大分県理学療法士協会の加入率はなぜ90%を超えるのか?【河野礼治先生】

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大分県理学療法士協会の活動

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ーー 大分県理学療法士協会の活動についてお伺いします。会長に就いたのはいつ頃ですか?

 

河野 今年で9年目ですね。

 

ーー 選挙とかはあるんですか?

 

河野 昨年初めて投票選挙が行われました。大分県理学療法士協会の財務部長に30年前になりました。理学療法士として3年目くらいですね。財務部長からはじまり学術部長などのいくつかの部長や社会局長や事務局長などいくつかの局長や多くの準備委員長を経て会長になりました(笑)。

 

会長になってから良かったと思うのはいろいろな士会業務を経験してから会長になったことですね。

 

ーー 大分の県士会には1300人程の会員がいますよね。

 

河野 年間100人程増えています。

 

ーー 大分県理学療法士協会への加入率は?

 

河野 90%程度ではないでしょうか。そこには自信があります。総会だけを単独で行っていますが、100人以上がわざわざ参加してくれるんです。そのためには努力もしています。

 

大分県は6つのブロックに分かれていまして、私たちは毎年そこを回ります。組織の話や学術的な話を2時間程おこなったり、説明に行ったりします。こっちに来てもらうのではなくこっちから行くようにしています。

 

情報を流すだけでなく、現地へ行って伝える事をしていました。学術も臨床教育プログラムを構築したくて。6つのブロックを同じ講師が同じテーマで回っています。

ここ2年程は私も組織的な話と学術の話のどちらともやらされていますが。こういった活動によっても加入率は高いのではと思います。

 

大分県士会の臨床教育プログラムについては自慢したくて聞いてほしいんです。

 

臨床教育研修としてチーム医療の中での心電図やリハビリ栄養などをナイトセミナーとして、とりいれてきました。その時は参加者が100人程度と増えて、今の若い人はすぐに使える知識をやっぱり求めているんだと感じました。

 

それで続けるべきなんだなと。

 

次年は応用編を実施しましたが、やはり多くの参加者でした。今年は、部位ごとでは繋がらないなと感じて、理学療法士の得意分野である運動と何かを繋げたいと思ったんです。

 

そこで運動をキーワードとしてやりたいと思いました。講師は30代の頑張っている理学療法士に講師を依頼して行いしました。運動と痛み、運動と脳、運動と心肺機能などテーマを考えて、それぞれの先生が内容を考えてくれて。

 

その先生たちからスライドを2枚ずつもらい、6つのブロックをまわる時に私が運動についての基本的な内容の研修をして、最後にその時の詳細として、そのセミナーを紹介すると、こないだの研修は300人程きたんです。

 

ーー 1300人の会員のうち300人も来られたんですか?

 

河野 そうなんですよ。凄いなと思いました。それに賛同してくれた若い人たちをみた時にやって良かったなと思いましたね。講師と受講生の会員さん達の頑張っている姿をみて、その人たちがさらに成長するのを考えると凄く嬉しかったですね。

 

ーー 協会の新人教育プログラムは大事ですが、本人たちが困っている事と運営してる人たちが作っているものには乖離がありますよね。また、病院という垣根を越えたつながりが出来ると連携もしやすくなりますよね。

 

河野 最近、日本協会は組織率が下がってきたと言います。それに対して会費の減免なども行われています。でも、私の考える事は少し違ってて、入り口は属している県士会となっていて、県士会の対外的、会員さん向けの事業内容などによっては入会しないのではとも思います。

 

理学療法士は日本協会と県士会のどちらにも入らなければいけないので。会費調整するのではなく日本協会や県士会で魅力的な組織を作らなければいけないとも思います。

 

ーー 民間のセミナー団体はどのくらい大分で行われていますか?

 

河野 あまり行われていませんね。交通事情等含めて、人が集まらないと思います。

 

ーー それが大分の県士会にとって強みですよね。県士会がリードして、そこに若い人たちが参加して、講師が育つという文化は素晴らしいです。こんなに組織として強い県士会はないんじゃないかなと思います。

 

河野 研修会の数も他県と比較して多いと思います。

 

ーー そうですね。今後、若い人が育ってきても素晴らしい組織になりますね。

 

河野 どこをみるかと言ったら平均年齢は32歳ですからね。1番多い世代が何を必要としているのかを考えなければいけないです。そこを日本協会も県士会も考えなければならないのかなと思います。

 

ーー ナイトセミナーはいくらで行っていますか?

