人によって「こだわりどころ」は違う
インタビュアー:若者世代と高齢者のデザインの好みに違いはありますか?以前、高齢者の方のにスニーカーを履かせたいと考えたことがありました。脳卒中の方でも履ける紐靴を開発した人がいて、それを導入しようと思ってアンケートを取ったら「ダサい」という意見がありまして。我々がかっこいいと思うデザインは高齢者と違うのでしょうか?
池田先生:世代とひとくくりにするのではなく、その方がどうしたいかが大切なのだと思います。人によって「こだわりどころ」は違うと思うんですよね。
その人がたまたま靴のデザインに興味がなかったのかもしれないですね。
世代によって、また、お住まいの地域によって、さまざまな要素から嗜好性の違いはあるとは思いますが、みんな一緒にじゃなくて、その人その人がこだわっているところを大切にする、尊重することが重要なのだと私は思います。
インタビュアー:それは“個を見る”、“人を見る”ということですね。
池田先生:そのとおりです。 今回は偶然受け入れ難いデザインのスニーカーだったのかもしれません。
これからの、特に団塊の世代以降のご利用者層には、デザインのクオリティとともに、バリエーションなども広くご提示できればきっと喜んでいただけるはずです。
機能を詰め込みすぎるとデザインは洗練されにくくなる
インタビュアー:日本人って機能性を上げるっていう部分では得意だと思いますが、デザインっていう部分が苦手じゃないかなと思います。日本人と外国人の違いって何なのでしょうか?
池田先生:大きなくくりですね。 私自身の話ですが、以前オーブンレンジを探していた時、日本製で好きなデザインが無くて、外国製の電子レンジとオーブンを別々に購入しました。
個人的な考察ですが・・・、家電ひとつとっても、日本ではあれもこれもと機能をどんどん足していく傾向ですよね。
日本人特有の思いやりや気配りによるものでしょうか。
サービスがあり過ぎて、結局複雑になって使いこなせない。わかりやすい操作、事故防止のための注意書きなど、商品に直接書かれた文字の量も多い。
その点、外国製のものは機能が少ない分、操作も簡単、デザインもシンプル。そんな傾向がありそうですね。
インタビュアー:そういう日本の長所がデメリットになってるせいで家電が売れなくなってきてるんですか?
池田先生:(家電の売れ行きのことは詳しくありませんが・・・)機能を詰め込みすぎるとデザインは洗練されにくくなります。
シンプルな機能ほどそのためだけにデザインできます。あれもこれもとなると、どんどん制約が増えていきますからね。
みんなから好かれたいと思って八方美人になると、結局誰からも好かれない・・・ってありますけど、それにも似た印象です。
しかし日本のデザインにも素晴らしいものはたくさんあります。日本の美の要素は、和室に代表されるように、もともとシンプルなものですから。
《目次》
#2【整理整頓は、“感謝の瞬間をよりよいものにするための”環境づくり】
次回、最終回は《明日3月30日水曜日》配信です!
(インタビュアー:輪違 ライター:林・蜷川)
池田 由里子先生経歴
株式会社リハブインテリアズ 代表取締役
【経歴】 1968年、福岡県北九州市生まれ。
私立明治学園高等学校卒業。 鹿児島大学医療技術短期大学部理学療法学科卒業後、 医療法人社団寿量会熊本機能病院にて理学療法士として勤務。
その後インテリアコーディネーターの資格を取得し、医療福祉施設を数多く手がける株式会社硯川設計(熊本市)、北欧福祉家具輸入販売の株式会社デアマイスター(東京都)を経て、
2008年8月、株式会社リハブインテリアズを設立。
【保有資格】
理学療法士・インテリアコーディネーター
整理収納アドバイザー1級 整理収納アドバイザー2級認定講師
カラーコーディネーター2級
ハート&カラーインストラクター
照明コンサルタント
介護支援専門員
福祉用具プランナー
福祉住環境コーディネーター2級
※こちらは池田先生がTEDxFukuoka 登壇時の動画です。
「つなげ、つながる、価値の創造 - INTERIOR REHABILITATION 」