スペインにおける予防領域の実情
ーースペインでのスポーツチームにおける予防医療の事情を教えてください。
ジョナタン:予防医療というのは非常に重要なテーマであり、スペインのスポーツチームでは多く取り入れられています。
以前と比較するとこの予防医療の知識というものはスポーツ業界においてあまりないものでした。
ですが研究者たちが現場で経験を多く積んだことで導入が進み、ここ数年でスポーツ業界には大きな変化が起こりました。
バルサは他のクラブにも先んじてこういった取り組みを続けてきましたが、今日ではその他の多くのクラブにおいても怪我を解決するための取り組みとして少しずつ導入されています。
その他の重要な点として今日では高パフォーマンスを出すため、健康な肉体を維持するために人間の肉体はどのように管理すべきか多くの研究がなされてきました。
そう言った環境の変化は人々のメンタリティにも変化をもたらし、スポーツ選手のみならず一般の方々も身体のケアや自分の身体の内側で何が起きているのかを知りたがるようになり、それに対し「何をしなければいけないのか」を理解するキャパシティも大きくなりました。
スポーツチームにおいて選手がプレー出来ない時間を持たないというのは非常に重要なテーマです。
1シーズンという長い時間グループがエリートレベルのスポーツを行うには十分なコンディションが必要とされます。
バルサには非常に興味深い統計があり、12月のクリスマス休暇前に怪我の数が少ない場合スポーツ成績が上がり、仮にこの時期の前に怪我が頻発するとヨーロッパレベルやリーグ戦において優勝が難しくなります。
全てのコンペティションで結果を残していくためには、どのコンペティションも出来る限りプレー不可な選手を持たずにスタートしなければいけません。
ーー地域のローカルクラブなどではどうでしょうか?
ジョナタン:バルサとの違いは勿論出てしまいますよね。経済的な制約から一人の理学療法士が育成年代、もしくはクラブ全体を見ているなんてことも一般的です。
おそらくバルサが持っているようにはジムや治療室もありませんね。
そこで行える治療やケアは同じようにはなりません。
バルサは治療室も多く持っていますし、各スポーツセクション毎に専用の施設を抱えるのは選手に対する我々の仕事のクオリティを加えてくれます。
必要なもの全てがバルサには揃っています。
こういった環境のおかげで治療のバリエーションも一気に広がりますよ。
我々や、レアル・マドリー、アトレティコ・マドリー、エスパニョールといったクラブには選手に対し非常に良い環境がありますし、経済的な観点からもスペインのみならず他のヨーロッパのクラブにおいてもこのような環境に恵まれているクラブというのは少ないと思います。
偉大なクラブに恵まれるという幸運のおかげで我々は何か必要な際にクラブに求めればそれを得ることができます。
成長痛とその予防法
ーー育成年代での取り組みについて教えて下さい。
ジョナタン:バルサの育成年代においては各年代の各チームに一人ずつ理学療法士が付いています。
小学生の低学年などでは試合にしか帯同しないケースもありますが、彼らにも理学療法士の治療室があり他のカテゴリーのどの選手とも同じ扱いを受けます。
同じ治療を受けますし、皆が同じように大切な存在として扱われます。
年齢によって適切な処置は異なる場合はありますが、必要であれば器具を用いますし、予防のトレーニングも行い、全ての選手が同等の扱いを受けます。
ーースペインの育成時代でも成長痛は見られますか?
ジョナタン:はい、とてもよく見られますよ。これは予防することのできない症状ですね。
より多くの練習をこなし、負荷が大きいビッグクラブの育成年代などにおいては、筋肉の成長過程の年代の選手たちに非常に多くみられます。
痛みを抱えながらプレーを続ける選手もいれば、一定期間プレーを中断しなければいけないようなレベルの選手もいますよね。
発達していく大きな筋肉により骨が引っ張られていかれるために腱にテンションがかかりあたかも損傷のような症状が見られると思います。
その腱の部分にプレッシャーをかけたテーピングを行い固定し、選手を痛みなくプレーできるように処置します。
このテーピングとアイシング、ストレッチの組み合わせでシンプル且つ非常に効率的なケアが可能となります。
しかしながら、とても習慣的で小学生の中学年あたりから中学生の高学年あたりまでは私の抱えている選手たちにも多く見られる症状です。
エリートレベルの選手たちにはトレーニング量に比例する多くの負荷からとても多く見られる症状で、より一般的なレベルで言えばその個々人の身体的な特徴次第で現れることも現れないこともある症状です。
しかし先ほども申し上げたシンプルなテーピング一つで一般的にはプレー不可になる日はなく続けられるため、大きな心配はしていません。
スポーツをしている子供達は非常に速いスピードで筋肉が成長しますが、腱は筋肉の成長速度についていくことが出来ません。
それらの腱に多くのテンションがかかりこういった症状が生まれます。
ガンチョテクニック開催決定!
ガンチョとはスペイン語でフック(鉤爪)という意味を持つ治療器具です。
筋筋膜に対するアプローチの一つとして、ヨーロッパを中心に理学療法の治療技術として導入されてきました。現在では神経、筋肉、骨格にアプローチすることが出来るツールとして多くのプロスポーツ現場で導入され効果を発揮しています。
使い始めはクライアントにとって少しの違和感になるかもしれませんが、それは痛みではなく使用法によってはクライアントに心地良さを感じてもらうことができます。
繊維に対して施術を施す際、皮膚にアプローチするのに適切にデザインされたガンチョによって刺激を加え、癒着し拘縮した繊維を破壊し、それによって組織の再生・修復のメカニズムを促します。
【日程】7/15、7/16、7/17(3日間)
【時間】9:00~17:00(途中1時間の休憩)
【場所】東京都 墨田区周辺施設(申込みをされた方にご連絡致します。)
【講師】ラモン・アイグアデ氏
【定員】20名
【受講費】216,000円(税込み)*受講費にはガンチョのセットの料金も含まれます。
◎早割価格:172,800円(税込み)
*5/31までに申し込みを頂いた方が対象となります。
JONATHAN ALMIRALL GALBETE/ジョナタン・アルミラル・ガルベテ先生経歴
【所属】
・FCバルセロナ理学療法士兼フットサル理学療法部門総括責任者
通訳:奈良坂周(ならさか・しゅう) 株式会社GRANT CAREER
スポーツエージェント。スペイン、バルセロナにて選手・チームのマネージメントや通訳、選手の生活をサポート。