりしているそうです。

 

国立公園にも頻繁に出向いて油絵を描き、2018年には個展も開催されました。モビリティによって、移動がもっと自由になることで、その人の人生に彩りができたらいいと思っています。

 

その方のQOLの向上にお役に立てるように、今後もWHILLというモビリティを使った彩りのある生活を、広めていければと思っています。

 

 

※ 勉強会等のお問い合わせは、WHILL株式会社宛てinfo@whill.jp にお願い致します。

 

【連載|ADLTech】

移動:WHILL〜モビリティが叶える移動した"先"の世界〜

コミュニケーション:OriHimeが創る参加2.0 外出の価値とコミュニティー

排尿コントロール:尿失禁・頻尿をテクノロジーで未然に防ぐ

食事:人工知能×嚥下測定で誤嚥性肺炎は予防できるのか

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