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国中優治先生−起業家理学療法士(PT)−最終部

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教育における覚悟

基本的に私の会社では若手もベテランも役員も会社の「お金」の事情はすべて開示しています。実際に誰がどの程度もらっているかもきっとわかっていると思います。会社の借金(うちのグループでは融資と呼ぶようにしてます)であってもわかっています。これも持論ではありますが、このように会社の事情を知ることで「当事者意識」が芽生えると思っています。「誰かがやるだろう」「きっとそのうち良くなるだろう」という気持ちではこのようなサービス業は出来ないと思っています。そうすると、1年目の新人も「どうすれば利用者を増やせるだろう?」という悩みを持つようになってきました。これが当事者意識です。新人教育時に増患対策よりも「まずは、患者に慣れること、知識・技術を高めることに専念してくれ」という上司の指導を耳にしますが、??が頭をめぐります。患者の前に立たせるのであれば尚更、患者を増やし病院の売り上げに貢献することを考えさせないといけないと思います。ただし、誤解してはならないことは情報があふれているこの世の中、選択決定権を持つクライアントに来てもらうためには、知識・技術は当たり前となる条件であり、それ以上のサービスの姿勢を精一杯努力することに組織の強さが生まれてくると思います。今までは、売り上げ意識というとどこか「金儲け主義」的な印象を感じ取っていたでしょうが、それは組織上肝心要である“上司”がどこか当事者意識がない為に若手スタッフ全体に蔓延してしまってる悪い状況であることは間違いありません。私も教育者としての経験がありますが、「伸び伸びさせる方針」というものは上司からすると非常に難しいコントロールが必要になります。大抵の場合が「伸び伸び方針」と思われる言動・行動をとった場合、後悔されている方が多いと思われます。自分の思惑と違う方向に若者が進んでいることに痛いほど気付かされるのです。それはなぜか?上司の明確な思いをはっきりと伝えていないからだと思います。「昔は〜すれば〜するもんだ」などと阿吽の呼吸的な同調を一方的に求めていると、全く思惑とは違う方向に進み、やがてコミュニケーションの減少、いきなり爆発!などの気難しい上司になってしまいがちです。同調するまでの手続きは基本的に今も昔も変わらないと思いますが、その“きっかけ”づくりの工夫がなされていないのではないでしょうか。

やはり同調するためには共通言語や共通認識のキャッチボールが呼び水となりますが、そこを努力していない方が多いと思われます。皮肉にも新人当初に放った「まずは、患者に慣れること、知識・技術を高めることに専念してくれ」の言葉がその新人を成長させ、上司に共通認識を同調として求めはじめた時に、上司は「セラピストとして何もアップデートされていない」「パソコンの前にしかいない」「俺達の成長を理解してくれない」などの別空間の人になっているのでしょう。それではどうすればいいのでしょうか。前述したようにセラピストとしての情報収集は必須でしょう。それは若手が頑張っている内容を聞くこともいいでしょうし、自分が自らそこに足を運ぶこともありでしょう。ベテランが生涯学習をしないということは、将来してもしなくても一緒であることを示すことになります。ただし、ポジションが上がると当然ながら組織人としては運営に携わることは重要です。その時にはなぜ、そのようなことをしているのかを常日頃から会話をしたり、リハの売り上げなどを計算させるのを若手にさせたりすればいいのではないのでしょうか。ITに関しては若者の方が数倍仕事が早いですし、そんな重要な数字を見ることが許されるだけでその若手には当事者意識が芽生えてきます。数字を見て初めて自分たちの売り上げと給与とのバランスなどもわかってくるものです。そうすれば若手が外で「うちの上司はパソコンの前ばかりいる」などは言わなくなると思います。

結局そのようにして部署が“強く”なり、トップからの評価も上がるのではないでしょうか。うちのグループにも“経験者”としてポジションの高いスタッフがいますが、実はこの階層への介入の方が私自身の作業量は多いのも事実ですが(笑)

