令和6年度介護報酬改定に対する3協会の要望​まとめ|全文文字起こし

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2日第226回社会保障審議会介護給付費分科会が開催され、令和6年度介護報酬改定における各関連団体の要望を伝え、ヒアリングが行われた。今回はPTOTST3協会の合同要望のまとめと、当日の模様を全文文字起こししたものを掲載。

多職種協働の重要性

まず、多職種協働の中での理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の役割について、具体的な事例を通して説明。この事例では、特に介助が必要な入浴行為に焦点を当てた。

各職種の貢献

・理学療法士: 身体機能や移動動作の評価と訓練

・作業療法士: 入浴動作、更衣動作の評価と訓練、福祉用具の適合、環境調整

・言語聴覚士: コミュニケーション手段の検討と伝達

これらの専門職が協力し、効率的な介助方法を共有することで、必要最小限の適切な介助が可能となった事例を提示。

成果と展望

この協働により、患者は週3回自力で入浴が可能となり、外出への意欲も向上した。さらに、家族との買い物やドライブを楽しむようになったと報告。

認知症への対応

特に認知症患者に対しては、症状に応じた早期からのリハビリテーションが重要。FAST3やFAST4の段階で早期介入が可能であれば、生活行為の改善と維持が期待できる。

*FAST(Functional Assessment Staging of Alzheimer's Disease)はアルツハイマー型認知症の進行度、重症度を評価するためのスケール。

現状の課題

しかし、現状では、介護施設においてこれらの専門職が十分に配置されていない状況がある。特に、給与水準が低いため、優秀な人材の確保が困難。

要望

このような背景から、リハビリテーション専門職の給与水準の引き上げを要望。また、処遇改善加算のような明確な仕組みの導入を強く要望した。

▶︎https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35427.html

当日の要望内容を全文文字起こし

ご紹介頂きました日本作業療法士協会会長の山本と申します。本日は貴重な機会をいただき誠にありがとうございます。それでは、日本作業療法士協会・日本言語聴覚士協会・日本理学療法協会より提案事項等を述べさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。ご提案する内容は以下の流れとなります。
1,は3協会より、その後は各協会からの報告になります。多職種協働の中での、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の機能と役割について入浴という生活行為に着目しその改善を得た事例でご説明いたします。

この事例では、特に介助量が大きい入浴をなるべく自分で行いたいという希望がございました。その目標を達成するために、理学療法士は身体機能や移動動作の評価と訓練など、作業療法士は入浴動作、更衣動作などの評価と訓練。福祉用具の適合、環境調整など。言語聴覚士はコミュニケーション手段の検討と伝達などを行います。その上で効率的な介助方法について他職種と協働し情報共有いたします。それにより統一した必要最小限の適切な介助内容で支援が行われました。その結果介護職のみの支援で入浴が週3回行えるようになり、外出への意欲が向上。家族との買い物、ドライブを楽しむ様になりました。このように医師の指示のもと対象者にあった一つ一つの生活行為に丁寧に関わり、さらに多職種協働によって自立支援、重度化予防を目指すことができます。

認知症の人への支援とリハビリテーションでございます。この図はアルツハイマー型認知症の機能評価尺度を表しております。FAST3は軽度認知症障害の段階です。仕事などの複雑な社会的場面の遂行に支障が出てしまいます。FAST4は軽度アルツハイマー型認知症の段階です。具体的には冷蔵庫の中に賞味期限の切れた食品を溜め込んだりするなど、段取りをつけること計画的な買い物などの行為が困難となります。軽度アルツハイマー型認知症と称される状態では、IADLの遂行に躓くことが特徴的であり早期から理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が関与することで、生活行為の改善と維持が可能であることを示唆されております。つまり、認知症の状態像に応じてリハビリテーション専門職による適切な支援体制の整備が必要となります。

介護施設に従事する理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は、医療施設に比べて半数に満たない状況にあります。特に言語聴覚士・作業療法士の数が少ないことから、現状では3職種が揃った機能を発揮できていないという状況でございます。私たちの調査では、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3職種を配置している通所・訪問リハビリテーション事業所は、共に約3割となっております。配置体制に関わる各種加算の取得を見ますと1職種より2職種。2職種よりも3職種の配置の方が算定する事業所割合が高くなっております。

介護保険領域における理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の従事者数が少ない要因の一つに給与の問題がございます。医療職の中でも給与水準がこの20年間横ばい状態であり、他の職種とは伸び率に大きな差が生じております。やはり処遇が改善されなければ優秀な人材の確保が困難となり、生活期におけるリハビリテーションの質の低下につながりかねません。処遇改善加算のような、明確な仕組みが必要であることを強く要望させていただきます。ここまでのまとめです。
1,多職種協働による適時適切なリハビリテーションを提供できる体制を構築することは自立支援と重度化防止の推進が期待できます。
2,認知症の人への支援は状態像に応じた早期からのリハビリテーション推進することが重要です。
3,リハビリテーション専門職の給与水準の引き上げ促進を要望いたします。

【あわせて読む】

全国リハビリテーション医療関連団体協議会の重点要望項目まとめ|全文

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OT協会の報告内容|全文掲載

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