田中まさし(PT)議員、リハ職派遣の制度的課題を提起──「派遣元の減収」未解決、防災庁発足を前に厚労省・内閣府に再検討を要請

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5月14日の衆議院災害対策特別委員会で、自由民主党・無所属の会の田中昌史議員(衆議院東京ブロック選出)が質疑に立ちました。同議員は北海道千歳リハビリテーション学院に長く勤務し副学院長などを務めた理学療法士で、災害時のリハビリ専門職派遣について現場の実態を踏まえた論点を提示。首都直下地震を想定した生活機能維持の防災計画、自治体の専門人材確保、派遣元施設の減収補填、広域防災体制の構築まで、リハ職に直結する5つの論点について政府の見解をただしました。

首都直下地震──「命を救うだけでなく生活を守る防災」を訴え

田中議員はまず東京ブロック選出として首都直下地震への備えを取り上げました。内閣府が2013年に公表した首都直下地震の被害想定では、建物の倒壊と火災による焼失で合わせて最大約61万棟、死者は最大約2万3千人とされており、田中議員はこの数字を引きながら、長期避難に伴う高齢者の生活不活発病や災害関連死のリスクを指摘しました。

その上で、防災庁としてインフラ整備や物資輸送だけでなく、生活不活発病の予防・身体機能の維持・災害関連死の防止といった「生活機能を守る防災」を事前計画にどう組み込むかを尋ねました。

内閣官房の横山次長は答弁で、能登半島地震の避難所で段ボールベッド等の簡易ベッドが設置され、リハビリ専門職が身体機能維持の体操教室を開催した実績を紹介しました。例年、東京都を含む九都県市が実施する首都直下地震想定の九都県市合同防災訓練について、答弁では医師会や保健医療福祉関係者も参画していると説明。中央防災会議幹事会で決定された「首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画」に、高齢者等の心身機能低下・生活習慣病の悪化・心の問題等への対応が記載されていることなどを答弁しました。厚生労働省内で進む保健医療福祉調整本部関係の支援体制とも連携して取り組むとしました。

これに対し田中議員は、東京都の区との協定はあるものの「具体的に何も進んでいない」という現場の声が多数寄せられていると述べ、計画の実装の遅れを指摘しました。

DMAT・DWAT・JRATの数字と「BCPの壁」

続いて、自治体の専門人材確保について質問が及びました。地方ほどリハ・福祉専門職の不足が加速している現状を示し、医療・福祉・リハ専門職の充足状況と災害時の動員可能人数を政府としてどこまで把握しているのかを問いました。

厚生労働省の坂木原審議官の答弁によれば、災害医療の中核を担うDMATは2万356名が隊員養成研修を修了、避難所等の要配慮者に福祉的支援を行うDWATは約1万1千名、災害時のリハビリテーション支援を行うJRATは769単位が登録されています。各種予算事業による研修の実施を通じて引き続き人材確保に取り組むとしました。

田中議員はこの数字を受け、DWATやJRATの教育・確保体制はまだ不十分との認識を示しつつ、現場ではより構造的な障壁が存在すると指摘しました。各施設が策定する事業継続計画(BCP)に基づくと、自院の機能維持を優先するため「人を出せない」と判断される医療機関や介護事業所が少なくないという声が紹介され、災害時にあって機能する派遣可能なBCPのあり方を政府としても検討すべきだと求めました。

自治体と専門職団体の連携──「全国標準モデル」を要望

3点目は、自治体とリハ・医療福祉団体の事前協定・合同訓練・避難所支援における役割分担と計画策定の進捗です。田中議員は、南海トラフ地震を例に「どこの県のどの市町の専門職がどこの被災自治体に入るのか」を具体的に計画化しておかなければ実効性が伴わないと述べ、地域防災計画が遅々として進んでいない自治体が多い現状を踏まえ、全国的な標準モデルを示して整備を促すよう求めました。

横山次長は、都道府県が保健医療福祉調整本部を設置することとされていること、平時から保健医療福祉活動チーム等の合同訓練・研修・会議の開催を自治体に求めていることを説明。先進事例をモデルとして示す通知を内閣府防災担当と厚生労働省の連名で本年3月末に発出済みで、本年度創設した防災力強化総合交付金の対象にこれらの取り組みも含めていると答弁しました。

