11月30日、厚生労働省は以前より募集していた「ACP(アドバンス・ケア・プランニング)」の愛称について、「人生会議」に決定した旨をホームページ上で報告した。
▶︎ ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の愛称を「人生会議」に決定しました
応募総数1073件の中から、聖隷浜松病院に勤務している看護師 須藤 麻友さんの「人生会議」が「意味が明確な単語の組み合わせにより、日常会話に浸透していくことが期待できる。」、「家族等、信頼できる人たちと輪を囲んで話し合う、というイメージが湧く。」という理由で選定された。また、同時に11月30日(いい看取り・看取られ)を「人生会議の日」とし、人生の最終段階における医療・ケアについて考える日と設定された。
今年3月14日、厚生労働省は改訂版「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を公表。近年、諸外国で普及しつつあ るACP(アドバンス・ケア・プランニング:人生の最終段階の医療・ケアについて、本人が 家族等や医療・ケアチームと事前に繰り返し話し合うプロセス)の概念を盛り込み、医療・ 介護の現場における普及を図ることを目的に以下の3つの観点から、文言変更や解釈の追加を行った。
① 本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針についての話し合いは繰り返すことが重要であることを強調すること。
② 本人が自らの意思を伝えられない状態になる可能性があることから、その場合に本人の意思を推定しうる者となる家族等の信頼できる者も含めて、事前に繰り返し話し合っておくことが重要であること。
③ 病院だけでなく介護施設・在宅の現場も想定したガイドラインとなるよう、配慮すること。
日本は文化・宗教的な背景から"死"に対して向き合うことがタブー視されて来ており、特に医療では、「どんな患者の命でも救わなければいけない」という価値観から、患者や家族が望まない延命治療などが行われている。
例えば、この記事を読んでいるあなたは親が何歳まで生きたいか、また人生の最後をどのように迎えたいかといったことを知っているだろうか。週末期医療が進んでいるとされているオランダでは認知症の転倒リスクが高いが車椅子は利用したくないしといったケースでも安楽死が認められるという。ACPの考え方はリハビリテーションに携わる我々でも、とても大切な考え方なので、ぜひ一度ガイドラインを目を通しておくといいだろう。