文京学院大学の藤谷克己教授が10代〜90代男女の白癬菌散布率を調査した結果、64歳以下では9%であるのに対し、65歳以上の高齢者は55%と半数以上の高齢者が白癬菌(水虫)である事がわかった。
その水虫は、転倒リスクも向上すると報告された。
早稲田大学スポーツ科学学術院の中村好男教授らが1万581人を対象に調査したところ、足の指や爪に水虫などの問題を抱えている高齢者で、過去1年間に転倒経験を持つ人の割合は、そうでない人よりも高かった。
詳細を読む(引用元):https://style.nikkei.com/article/DGXKZO21125450U7A910C1W10601?channel=DF140920160921
足の水虫は「足白癬」、それが爪に進行した状態を「爪白癬」という。爪が白や黄色に変色し、ボロボロになってしまう状態だ。
問題となるのがこの爪白癬で、爪がもろくなっていたり、剥がれてしまったりする事により、歩行時の足趾にかかる負荷を受け切れずによろめいたり、すり足になってしまう。その結果、転倒リスクが向上する。
足趾の爪と歩行の関係については、フットケアをすることによって足趾の接地能力が向上し、立脚後期における蹴り出し、足関節背屈角
度、膝関節屈曲角度、大転子変動量の向上し、歩行時のすり足、転倒のリスクが減少すると他にも報告されている。
また、我々は、高齢者を担当することが多いことから、水虫が移る危険性が非常に大きいと言えるだろう。
白癬菌は、保有者から出た垢などに潜み、非保有者に付着すると24時間かけて皮膚内部に侵入し感染してしまう。
予防方法として文頭に紹介した藤谷教授は、
・1日1回は、足を洗う
・アルコール消毒ではあまり効果が無い為、石鹸で洗うこと
・菌が繁殖しないように水気を拭き取る
・バスマットやタオルは共有しない
・踵のかさつきから菌が侵入しやすい為、クリームなどで保湿する
等を推奨している。
臨床場面では、白癬による足のかさつき、皮膚の剥離を本当によく見かける印象だ。
重篤なウイルスなどの院内感染は、ニュースやメディアで取りざたされるが、普段よく見かける白癬はどうだろうか。
普遍的によく見かけるからこそ、センシティブな対応が必要だ。