田中議員は、組織としての協定があっても会員一人ひとりが「自分は災害支援の役割を担っている」と平時から意識していなければ機能しないとして、具体的な計画策定と事前訓練の徹底を求めました。

派遣施設の「減収補填」──基準緩和は答弁あり、補填は持ち越し

本日の質疑で最も具体的な制度論となったのが、派遣元の医療・福祉施設に対する経営的な保障の問題です。

田中議員は、リハ専門職本人は災害支援に行きたいと考えていても所属機関の許可が得られず派遣に至らないケースが多いと指摘。原因として2点を挙げました。1つは、派遣先で被災・障害を負った場合の責任と補償の所在。もう1つは、人件費の日当は補填されるものの、派遣元の病院は出来高払いや施設基準上の人員配置の関係で減収を被ること。経営的に厳しい医療・介護・福祉施設にとって「派遣すると減収になる」のであれば、派遣の判断は困難になると述べ、保障制度・基準緩和・総合調整・人材育成と財政措置の制度整備を求めました。

厚生労働省の林審議官は、現行の取り扱いとして、医療機関が被災地にリハビリ専門職を含む職員を派遣した場合、診療報酬上の職員配置基準等を柔軟に取り扱える運用としていることを説明。介護事業所等でも、災害発生時には人員配置基準算定上の人員配置について柔軟に取り扱って差し支えないとしていると答弁しました。あわせて、JRATに対し被災地での連絡調整・専門職派遣調整・平常時の研修・都道府県における地域リハビリテーション体制の構築強化等の事業費を補助していると説明し、引き続き必要な支援を行うとしました。

田中議員は、基準緩和については適宜行われるとの答弁を確認した上で、減収分の取り扱いについては明確な回答がなかったと指摘。派遣施設が持ち出しで対応する状況の解消に向け、政府として引き続き検討するよう求めました。

広域防災と防災人材育成──牧野大臣「防災大学校」設置を検討

最後の論点は広域防災です。首都直下・南海トラフ・日本海溝千島海溝周辺の海溝型地震といった広域災害では、一自治体だけでは対応困難で、自治体職員自身も被災者になるという従来からの課題に対し、田中議員は具体策を提示しました。全自治体に「配置転換されない防災担当職員」を1名以上配置し、防災大学校等の研修を通じて人材育成を進めることで、災害発生時に周辺・全国の自治体の防災担当者が一斉に被災地に入って初動対応に当たれる体制を作るべきだとの考えです。

その上で、自治体横断型の防災体制構築、全自治体への防災専門人材配置の促進、防災大学校を活用した人材育成強化、発災時に国が統括して防災人材を迅速派遣する仕組みの整備について、政府の見解を求めました。

答弁に立った牧野たかお防災庁設置準備担当大臣は、地方自治体の人材不足の現状を踏まえ、災害時の要員確保が重要だとした上で、防災庁が平時から災害時要員確保を含む事前防災を関係府省庁とともに支援していると説明。災害発生時に国から人的応援を派遣する事前準備、地方自治体間の相互応援の仕組みづくり、民間人材の育成確保・民間との協定支援などを強化していると述べました。さらに「仮称ではあるが」と前置きした上で、国・地方自治体の職員と民間人材を対象にした「(仮称)防災大学校」の設置を検討すると答弁。地域防災マネージャー制度を通じた専門人材の自治体採用支援も継続するとしました。発災時には防災庁が被災自治体へのワンストップ窓口として、ニーズに応じた人員を関係機関と連携して確保する伴走型支援を行う方針を示しました。

まとめ・今後の展望

本日の質疑で明らかになった主な事実は次の通りです。

1点目、災害時のリハビリ専門職派遣に関する「派遣元施設の減収補填」は、現時点で明確な制度的回答が出ていません。基準緩和(人員配置基準の柔軟運用)は答弁で確認できたものの、出来高払い等による減収そのものを補填する仕組みは未整備で、田中議員は引き続きの検討を求めました。

2点目、答弁によれば、内閣府防災担当と厚生労働省の連名通知が本年3月末に発出され、自治体と保健医療福祉関係団体の連携の先進事例を全国に示す枠組みが動き始めています。内閣府防災担当の令和8年度予算事業に「防災力強化総合交付金」が掲載されており(内閣府防災情報のページ)、この取り組みも財政面から支援する対象に含まれているとされました。

