理学療法士×プログラミング
ー 小川さんがITに興味を持ったのはどういったキッカケだったのでしょうか?
小川 最初は単純に「面白そうだな」「副業にも繋がるかな」くらいの理由でした。無料の動画編集ソフトを漁ったりしていました。
新卒から4年間は、1000床ぐらいの急性期病院で働かせていただき、そこは呼吸器に力を入れていたので、先輩に優秀な方たちが多く自分も人工呼吸器に関する学会発表をしていました。プログラミングを学ぼうと思ったのも、研究でのデータ解析がキッカケで、3年目くらいのときだったと思います。
データを取得するのに、カルテを見返す作業があるのですが、何百件とあったりするので、メンバーを募っても1ヶ月ぐらいと多くの時間を費やしてしまいます。先輩方は本当に優秀な方が多かったので、その作業時間が浮けばもっと有益な時間の使い方ができると思いました。
カルテは情報課が扱っているデータベースと連携しているので、研究実施前に情報蒐集用のテンプレートを作成して、情報を収集するようにしてしまえば、1時間くらいで人の手も使わずにデータを取り出せてしまいます。
他にも、病院における医療のIT化は進んでおらず、課題感は感じていました。
ー 理学療法士でプログラミングを学ぶ人が増えてきたと思いますが、それに関して小川さんはどうお考えですか?
小川 プログラミングで何をするかというところまで考えた方がいいとは思います。
副業としてお小遣い稼ぎをするのも個人の自由ですが、それだけだと本業とは繋がらないですし、もったいないですよね。
ー それで、CaiTech社に入社するようになったキッカケを教えてください。
小川 その前に金沢QOL支援センターという訪問看護ステーションに勤めていたのですが、週一回は業務効率化やサイト運営を行うシステム担当として働いていました。
その時に、CaiTechの代表の武藤にコンサルタントとして関わっていただいていて、一度折り入ってお話を伺いたいと思い、食事に行かせていただきました。
武藤は、もともとエムスリー社の出身で、仕事のスピード感であったりビジネスのことであったり、医療介護業界で働いている自分とは、全然レベルが違くて、すごく焦りました。
また、ITを使ってイノベーションを起こしていくというのは、僕がやりたかったことに近く、ボランティアで手伝い始めたのがキッカケです。
業界内の問題を、外から解決する
ー 訪問看護ステーションでの業務効率化というのは具体的にどんなことをしていたんですか?
小川 例えば、実績の入力を社員がエクセルに毎回手動で入力する必要がありましたが、入力漏れも多く、結果的に管理者が全て月末に入力する状態となっておりました。また、エクセルは同時編集をするためにはアカウントが複数必要なのですが、個人ごとにはアカウントを持っておらず、順番待ちで入力する必要がありました。
そのような色んな課題に対して、まずはスプレッドシートを導入させていただいたり、Java Scriptというプログラミング言語を元としたGoogleAppsScriptを活用して自動化や通知機能の実装などをすることで解決を図りました。結果的に管理者一人当たりで年間200時間ぐらいの残業を減らすことができたと思います。
ー CaiTech小川さんが担当している業務内容について教えてください。
小川 CSに関しては、顧客の成功体験、つまりカイスケをどのように活用すれば現場の方々の負担を軽減し、最終的には利用者へのサービスの質向上に繋がるかを顧客と一緒に考えています。
事業所によって課題に違いはありますが、1番多いのがやっぱり採用や人材に費用がかかってしまうところです。
CSは、まず事業所へのヒアリングを通して、課題をあぶり出し、具体的な求人内容の出し方等を一緒に調整していきます。できる限り細かくタイムスケジュールをお聞きして、実際の現場の仕事に近いものを掲載しミスマッチが起こらないように工夫しています。
さらに、カイスケを一定期間利用された事業所様には、ワーカーからの評価やコメントをまとめて、分析した内容を提供することで、職場環境の改善にも活用いただいています。
PTとしての経験は、現場の困りごとを実際の経験を元に理解することができる点で役に立っています。
ー 最後に、若手療法士や学生に向けてメッセージをお願いします。
小川 もう少し業界外のことに触れてほしいなっていうのは、Twitterを見ていたりすると感じますね。悩んでいることの本質が「業界内にしか自分の居場所がない」とか、「こういう世界しかない」と思いこんでいる部分大きいように感じます。
特に、介護・医療業界でよく課題として上げられるマネジメントや業務効率化の課題は、業界外のプロフェッショナルに聞いた方が断然早いです。優秀な方が多く、相談すると簡単に解決してしまって驚かされることも多いです。
外の世界に触れるだけでも、自分のやりたかったことが見つかることもあると思います。
【目次】