法律を変えられないようにする
POSTインタビュアー今井:これまで先生に色々なお話をしていただきましたが、今のような先生がおっしゃる危機感を持ちはじめたのはいつ頃ですか?
山㟢勉先生:いや、危機感というよりはトラウマなんですよ。マッサージ師の時に「お前達もういらないんだよ」って言われました。だからいつかPTも「あんた達いらないよ」って。たった一つの法律が変わるだけで、変わっちゃうですよ。
インタビュアー今井:そうですよね。
山㟢先生:でも、法律って変えられないものがあれば変えようがないんですよ。「あいつらじゃなきゃダメだ」っていうものをもてないと。やっぱ知識じゃダメなんですよ。知識を持ったって養成するには3、4年ありゃ出来ちゃうんです。技術を持って養成するには何十年かかるですよ。そう簡単には追い出せない。
POSTインタビュアー今井:確かにそうです。
山㟢勉先生:それから、私の場合、終戦後のトラウマが関係しているんでしょうかね。
終戦後のトラウマがいまでも
POSTインタビュアー今井:終戦後のトラウマですか?
山㟢勉先生:そうです。終戦の時にですね、私、小学校5年生だったんですけどね。8月15日って終戦の日っていうか、敗戦の日なんです。で、その前までは散々、「あいつらダメだ」と米兵を悪く言っていたのです。ですがあくる日から、「忠誠心」に変わったんです。大人達の態度が急にコロッと変わっちゃうんですよ。一日で。それ以来、権威ってあんま信用しなくなった。子供ながらに強烈だったんでしょうね。大人は信用出来ないって。
インタビュアー今井:具体的にはどう変わってしまったんですか?
山㟢先生:もう真逆です。敗戦したらとたんに米兵は救世主になりましたよ。
POSTインタビュアー今井:その時は何か、米兵から支給受けたりとかしてたんですか?食べ物の支給とか。
山㟢勉先生:いやいや、そんなんもっと後ですよ。
インタビュアー今井:負けた瞬間そうなっちゃうんですね・・・。さすがにその体験って僕らにはありません。
山㟢先生:あれは、強烈な印象でしてね~。
二度あることは三度ある?
POSTインタビュアー今井:そうですよね。国が負けるって私たちはスポーツぐらいでしか見たことありませんから。
山㟢勉先生:国が負けてもですね、何て言うのかな~、正統な戦いをして負けたら仕方がねぇっていうのはわかりますけどね。途端にころっと寝返えっちゃたんですよね。それが信用出来ない。
インタビュアー今井:人間不信になりますよね。
山㟢先生:大人不信ですね。
POSTインタビュアー今井:終戦後が一度目で、マッサージ師になってからが2度目ですね。さすがにその、人生の中で3回裏切られるようなことは嫌ですね。
山㟢勉先生:まあ、もう歳だから裏切られようが無いけどね。まあ、そういう意味ではね、すごい印象を受けたのは、ある病院の事務長さんが、リハ部門にリハ部のレベルを上げたくないって言ったんですよね。
インタビュアー今井:なぜですか?
山㟢先生:何故って聞いたら、「患者さんよくなっちゃう。そしたら病院が困るから」って。さすがに、私の存在理由がありませんからと言って辞めましたけどね。