3点目、政府は防災大学校の設置検討を表明しました。地域防災マネージャー制度(特別交付税で1自治体1名・措置上限年額340万円)は配置自治体数の拡大が課題であり、防衛省の公開情報では令和7年4月1日時点で全国の地方公共団体防災関係部局に退職自衛官698名が在職している状況です。

4点目、厚労省答弁によれば、現時点の災害支援専門チームの規模は、DMATが2万356名、DWATが約1万1千名、JRATが769単位とされました。地域JRATは2024年1月に全国に成立したとJRAT公式が公表しており、田中議員はリハ・福祉領域での教育・確保体制は依然不十分との認識を示しています。

防災庁設置法案は2026年3月6日に閣議決定・国会提出され、衆議院を先議院として審議が行われています(内閣法制局)。発足前のこの時期に、現職の理学療法士国会議員からリハ職派遣の制度的課題が具体的に提起された意義は小さくありません。減収補填の議論が今後どこまで進むかが、現場が派遣可能なBCPを組めるかどうかの分水嶺になります。

参考文献

  1. 内閣府.首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告).2013.https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg/
  2. 内閣官房.防災立国の推進に向けた基本方針.令和7年12月26日.https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bousaichou_preparation/kihonhoshin/pdf/r71226_honbun.pdf
  3. 内閣官房.防災庁設置準備.https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bousaichou_preparation/index.html
  4. 一般社団法人日本災害リハビリテーション支援協会.JRATとは.https://www.jrat.jp/gaiyou.html
  5. 九都県市首脳会議防災・危機管理対策委員会.九都県市合同防災訓練.http://www.9tokenshi-bousai.jp/kunren/
  6. 内閣府.「地域防災マネージャー」制度 参考資料.https://www.bousai.go.jp/kaigirep/kentokai/bousai_specialist2/47/pdf/R4_1st_sanko_shiryo1.pdf
  7. 自由民主党.衆議院議員 田中昌史(たなかまさし).https://www.jimin.jp/member/205005.html
  8. 内閣法制局.防災庁設置法案.https://www.clb.go.jp/recent-laws/diet_bill/detail/id=5175
  9. 防衛省・自衛隊.防災・危機管理職員として退職自衛官の雇用をお考えの自治体担当者様へ.https://www.mod.go.jp/j/profile/reemploy/local_government.html
  10. 内閣府.内閣府防災担当が所掌する交付金(令和8年度予算事業 防災力強化総合交付金).https://www.bousai.go.jp/taisaku/koufukin/index.html

※発言内容は2026年5月14日衆議院災害対策特別委員会の質疑に基づくもので、公式会議録の公開前の段階では文字起こしを基にした要旨引用としています。固有の数値・制度名は一次情報と照合済みですが、最終確定は公式会議録の公表をもって行われます。DMAT・DWAT・JRATの規模、内閣府防災担当・厚労省連名通知(本年3月末発出)、防災力強化総合交付金の内容については、政府側答弁を引用しており、出典の追加照合中です。

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質疑応答 全文

以下は、2026年5月14日 衆議院災害対策特別委員会における田中昌史議員(自由民主党・無所属の会)の質疑応答全文です。

田中昌史 議員(自由民主党・無所属の会)

自民党の田中昌史です。今日は質問の機会をいただきまして、理事の皆様方に厚く感謝を申し上げます。

災害が多発する我が国において、この防災庁の意義は非常に大きいと考えております。先般の参考人質疑でも、4名の皆様方から大いに期待するという声をいただきました。私もこの防災庁に大いに発展、そして活躍いただきたいと賛同するところです。

災害現場や被災地を、私もこの間視察してまいりました。能登半島など被災地を見て、現場の方からお話を伺ってまいりました。私は理学療法士ですから、どちらかというと福祉的、医療的な避難支援を見てきたわけですが、当然、命を救うだけではなく、生活を守り再建するというところまで完結して初めて、防災の役割が成し遂げられるものと考えております。

そのためには、かねてからこの委員会でも議論されておりますが、平時からの備えが極めて大事です。行政と支援団体との関係、産学官民の連携を含めて大事なのですが、何よりも、その地域に暮らす方々が「自分たちはこの防災で乗り切れる、安心だ」と思って暮らしていただけることが、極めて大事だろうと考えております。こうした過去の災害の視察、現場の声を踏まえて、本日は質問させていただきます。

