「病院では、マナーモードか電源をOFFに」
あなたが働いている医療機関は、どうだろうか。近年では、使用可能エリア、通話禁止エリア等に区分けされている所も多くなっているのではないか。
では、実際携帯を使用すると問題は起こるのであろうか。
病院の携帯使用状況や医療機器の誤作動、公共の場でのペースメーカー装着者への影響を中心にまとめてみた。
電波環境協議会(東京都)を訪ね、事務局の星克明さんに病院内の携帯電話について尋ねたところ、意外なことがわかりました。
(前略)14年には携帯電話使用を「一部の場所」に限って認めていた病院が85%、「院内すべてで使用可(制限なし)」は5%にとどまっていましたが、今年の調査では「一部の場所」が71%。「院内すべて」は5倍の25%でした。
(前略)星さんは「安全性を確認してICUで使えるようにした病院もあるんですよ」と言います。
そのひとつが金沢大学付属病院(金沢市)。
医療機器への影響を調べた詳しいデータが当時はなかったため、携帯電話会社のNTTドコモと共同で、手術で使う人工心肺装置などについて携帯電話の電波が与える影響を調べ、11年に成果をまとめて発表しました。
調査の結果、8種類の医療機器で影響が確認されましたが、1機種のみは機器の1メートル以内には近づかないようにし、そのほかは院内では電波の出力を抑えて影響を防げるようにしました。
詳細を読む(引用元):朝日新聞デジタル
以前は、PHSの方が電波が弱く影響力が少ないとされてきた。しかし、本文中にあるように、院内の全域で携帯電話を使用できる病院は増えてきている。医療機器の電波耐性の向上、携帯電話の電波が以前より弱められている事が要因としてあげられる。
ただ、まったく影響が出ていない訳では無く、本文中にもあるように数機種には影響が出てしまっているとの事。
では、どのような状況下で影響が出やすく、どのような配慮すれば良いのだろうか。
2014年に総務省が発表した「医療機器における携帯電話等の使用に関する指針について」
では、
離隔距離については,医用電気機器の電磁両立性に関する国際規格で用いられている推奨分離距離等を参考にして,影響が懸念される医用電気機器から1m程度離すことを目安とすることができる。
ただし,各医療機関において独自に行った試験の結果や医用電気機器の取扱説明書からの情報等をもとに安全性を確認している場合は,1m程度よりも短い離隔距離を設定することができる。
あくまでも目安の距離は1mとの事だが、それでは患者やクライアントに近づく事ができなくなってしまう。
この辺りは、使用している機器や各医療機関の判断に委ねられているのが現状のようだ。
さらに身近な問題として、ペースメーカー使用者と携帯使用の問題についてはどうだろうか。
こちらも同年に、総務省から報告された「電波の医療機器等への影響に関する調査研究報告書」
によると
植込み型医療機器の装着者は、携帯電話端末の使用及び携行に当たっては、携帯電話端末を植込み型医療機器の装着部位から15 cm程度以上離すこと。
携帯電話端末及びPHS端末の所持者は、植込み型医療機器の装着者と密着した状態となる可能性がある場合(例:満員電車等)、その携帯電話端末等の電源を切るよう配慮することが望ましい。
とされている。
電車内での携帯電話使用者とペースメーカー装着者とのトラブルも幾つか報告されているようだ。
慎重な姿勢は必要だが、過敏になり過ぎてもいけない。
もし、そのような場面に遭遇したり、当事者になってしまったら、正しい知識を伝えることも医療従事者としての責任ではないだろうか。