基本的に社員への教育として怒ることといえば、「継続可能なことをやらなくなった時」です。これに関しては一番口を尖らせます。私の知る素晴らしいお仕事をされる方々は皆、この継続性の“強さ”を感じますし、このシンプルな習慣ほど難しいものはないのです。皆さんもご承知の通り、決めたことをいつの間にかしなくなったことありますよね。備品の場所、やると決めた知識・技術の介入などなど。実はこれを徹底的にやってのけるということはある意味異常なのです。その異常さがクライアントには良い意味で変化や刺激を与え、価値あるサービスとして知覚するのだと思います。カフェのようなおうちにしたいと思い家具やグッズを揃えても生活感が出ると全くもっとしてカフェでは失くなるのです。カフェはいつでも綺麗、整頓されている。だからいいのです。日常と違う空間に価値があるのです。これをやってのけるには継続の力が必要不可欠となるのです。なんとなくおわかりではないでしょうか。

弊社の社員は私の思いに同調し、いつしか皆で打ち合わせや事を起こすまでになってきました。私も全力で思いを伝え、時には喜び時には怒りを露わにし、人間ぽく向き合っています。そのおかげでいつも助かっていますし、安心して留守にできます。留守に出来るということは次の挑戦に向かうことができます。そんな強い組織となることで世の中が幸せにすることが実現出来るということは、たかがセラピストとしても自信が湧きます。

最後にその険しい道を共に出来る社員達、またその家族を守るのが私の努めであり、理不尽にウチの組織に不利益をもたらすような相手には「腹を切る覚悟」で挑みます。会社経営も、教育も「覚悟」なしでは出来ません。

DSC_0138多くの従業員の教育とは?その信念に迫ります。

今後の展望

今後の展望としては、冒頭でも述べたように療法士が自分の人生の「選択」を迫られた時にどのような思考や行動を行うべきかのアドバイス役に回りたいと思います。これは起業を促すものではなく、その療法士がまだ残される可能性をつかめるようなきっかけを作りたいと思ってます。私が教員としての経験が長いためか、若手が希望をなくすような世の中にはしたくありません。私の業態に興味を持つ方が多く相談に来られますが、必ず私は「やった方が良い」と伝えます。しかしながら、その方の現況において相応するかどうかははっきりと意見を述べさせてもらっています。その方が知識・技術に自信があっても、起業して生きていけるかどうかは全く別です。はっきり言って、もっと現場で考えるべき人はたくさんいます。しかしながら「選択」に関してはその方のチカラでもありそういう覚悟を決めた方には出来るかぎりの支援をしようと思ってます。必要であればうちの会社のデータもみんな渡すこともします。起業だけでなくどの場面でも言えることですが、最終的には、何があってもやり抜く気持ちが強ければ何だってうまく行くと思っています(予想を上回る異常なまでの継続性が必要性がありますが)。起業に関してはすごく良いことだと思っていますが、社会に責任を果たすことは忘れてはいけません。どこか、組織に属することがバカバカしくなり、自分でやったほうが利益も大きいなどと言った理由だけでは絶対にいけません。起こすのは簡単ですが、継続させること程難しいことはありません。継続可能性は起こす前から意識し、そこに立ち向かう努力(調査や分析など)は絶対に惜しまないこと。

 そして起業する際には、できるだけ社員を雇う事を意識して計画を立てて下さい。自分だけでは限界が低いのと社会に対しての貢献、責任は大きく持つほうが自分の起こした価値が上がります。そしてクライアントターゲットはあくまでも“世の中”であることを忘れないようにして下さい。
何度でも言いますが、最後まで責任を果たす「覚悟」があれば起業はした方が良いですし、そのような起業家を今後も支援していきたいと思っています。

IMG_4573国中先生が代表を務める訪問看護ステーション「ラシクアーレ」カフェのようにオシャレな空間は、先生のお客様に対する配慮が感じられます。

国中優治先生経歴

経歴:保健学修士(神戸大学大学院 医学系研究科)理学療法士

●株式会社 SENSTYLE   代表取締役

●株式会社 SHIFT      代表取締役 会長

●株式会社 ISIGN       代表取締役

●ICHIRYU Project      代表

―過去の職歴―

○永田整形外科病院          理学療法士

○西日本リハビリテーション学院    専任教員

○九州中央リハビリテーション学院   専任教員

○ユニタ整形外科形成外科クリニック  ゼネラルマネージャー

—研究実績—

膝屈曲時の膝窩痛発現に関する解剖学的検討

遺体を用いた膝屈伸運動における機能解剖学的検討

膝窩筋の位置と機能解剖からみた膝窩部痛の発生機序

膝窩部痛の疼痛について 第2報

国中優治先生−起業家理学療法士(PT)−最終部

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