まず私は東京ブロック選出ですので、首都直下地震への備えについて伺います。首都直下地震は単なる局地災害ではなく、首都圏を中心とした広域かつ長期避難を伴う災害となることが想定されます。内閣府による「首都直下地震の被害想定と対策について」という報告書では、建物の倒壊と火災による焼失で合わせて最大約61万棟、死者が最大約2万3千人の被害が想定されているとのことです。多くの被災者が長期の避難生活を余儀なくされる事態となれば、高齢者を中心に生活不活発病を引き起こし、災害関連死につながる可能性があるのが、この首都直下地震だろうと思います。

そこで伺います。防災庁として、首都直下地震といった大規模災害に対して、インフラ整備や物資輸送だけではなく、生活不活発病の予防、身体機能の維持、災害関連死の防止といった、生活機能を守る防災をどのように事前計画に組み込んでいくのか、政府の見解を伺います。

横山 内閣官房次長

お答えいたします。首都直下地震では、多数の避難者が発生し、自力での対応が困難な要支援者だけでも多数に上るため、こうした方々の健康を守り、災害関連死を防ぐため、高齢者等の身体機能を維持し、生活機能の低下を防止する取り組みが重要と考えております。

例えば、令和6年能登半島地震においては、避難所で段ボールベッド等の簡易ベッドを設置するとともに、リハビリ専門職が身体機能を維持するための体操教室を開催していたという実績もございます。このような環境が災害現場において速やかに実現するよう、関係者が連携して事前の取り組みを進めることが重要と考えてございます。

この観点から、例えば、例年、東京都を含む九都県市で実施しております首都直下地震を想定した九都県市合同防災訓練について、医師会、保健医療福祉関係者にも参画いただいて行っているところでございます。計画上の位置づけとしても、中央防災会議幹事会で決定しております「首都直下地震における具体的な応急対策活動に関する計画」において、生活環境の変化による高齢者等の心身機能の低下、生活習慣病の悪化、心の問題等の健康上の課題に対応していく旨を記載しております。

この考え方に基づき、厚生労働省において新たに整備された保健医療福祉調整本部関係の支援体制とも連携しながら、必要な保健医療福祉に関する支援活動が行われるよう、取り組みを進めてまいりたいと考えております。

田中昌史 議員

ありがとうございます。しっかりお願いしたいと思います。色々聞いていても、例えば東京都の区と協定は結んでいるが、具体的に何も進んでいないという声を多数私も聞いておりますので、具体的にそこをしっかりと進展させていただきたいと考えております。

次に、地方自治体の専門人材の確保について伺います。命、健康、暮らしを守る初動対応を強化していくためには、市町村に在する医療・福祉・リハビリ専門職など、専門人材のマンパワーが必要になりますが、現実にはこの人材が不足している自治体が非常に多いと感じています。地方に行けば圧倒的に人材は不足していますし、その状況は加速しています。

この医療・福祉・リハビリ専門職等の充足状況、また災害時の動員可能人数を、政府としてどの程度把握されているのか。あわせて、人材不足の地域に対してどのような人的支援、制度的補完を行うのか、教えていただきたいと思います。

坂木原 厚生労働省審議官

お答え申し上げます。災害発生時に被災自治体が医療・福祉分野の活動を円滑に行うとともに、必要に応じて人的な支援を受けられるよう、国として平時より人材確保を進めることは重要と認識しております。

災害医療において中心的な役割を担うDMATは、2万356名が隊員養成研修を修了しているところです。また、避難所等に避難する高齢者などの要配慮者に対し福祉的支援を行うDWATは約1万1千名、災害時のリハビリテーション支援を行うJRATは769単位が、それぞれ登録されているところです。

こうした災害時に活躍いただく人材の確保に向けて、各種予算事業により研修の実施等に取り組んでおります。引き続きこうした取り組みを通じて、災害時における医療・福祉・リハビリテーションの人材を確保してまいりたいと考えております。

田中昌史 議員

ありがとうございます。DWATやJRATの人員の教育・確保体制は、まだまだ不十分な状況ではないかと感じています。一生懸命取り組んでいただいているとは思いますが、政府としても支援をお願いしたいと思います。