 

河野 最近は無料ですかね。通常の学術部の県外講師の研修会は協会からいくらか出して参加者がいくらか負担していただいています。県内講師の時は、ほとんど参加費無料で行っています。

地域との関わりで感じたこと

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ーー 大分県士会は地域包括ケアシステムとスポーツ分野に力をいれていると伺いましたが。

 

河野 地域包括ケアシステムの中の「地域ケア会議」について、大分県の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の協会が一緒になって、日本POS協会主催の地域ケア会議の模擬ケア会議を含めた研修会で全国を4カ所まわる事になっています。

 

介護給付上昇率が前の第4期から5期では日本で1番高かったんですが、第6期の時は、上昇率が日本で1番低くなったんです。

 

県が本腰で地域ケア会議実施に向けて取り組み、リハ専門職等も助言者として係わって、平成24年から始めて結果が出ました。ただ、給付額はまだ平均より高く、県はそれを抑えたいといっています。

 

地域ケア会議助言者では、理学療法士や作業療法士、歯科衛生士、栄養士の団体が協力する話になりまして、今でもすごく良い関係ですね。懇親会も楽しくやったり、県の担当課の方や関連課長さんも来たりして。職能団体の会長たちも仲が良いんです。それが1番良いですね。それがあるから大分県が上手くいっていると思います。

 

ーー 地域ケア会議を行って職能団体や県などでは変化がでていると思いますが、末端や地域性としてはどのような変化が起きていますか?

 

河野 地域ケア会議をやり始めて、助言者としてサービス事業書にいくと、ひどく感じる事があります。市町村のコーディネーターの人が言うのですが「この方は訪問リハでは何をするのですか?」と聞いて事業所のセラピストが「屋外歩行です」と答えるんです。

 

コーディネーターが「屋外歩行ならセラピストじゃなくてもできますよね」と言うのでおっしゃる通りだと思います。

 

また違う例では、転倒で入院した廃用の患者さんが在宅に帰るので、歩行器のレンタルと住宅環境を整えたいと言うのです。疾患がないのになんで病院で杖歩行まで行わないんですか?と聞いてもバランスが悪いからと言います。なんでバランスが悪いんですか?と聞くと「それはわからないですが」と言います。

 

また、1年やっていても歩行状態が変わらないんですと。それは、考え方、やり方が間違っているのではないかと感じる事が多いんです。今からは医療、介護に係わるセラピストの考え方が変わらないと大変な事になるのではないかと気になりますし、その質をあげていかなければいけないと感じます。

 

ーー スポーツではどんな事をされていますか?

 

河野 県士会組織としては、高校野球や高校サッカー、県テニス協会、県陸上協会等にトレーナーサポートを行っています。

 

私自身、数年前まで国体の空手競技に帯同をしていたんです。監督が栄養士を通じてトレーナーを捜しているようで理学療法士を紹介したのですが私も行く事になりまして。

 

結局紹介した理学療法士が途中で帰る事になり、私のみがサポートすることになりました。テーピングなんてしばらくやっていなかったので、運動学的に考えてなんとか乗り越えて焦った記憶があります(笑)大分国体まで携わりました。僕のなかで勉強になりましたね。

 

患者さんはセラピストを選べないけど、スポーツ選手は自分のパフォーマンスをあげたいからしっかりセラピストを選んでくる。

 

あの姿を見た時と「勝ちました・負けました・すみません・ありがとうございました」っていうのをみると、いい事を選手から学んだなと感じました。空手の監督が陸上の監督と仲が良くてお誘いがあったので陸上競技にも組織として関わる事になりました。

 

ーー 河野先生が突っ走る感じですね。大分県士会会長として、線路を作ってそれを下に任せつつ組織が作り上がっているんだなと。

 

河野 そうしないと若手は育っていかないんですよね。

 

ーー ふるさと納税のような制度があったら私は大分県に支払います。2万円あったら、1万円を本部に入れて、東京都に5千円、大分県5千円という感じで。そうすると都道府県士会の努力している度合いが分かりますよね。

 

河野 他県士会や他組織の良いところの方法を聞いて参考にして大分県士会でも取り入れてみたりできるじゃないですか。良いところは取り入れてみて2年やって効果的でなければ、やめてみたり。

 

以前に事前研修会をやったことがありました。福井先生が研修会で皮膚のことを話すときに、福井先生は色々なことを学んでそこにたどり着いているけど、その過程が参加者にはないので、そこに対して事前研修をしました。

 

でも参加者は両研修会に来なければいけなくて、参加者があたふたしてしまったりして、上手くいかなかったのです。その計画は1年だけで終わりました。

 

ーー 逆をやってみるのも良いかもしれないですね。自分たちがどのような理論を使ってやってみるとどうなんだとか。でも素晴らしいです。

 

河野 それも良いですね。ニーズ収集とニーズ変化に対応することは重要と考えます。

 

 

河野礼治先生

【所有資格】

理学療法士

【経歴】

高知リハビリテーション学院 卒業

新別府病院 技師長

公益社団法人大分県理学療法士協会 会長

公益社団法人大分県作業療法士協会 理事

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