日本人の約22.5%が慢性痛を持っていると言われている。 特に維持期のクリニックなどで働いているセラピストであれば、痛みが主たる問題になることが多いのではないだろうか。 その痛みは、身体的な問題だけではなく心理状態や社会的要因など“患者背景”にも目を向ける必要性がある。
畿央大学大学院健康科学研究科修了生の田中陽一らは“痛み”と人付き合いの技術である“ソーシャルスキル”との関係について報告した。
▶︎ ソーシャルスキルが痛み感受性および心理社会的要因へ与える影響について :共分散構造モデリング
研究では、社会的要因の1つであるソーシャルスキルに焦点を当てており、先行研究によると、ソーシャルスキルが低い者はネガティブな心理状態に陥りやすい。逆にソーシャルスキルに優れている者は社会的支援(ソーシャルサポート)を受けやすくなるとともに生活の質が高くなり、抑うつに陥りにくいとされている。
研究グループは、ソーシャルスキルが痛み感受性および心理社会的要因へ与える影響について共分散構造分析(SEM)を用いて検討。その結果,ソーシャルスキルの下位項目である「関係開始」スキル(集団のなかでうまくやっていく第一歩として重要なソーシャルスキル)と痛みの感受性との間に正の関係性があることが認められた。
【8月18日】破局的思考・運動恐怖・身体知覚異常など
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