あわせて、よく現場で聞くのは、災害が起こった時に、各施設はそれぞれBCP(事業継続計画)を策定していると思いますが、自施設のBCPを元にすると「人は出せません」というケースが結構多いという声です。自施設の機能をしっかり維持しなければならないという理由ですが、災害が起こった時に「行けません」では済まないと思います。行かなければならないのですが、行ける体制を組むということがとても大事ですので、災害時におけるBCPのあり方、各施設の対応のあり方について、今後も政府としてご検討いただきたいと思います。

次に、専門職団体と自治体との連携について伺います。先ほどお話しした協定は、初動対応の空白期間(時間)を埋めるためにとても大事です。ただ、誰が何を、どこで、いつ、どこまで行うのか。例えば南海トラフが起こった時に、被災自治体に対してどこの県のどの市町の専門職が入るのかという具体的な計画まで立てておかないと、実効的にはなかなかなりません。

そこで、この自治体とリハビリ専門職など医療・福祉団体との事前の協定、合同訓練、避難所支援における役割分担と計画策定の進捗状況について、どのようになっているのか伺います。

これらの自治体と専門職団体との連携については、私はやはり全国的な標準モデルを作って、地域防災計画がなかなか進んでいない自治体が多いですから、こうした標準モデルを参考にしながら、地域防災計画を前に進めていくことを検討されたらいかがかと考えますが、見解を伺います。

横山 内閣官房次長

大規模災害時においては、現場でリハビリを含め、保健医療福祉分野が連携して、被災者に寄り添った支援が行われるよう、都道府県が保健医療福祉調整本部を設置することとされております。自治体に対しては、平時より保健医療福祉活動チーム等との合同訓練、研修、会議の開催等に取り組むよう求めているところでございます。

また、関係行政機関や応援協定を締結している関係団体等による合同会議を開催し、行政・各団体・各事業者が実施できる内容を共有するなどの取り組みも進めてきているところでございます。

平時から地域における関係団体等において連携が深められることを目指し、すでに実施している自治体の例、先進事例をモデルとして示す通知を、本年3月末に内閣府防災担当と厚生労働省の連名で発出して、取り組みを促しているところでございます。

さらに、必要な費用面の課題もございますので、本年度創設した防災力強化総合交付金の対象に、こうした取り組みも含めております。防災庁設置を見据えて、各自治体での開催を促し、事前に体制を整備するなど、厚生労働省とも連携しながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。

田中昌史 議員

ありがとうございます。組織として協定を結んでいても、そこに所属する会員一人ひとりが、やはり自分たちがそういう役割を持っているという意識づけをきちんと平時から行っておくことが極めて大事だと思います。その上では、計画を具体的に策定し、事前訓練等もしっかりと行っておくことが、さらに大事だと思いますので、ぜひお願いをしたいと考えております。

次に、災害支援を行う団体・専門職に対する制度的な支援について質問します。医療・福祉に従事する団体、専門職の中には、災害支援に行きたいという方が結構いらっしゃいます。研修を実施すると応募も多く、非常に良いことだと思います。

しかし現場では、支援に行きたくても所属機関の許可が得られず、派遣できないという声があります。その原因は、主に大きく2つあります。1点目は、派遣した先で被災したり、何らかの障害を負った時の責任の所在と補償がどうなるのかという問題です。

2点目は、派遣した人材の人件費・日当は支給されますが、派遣元の病院は、出来高払いや施設基準があった場合に減収となるという問題です。経営的に厳しい状況にある医療・介護・福祉施設にとって、派遣すること自体が減収につながり、経営が厳しくなるのであれば、なかなか派遣しづらいということになります。

そこで、政府として、派遣する医療・福祉施設への保障制度、医療・福祉機関が職員を送り出しやすくなるような支援制度や基準の緩和、専門職の派遣にかかる各団体の総合調整、人材育成の推進と財政措置について、十分な制度整備を行うべきだと考えますが、見解を伺います。

林 厚生労働省審議官

お答え申し上げます。ご指摘の点につきまして、現在の取り組み状況でございます。

まず、医療機関が、災害が発生した際に被災地にリハビリテーション専門職を含む職員を派遣した場合、診療報酬上の職員配置基準等を柔軟に取り扱うことができるようにすることで、被災地への職員派遣を支援するという、制度的な対応を行っております。

