その人の“感性”に触れることができる。
私が訪問リハビリテーションに携わり始めて間もない頃の話です。
ある方の訪問リハビリテーションの最中にこんな経験をしました。
その方は家庭菜園をしていました。
自宅の脇の小さな畑で家庭菜園を行っており、昔から野菜を作っているようで野菜に非常に詳しい方でした。
その方から私は、たくさんのことを学ばせていただきました。
一つは、玉ねぎの育て方。
皆さんは“玉ねぎの育て方”をご存知ですか?
玉ねぎを植え、ある程度の時期になると茎を折るそうです。
成長し、収穫が近くなってきた頃、茎も大きくなってきますが、意図的に茎を折った方が「最後の成長が良くなる」とのこと。
(これには様々意見があるようで、勝手に茎が折れるのを待てば良いという考えもあるようです。)
私は玉ねぎの育て方ひとつにしても、多くの知恵があるのだと知ることができました。
もう一つ学んだことがあります。
その方は、訪問リハビリテーション開始当初は自宅内でのリハビリや屋外歩行を促すと、若干消極的な反応を示していました。
ある時、野菜の話題がリハビリ中に出てきて、先ほどの玉ねぎの話となりました。
「ぜひその玉ねぎを見せてください!」と私が言ったのが一つのきっかけとなりました。
次の訪問日、実際に車椅子を押して畑を見に行くと、玉ねぎを前にしてキラキラとした表情で、私に玉ねぎのことを話してくれました。
それからリハビリの中で畑に行くと、とても笑顔で、こちらが誘導せずとも活動的に動いてくれるようになっていました。
消極的だった屋外での歩行も、自分から杖を取り、車椅子から降りて、私に畑を案内してくれたのです。
その時に感じました。
ただ「あなたのためになるから、リハビリしましょう。歩きましょう。」ではダメなのだと。
もちろん当時の私の知識・経験不足からくることで、読者の方は当たり前に考えていることかもしれません。
しかし私は、これをきっかけに多くを学ぶことができたのです。
私は、訪問“リハビリテーション”を提供しているつもりが、ただの“運動”を提供しているだけだと感じました。
その人が自ずと意欲的になる事柄や場所があるのです。
その人の感性に触れ、その人が笑顔になる、意欲的になるものを探りながら、リハビリテーションに応用していく。
これが非常に大事なことなのではないかと気付かされたのです。
今でもこの経験は非常に生かされています。
その人の生活に直接触れることができ、その人の感性に身を持って触れることができる。
訪問リハビリテーションは非常に魅力のある仕事です。
【目次】
第一回:百聞は一見に如かず
第二回:その人の人生に寄り添える
〈訪問リハビリテーション分野に転職をお考えの方にオススメ〉
都内にベストリハ株式会社という、理学療法士が代表をつとめる会社があります。今回は、読者の皆さまにベストリハの訪問リハビリテーションを見学できるよう体制を整えていただきました。
【ご希望の方はこちらからご連絡ください】
ベストリハ株式会社 総務 本田、安蒜(あんびる)宛
tel:03-5813-9897 mail:info☆bestreha.com(☆を@に変えてご連絡ください)
※参加希望の方は、「POSTの記事を見ました。訪問リハの見学希望です。」とお伝えいただくとスムーズです。
※今回の見学は、就職希望の方のみに制限させていただいております。
【求人情報】
ベストリハ株式会社では、訪問リハビリテーションに興味のある療法士を募集しています