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伊佐常紀さん−日本理学療法(PT)学生協会2013年度会長−

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会長を終えて

私が理学療法士を目指したきっかけは、自身の病気にありました。小学校5年生のころに帯状疱疹を発症し、右上半身は麻痺状態となり、野球はもちろん日常生活も行えない状態にありました。そこで出会った整形外科医と理学療法士の先生方に長いスパンでリハビリをしていただきました。5年をかけて20種類ほどのトレーニングを行いました。その結果、一度諦めた野球を5年越しに再開することができ、高校野球の主将も務めました。生活のできなかった自分がチームの中心で野球をしていることは、発症当時は考えられなかったことであり、非常に誇らしいことであります。

こんな人生を過ごした人はおそらく珍しいのではないかと思います。私は挫折を味わったこの人生を最大限生かせる職業として「理学療法士」を選びました。憧れなどではなく、私は理学療法士にならなければならないといういわば運命を感じたところが強くあります。

理学療法士になるために選んだ大学が神戸大学です。やはり、目指すのであれば、高いレベルでという思いがありましたので、神戸大学を目指しました。1年間の遠回りを経て、神戸大学入学をしました。その時の思いは格別で、今でも忘れることはありません。

入学後はスポーツに興味を持ち、先輩方からいくつかの情報を頂きました。それでも、その他にしたいことがあり、なかなか自分の目指す理学療法士になるための行動を起こすことができていませんでした。そこで知ったのが、日本理学療法学生協会(以下、JPTSA)という団体でした。当時はこの協会は何のために存在するのかを考えたこともなく、ただ神戸大学の学生が参加したり、運営に携わっていたりしていたことで、自らも交流会に参加していただけでした。

しかし、2年の夏にある大きな出来事がありました。1学年先輩の会長に連れて行ってもらう形で北海道大学に初めてJPTSAの広報に行きました。その時の北海道学生の驚きの表情、希望の表情を忘れることはありません。「学生が集まれるこんな団体が日本にあったのか。海外に挑戦することができる団体が日本にあったのか。もっと早くに知りたかった。」などたくさんの声を聴くことができました。同時に私の中では疑問が浮かびました。学校生活の中でJPTSAを利用できる学生と全くその存在を知らずに理学療法士になる学生が日本にいることに違和感を持ちました。

「自分のJPTSAに対する考え方をリセットしよう。」

この時の思い、出来事は私がJPTSAの会長をしたいと思う最初の出来事であり、また1年間の活動を通して崩さなかった信念の軸となっていました。理学療法を学ぶという点では同じ立場にいる学生が平等に情報を共有する必要があると感じました。知っていることを教える、知らないことを教えてもらう、このシンプルな構図が多くの自由がきく学生にとっては大切なのではないかと考えました。情報を欲し、行動を模索する全国の理学療法学生が集結し、JPTSAで得たものを自らのものにし、JPTSAを一つのきっかけとして、自分で考えて行動に移すことができる環境が必要でした。そのことに関して、ただ単にJPTSAの理事として貢献するだけでなく、自らが会長になることでJPTSAにしかできないことを実現していこうと思いました。

この1年間は広報、JPTSAの全国的な広がりをテーマに掲げ、活動を行って参りました。関東支部大学に対する広報、関西支部大学に対する広報、北海道大学への広報、東北支部大学に対する広報、中国支部大学に対する広報、SNSを用いた広報を行いました。JPTSAを知ってもらうだけでなく、どのような活動を行っているかを積極的にアピールしてきました。活動を行う中で、なかなか成果が出ないことが多く、この方向性が正しいのかと思うことが度々ありました。しかし、行動を起こすことに間違いはありませんでした。考えを重ねて起こした行動には遅かれ早かれ必ずその成果が表れます。疑問に思う、改善の最善策を考える、提案する、試す、再考する、試す、行動するという一連の流れが非常に難しいことで、多くの方の支えやご指導のおかげで、これを1年間多く体験することができました。

1年を締めくくる総会では、この1年間の成果が凝縮されていました。理学療法士の方に参加していただけたこと、企業という新たな試みに加え、繋がりを作れたこと、そして、全国の学生が集結したことでした。全国の学生がお互いに議論する姿を見ることができるのはJPTSAだけだと思っております。

今後は総会がより発展することに力を注いでほしいと思います。支部大会との違いを出すため、また総会という形をより形態化をするために、総会の改定案を進めております。1年間の活動で感じたようにJPTSAの歴史が浅いながらも受け継がれていること、受け継がれていかなければならないことがあり、変えてはならないものの中に改善するべきものが本協会にはあります。JPTSAの形が継承されれば、今後より発展するのではないかと思います。つまり、本協会はまだまだ発展する余地があると言えます。

思い起こすと、JPTSAの活動を通して、たくさんの情報をたくさんの学生や先生方から頂くことで新たな、大きな目標ができました。それは、児童期から思春期にかけて理学療法士が関わることで子どもたちの体力の向上や健康の維持を目指すことです。高齢化が進む中、我々が活躍の場を求める将来において最も重要視されるのは、少子化にシフトし、子どもの健康を守ることではないかと思います。高齢化に取り組む方はたくさんいらっしゃると思いますので、少子化に目を向け、将来の日本を支える子どもたちの健康を守っていければと思っております。JPTSAの活動に参加していなければ、どのような目標を持っていたのか考えることがありますが、やはり辿り着く答えは今の目標が最善のものであるということです。それだけの活動と行動をしたと自信を持って言えます。これからはこの経験を活かし、さらに大きく正確な目標を掲げて精進していきたいと思っております。会長としての1年間は非常に苦しいものでしたが、かけがえのない時間になったと思います。

本当にたくさんの方々のおかげで今の自分があります。両親、小学校、中学校、高校、大学の先生方、友達、仲間、先輩、後輩、その他にも私と関わりを持ってくださった多くの方々に人生を作っていただきました。私一人ではできなかったことがたくさんあります。だからこそ、そのことを忘れず、常に謙虚で、人に対して優しい器の大きな人間を心掛けています。それが私の目指す人間であり、人生であります。

JPTSAの理事のみんなのアンケートの内容や話している内容を読むとそこには全員の中に統一された考えが根底にあることに改めて気づきました。学生らしく、少しずつ着実にこと団体は発展していくことを確信しました。このような機会を与えていただき、本当にありがとうございました。

isa

伊佐常紀さんの経歴

日本理学療法学生協会

HP:http://jptsa.web.fc2.com/

FaceBook:https://www.facebook.com/jptsa.2005

Twitter:https://twitter.com/JPTSA

2013年度会長

神戸大学医学部保健学科理学療法学専攻

伊佐常紀さん−日本理学療法(PT)学生協会2013年度会長−

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