女性米軍の骨盤底筋不全と呼吸指導【Mary Mcvearry PT, DPT, WCS】

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―米国の教育では、women’s health and pelvic health physical therapyについて講義があるのですか?

 

メアリー先生 大学のプログラムにもよりますが、補助的(選択)なプログラムとしてこのwomen’s health and pelvic health physical therapyの講義を受けることができます。

 

選択し、学校の許可を得ることができれば専門的な施設で実習を行うことも可能です。私が学生時代は、最終実習で3ヶ月間専門の施設に行くことができ、骨盤底筋群の専門理学療法士について勉強することができました。ここでの経験が非常に面白く、この分野の専門家として生きて行くことを決めました。

 

この専門分野を知るきっかけは、大学に行ってからになりますが、この分野に衝撃を受けたのを覚えています。それまでは、神経系、例えば脊髄損傷や脳卒中を専門としようとしていました。実際、実習にも行きましたが、あまり魅力的には感じませんでした。笑

 

―現在、米軍の施設で働かれているとお聞きしましたが、実際にはどのような活動をされているのでしょうか?

 

メアリー先生 米軍の施設なので、軍関係者を多く担当しますが、その家族も対応します。女性でも米軍に勤務している人は沢山いますので、このような場が必要になります。

 

米軍ですから、戦争で負傷した人もいれば、訓練で負傷する人もいます。そういった方々のケアが中心になりますが、銃を持って訓練し、飛行機から飛び降りるような訓練をしていますから、骨盤底筋群が硬くなる傾向にあります。つまり、機能不全に陥るわけです。

 

当然訓練は男女関係なく行いますので、ケアも男女同じようなことを行います。検査の部分では、異なった方法を行います。外傷も多いのですが、軍となると精神的ストレスも多くかかります。

 

講習の中で、膣壁の収縮を電気信号で測ったと思いますが、精神的ストレスを与える言葉を浴びせると、収縮していましたよね。もちろん人によるとは思いますが、こういったことも、骨盤底筋群の機能障害を作る原因の一つになります。

 

これに対して、私たちができること、処方していることはブリージング(呼吸)の指導を行うことがあります。横隔膜を動かすことで、副交感神経の活動を高めることができる、という研究がしっかりできていますので、基礎的な運動ですが、すごく役に立つことがあります。

 

―日本ではよく、呼吸指導では腹式呼吸の指示が医師から出ることがあります。しかし、腹圧を高めすぎ腹部の離開が進んでしまうケースがあります。

 

メアリー先生 そこはしっかりと、理学療法士が医師に意見を求める必要があると思います。米国では、院内教育が行われ、その時に医師に伝えることができます。そういった活動が必要になるでしょうね。

 

―先生の今後の展望をお聞かせください。

 

メアリー先生 いい質問ですね。ちょっと考えて説明しなければなりませんが、現在9年ほど同じ場所に勤務しています。ここでは、教育施設でもあり、教育も研究も沢山行うことができました。ある程度の期間、仕事していると次のステップに進みたくなりますよね。今がその時なのですが、教育が好きなので教授になって大学で働こうかと思ったのですが、それでも臨床のやれる場所を探しています。

 

しかし、何が起こるかわからないので、その辺りのことを今考えている途中です。現在、1歳になる子がいて、もう一人欲しいと思っています。自分の人生とのバランスも考えて選択して行きたいと思っています。夫の負担も増えてしまうのでどうなるかわかりませんが。笑

 

―最後に先生にとってプロフェッショナルとは?

 

メアリー先生 これもいい質問ですね。色んな意味があると思いますが、米国では特に、理学療法は博士学位なので、博士学位にとってふさわしい人である必要があります。医師に意見を伝えるときも、自分が専門家として意見を言えることが大切なのではないかと思っています。様々な障壁はあると思いますが、それを理解してもらうことがプロフェッショナルなのではないかと思います。

 

常に、自分をプロフェッショナルとして品格ある人間として見せていくことが重要だと思います。

 

MARY MCVEARRY PT, DPT, WCS Profile

Mary McVearry is a Pelvic Health Physical Therapist at the Division of  Urogynecology at Walter Reed National Military Medical Center  and

a Faculty member of the Urogynecology fellowship program. She has been  the Associate Professor of OBGYN at the Uniformed Services University of  Health and Science and served as Director for the Northwestern University  Physical Therapy Alumni Association Board.

Professionally, Mary treats both men and women in orthopedic, peri-  partum, neurologic, traumatic, and oncology related pelvic health  dysfunctions. She has been a recipient of research award grants from  Section on Women’s Health and IUGA and was also a recipient of the  Annual Rehabilitation Award in 2012 by AMSUS, the Society of Federal  Health Professionals. She is actively involved in teaching and clinical  supervision of graduate medical education of physical therapy, nurse  practitioner, and medical students at the University and Walter  Reed.

She is passionate about promoting pelvic health and has completed a 1-  month medical mission through the International Organization for Women's  Development in which she trained physical therapists and developed a peri-  partum exercise program for women in Rwanda. She hopes to continue  international pelvic health training in the future.

女性米軍の骨盤底筋不全と呼吸指導【Mary Mcvearry PT, DPT, WCS】

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