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インドネシアにおける地域での高齢者に対する試み

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前回は、「インドネシアの保健センターで行われている、高齢者への取り組み」についてお伝えしました。

 

今回は、地域での高齢者に対する試みについてご紹介します。

 

 

地域によっては高齢者の自助グループをつくる試みもあり、散歩をしたり調味料の作成・販売を行う活発なグループもあります。

 

また、ロンボク島にも都市部に1つだけ老人ホームがあります。

 

公務員は年金制度があり、毎月生活に十分な額をもらっている高齢者もいますが、そうでない住民が大半です。生活が困難な場合は、親戚や近隣の人々に支援してもらうこともあるようです。

 

デイサービスやデイケアといった施設はなく、元気な場合は農作業を行ったり市場で収穫物を売ったり、女性は家事を行う他、ブルガと呼ばれる屋根付きベンチの下でのんびりしたり、モスクに行ってお祈りをする等して過ごしています。

インドネシアは国民の90%近くがイスラム教徒で、地方部に行くほど宗教色は濃厚。

 

ロンボク島の高齢者も多くはイスラム教徒であり、可能な場合は近所のモスク、あるいは自宅で一日五回お祈りを行っています。立ち上がったりひざまずく動作を繰り返す姿。実際に試してみると、翌日には筋肉痛になるほどのいい運動です。

 

 

保健センターの試みとしては、『ポシアンドゥランシア』という高齢者を対象とした高齢者健診があります。

 

インドネシアでは、母子保健分野において、『ポシアンドゥ』 と呼ばれる定期健診を行っており、各村の各地域で、毎月決まった週・曜日に妊婦健診・乳幼児(5歳児未満)の体重測定および予防接種を行っています。これには保健センターや近隣医療機関の助産師および看護師に加え、『カデール』と呼ばれる地区の保健ボランティア5名が携わっています。

 

高齢化や、糖尿病・高血圧といった非感染性疾患患者の増加に伴い、主に高齢者を対象とした月1回の定期健診。それが『ポシアンドゥランシア』です。

 

 

この高齢者健診では、看護師が血圧測定、体重測定、可能時は簡易的に血糖値やコレステロールの測定を行い、症状に合わせて薬を処方しています。

 

また、視力測定を行い、疾患に応じて県内の病院での白内障の手術を勧めることもあります。

 

これらのツールは、高齢者キットとして国が配布しているものですが、まだ全地域には普及していません。測定結果を記録するためのパンフレットもありますが、各保健センターには配布数そのものが年50枚程であり、まだまだ活用されていないのが現状です。

 

 

このような試みを始めてはいるものの、この高齢者健診に来ることができる高齢者は、自立度が高いことが前提です。

 

大きい道を一歩外れると、舗装されていない、幅1mにも満たない道が続く地方部では、高齢者健診に行くことができない高齢者も大勢います。

 

そもそも、高齢者定期健診事業そのものがまだまだ始まったばかりで、ロンボク島でも高齢者健診が行われていない地域が大多数。自助グループともうまく連携ができておらず、そもそも高齢者健診を受けることができない高齢者のほうが圧倒的に多いのが現状です。

 

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柳澤沙也子

岡山県美作市出身。2009年 国立大学法人 岡山大学医学部保健学科看護学専攻卒業。

岡山市の有料老人ホーム・大阪市の病院等計6年間の勤務を経て、2015年10月より2年間、インドネシア・ロンボク島にて青年海外協力隊 看護師隊員として活動中。

インドネシアにおける地域での高齢者に対する試み

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