人工膝関節全置換術は適応を見直すべき?|米Mount Sinai医科大学のBart S Ferket氏らの報告

3964 posts

日本おける人工膝関節置換術の手術件数は年々増加傾向にあり、年間8万例以上にものぼる。

 

変形性膝関節症が進行し、疼痛による歩行障害などで日常生活に大きな障害をきたす場合、人工膝関節置換術が適応されるが、その手術が必要かどうかの線引きは各医者の判断に委ねられる。

 

できれば手術をせずにリハビリで良くしたいと思うであろうし、「この患者さん、本当に手術が必要だったのか?」と疑問に思ったことがある理学療法士もいるのではないか。

 

今回紹介する論文はBMI誌に掲載された、アメリカMount Sinai医科大学のBart S Ferket氏らの研究で、人工膝関節置換術の利益とコストについて検討したものである。

Impact of total knee replacement practice: cost effectiveness analysis of data from the Osteoarthritis Initiative

 

■米Mount Sinai医科大学のBart S Ferket氏らは、現在行われている手術の利益とコストについて検討し、全体としては患者のQOLと質調整生存年(QALYs)に与える影響はわずかであること、手術対象患者をより症状が深刻な人々に絞れば有効性も経済性も改善すると報告した。

 

■術前の疼痛や機能低下が進行した患者では、手術でQOLが改善したことを示すエビデンスが報告されているが、適応が拡大した患者に対しても同様のメリットが得られるかを疑問視した著者らは、TKRが変形性膝関節症患者のQOLに及ぼす影響について検討するために、周辺構造モデルを用いた分析と費用対効果分析を計画した。

(引用元:日経メディカルオンライン

 

アメリカでも人工膝関節置換術患者の増加は著しく、アウトカムの改善がわずかな患者にまで手術対象を広げすぎではないかと警鐘を鳴らす

 

日本でも、医療費による財政圧迫が問題視されている中で、今一度、目の前の患者さんが本当に手術適応なのか見つめ直す必要があるのかもしれない。

 

そして、そのためには医療者が自らの価値観で手術をすべきと選択するのではなく、患者さんが自ら意思決定ができるようなコミュニケーション・人間関係の構築が不可欠である。

 

合わせて読みたい

* 【手術ミス】人工膝関節のOPE、誤って右膝用の部品を左膝に

 

1,引用文と本文の区分をはっきりする。引用文には、「blockquoteタグ」で囲うものとする。2,引用元の本文を全文引用しないものとする。3,引用文は勝手に編集(構成上略す場合を除き)、内容の変更は行わないものとする。4,引用文のみの記事構成にはしないものとする。以上.
<本記事は、※1著作権法第32条 を参考に、以下の部分に注意し、記事の引用を行なっています。>

※1(引用)著作権法第32条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。(文化庁:著作権なるほど質問箱

人工膝関節全置換術は適応を見直すべき?|米Mount Sinai医科大学のBart S Ferket氏らの報告

Popular articles

PR

Articles