この取り扱いについては、介護事業所等においても同様でございまして、被災地に職員を派遣した場合、災害発生時における人員配置基準算定上の人員配置について、柔軟な取り扱いとして差し支えないという対応をしております。

また厚生労働省では、JRAT(日本災害リハビリテーション支援協会)に対し、災害発生時における被災地でのJRAT活動に係る連絡調整、リハビリテーション専門職等の派遣調整、平常時における大規模災害発生に備えたJRAT単位への専門的な研修、都道府県における地域リハビリテーション体制の構築や強化、こうした事業に要する費用の補助を行っているところでございます。引き続き、こうした必要な支援を行ってまいりたいと考えております。

田中昌史 議員

ありがとうございます。基準緩和については適宜行われるというご答弁だったと思いますが、減収分については、これは固定されておらず、まだ明確ではないということではないかと思います。これについても、派遣した施設が持ち出しで対応しなければならないというのは、私としては問題があるのではないかと考えますので、ぜひこの点は引き続き検討いただきたいと考えております。

最後の質問になりますが、広域防災について伺います。この委員会でもずっと広域防災について議論が行われてまいりました。大規模災害、首都直下地震、南海トラフ地震、千島海溝・日本海溝沿いの巨大地震もそうですが、広域災害では当然、一自治体だけで対応するというのは困難です。先ほど申し上げた通り、現状の自治体の体制だけでは対応は難しいというのは明らかであろうと思います。自治体の職員も被災者であり、対応が困難になるというのは、ずっと指摘をされているところです。

どの自治体で災害が発生するかわからない状況の中で、私は、全自治体に配置転換されない防災担当職員を1名以上ずつ置き、防災大学校等での研修も活用して人材育成をするべきだと考えております。そうすれば、大規模災害が起こった時に、周辺、あるいは全国の自治体の防災担当者が一斉に被災地に入って、初動対応に万全を期すという体制が組めるのではないかと考えております。

そこで質問します。政府として、広域災害を前提とした自治体横断型の防災体制の構築、全自治体における防災専門人材の配置の促進、防災大学校を活用した防災人材育成の強化、発災時に国の統括の下で防災人材を迅速に派遣できる仕組みの整備について、どのように取り組んでいかれるのか、見解を伺います。

牧野たかお 防災庁設置準備担当大臣

田中委員のご質問にお答えをさせていただきます。ご指摘のように、地方自治体は今、人材不足でございますので、災害時に必要な要員を確保するということは大変重要だと考えております。

防災庁は、平時には災害時の要員確保を含む事前防災について、関係府省庁とともに地方自治体を支援しております。例えば、災害発生時に国から人的な応援職員を派遣するための事前の準備や、地方自治体間で相互に応援するための仕組みづくり、さらには民間人材の育成・確保や民間との協定の支援などの取り組みを強化しております。

また、防災に関する専門人材の育成のため、今後、国や地方自治体の職員、さらには民間人材を対象に、仮称ではありますけれども、防災大学校の設置の検討を含め、防災人材の育成のさらなる強化を図ってまいります。

加えて、防災に関する専門的な知識や経験を有する人材を地域防災マネージャーとして自治体が採用、配置するための経費を支援し、地方自治体への防災専門人材の配置を支援してまいります。

このような事前の準備を行いながら、いざ発災時には、防災庁が被災自治体へのワンストップ窓口として、被災地のニーズを丁寧に汲み取り、ニーズに応じた人員が被災地に確保されるよう、関係府省庁、自治体、そして民間も含めた関係機関等と緊密に連携しながら、政府一丸となった伴走型の被災地支援を行ってまいります。

田中昌史 議員

大臣、ありがとうございました。ぜひ、大臣先頭にしっかり頑張っていただきたいと思います。国民の安心を守る、断固として守っていく防災庁の活躍を、大いに期待したいと思っております。以上で質問を終わります。ありがとうございました。

出典:衆議院災害対策特別委員会(2026年5月14日)田中昌史議員質疑(動画文字起こしを基に構成/会派:自由民主党・無所属の会) 文責:POST行政担当デスク

田中まさし(PT)議員、リハ職派遣の制度的課題を提起──「派遣元の減収」未解決、防災庁発足を前に厚労省・内閣府に再検討を要請

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