認知症という診断名がある方や、診断はついていなくても認知症の状態像にある方を担当することになったら、どんな風に準備をしてリハ室まで誘導し評価を行い治療をすすめていったらよいのか、明確に言語化した状態で教わったことのある人の方が圧倒的に少ないのではないでしょうか。
だから、「毎朝挨拶してなじみの関係を作る」「褒めてあげる」など、その意味をよく理解できないままにとりあえず従来言われてきたようなことを実行してみるけれど、言われているほどの効果がなくてほとほと困ってしまう…そんなセラピストはきっと少なくないと感じています。
もしかしたら従来言われていることを実行したのに効果がないのは自分のやり方がどこかまずかったんじゃないだろうか?と自分自身を責めたり落ち込んだりしているセラピストもいるかもしれません。
そういう方にはそんなことはないのだ。ということをお伝えしたいと思います。
私は今「なじみの関係作り」「褒めてあげる」といったような従来言われているようなことはまったく重要視していません。
後日改めてこれらの対応の問題的については指摘したいと考えていますが、私たち障害と能力のプロであるリハスタッフにとっては、もっと先に行うべき重要なことがあるのです。そこで、これから、臨床的によくあるケースを提示しながら対応の意味をご説明してみたいと思います。ただし、ご理解いただきたいことがあります。
私が具体的なケースを提示するのは決して単なるハウツー的な方法論やマニュアルとして提示したいわけではありません。具体的に伝えないとその意味するところ…抽象的な概念が伝わらないと考えているからです。私は自分の考え方を明確に言語化してお伝えするように努力しますので、ぜひ皆様にはそこをご理解いただいたうえでお読みいただきたいと思います。
<事前準備>
まず、最初に、得られる情報には限りがあるかもしれませんが、事前情報をきちんと確認します。お名前、生年月日、住所、出生地、職業、家族背景、生活歴、病歴などです。これらの情報は、最初の初対面の挨拶の時に重要なスクリーニングとして活用できます。
初対面の挨拶、自己紹介の機会は、認知症のある方のコミュニケーション能力のスクリーニングとして非常に重要な機会なのですが、その重要性や評価への活用の仕方について学べる機会がないのは非常にもったいないと感じています。
次回は、初対面の挨拶をどんな風に評価の一場面として活用できるのかご説明する予定です。
お楽しみに。
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