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最近の臨床実習では、症例レポートの代わりにデイリーノートの提出が主流になりました。デイリーノートの書き方については、各養成校がそれぞれ工夫した様式を用意しています。
今回ご紹介する「統合と解釈」と「考察」の書き方は、主に症例レポートで使われるものですが、日々のデイリーノート作成にも非常に役立ちます。どちらも基本的な文章構成は共通しており、この構造を理解しておくことで、今後の臨床実習や臨床現場で大いに活用できるでしょう。ぜひこの記事をお気に入り登録してください。
統合と解釈の構造を徹底理解
多くの学生は「統合と解釈」と「考察」の違いを正確に理解していないことが多いため、まずはその違いから説明します。
統合と解釈とは、簡潔に言えば「目の前にある現象をそのまま文章化する」ことです。ここでは、理学療法士の主観的な考えや飛躍した解釈は含めません。
症例に対して行った評価結果を順序立てて記載するだけです。様々な評価から得られた複数の結果がありますが、すべてのデータを無理に関連付ける必要はありません。ここでは得られた結果を整理して記述します。
例えば、
「肩関節のROM-t検査の結果、肩関節屈曲110°で制限があり、最終域で疼痛が出現しました。姿勢観察では胸椎の後湾増強や体幹伸展可動域制限(能動的な制限)が見られたため、他動的に体幹を伸展位にして肩関節のROM-t検査を再度行ったところ、制限も疼痛も出現しませんでした」
上記の文章が基本的な構成例です。これをさらに単純化すると、以下のような構造になります。
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
統合と解釈のテンプレは実はこのシンプルな構造だけです。実際には、以下のようにこの構造が連続します。
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
↓
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
↓
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
↓
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
統合と解釈を書く際の最大の難関は、この「↓」の部分を適切な接続詞で文章にすることです。ここには一定のパターンがあります。
「続いて」「さらに」「一方」などの接続詞を使います。文章を構成する際の重要な要素は、「起承転結」という基本構造です。通常は3段落構成(1:2:1の比率)または4段落構成で書きます。「結」の部分は考察に該当するため、統合と解釈では「起承転」までを記載します。
上記の接続詞を矢印の部分に当てはめると、次のようになります。
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
↓【続いて】起
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
↓【さらに】承
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
↓【一方】転
「〇〇の結果から〇〇となった。〇〇の評価からも〇〇となり、〇〇を行うと〇〇となった」
いかがでしょうか?基本的な構造の文章を適切な接続詞でつなげるだけで、論理的な文章が完成します。さらにこの内容を詳しく説明し、ストーリー性を持たせ、理学療法士としての解釈を加えることで「考察」へと発展させることができます。
考察のテンプレ
「〇〇により、〇〇が困難となった症例に対して、〇〇という観点から評価を実施しました。その結果、(統合と解釈の要約)ということが明らかになりました。また、〇〇らの研究では、〇〇に対して〇〇と報告されていることから、〇〇を実施しました。〇〇実施直後、〇〇については改善が見られた一方で、〇〇に関しては変化が見られませんでした。このことから、〇〇に関する評価が不足していると考え、〇〇を追加で実施しました。その結果、〇〇では発見できなかった〇〇という問題が明らかになり、これが〇〇と相関していることが〇〇により確認できました。そこで〇〇を実施したところ、〇〇では一時的に悪化したものの、〇〇を併用することで改善が見られました。〇〇ら2)の研究でも、〇〇に対して〇〇という側面が報告されており、今回の症例も同様の特性があったと考えられます。今後は、〇〇について追加で〇〇検査を実施し、次の目標である〇〇に対するアプローチを検討していきたいと思います。」
上記が考察のテンプレとなります。
統合と解釈、考察を書く上で最も重要なのは、読み手に伝わる文章を書くことです。文章は基本的に他者に読んでもらうために書くものです。読み手に理解されない文章では意味がありません。わかりやすい文章は、適切な構造に基づいて書かれています。
ぜひこのテンプレートを活用して、日々の実習記録や症例報告、臨床での説明をより効果的に行ってください。皆さんの学びと臨床実践の向上を心より願っております。