理学療法士(PT)小平愛子先生 -性に対するリハビリテーションの普及を目指して- 第2回

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 現場でのセクシュアリティの知識の乏しさ

インタビュアー細川:

先ほど「課題がある」とおっしゃられましたが、

この領域における現場の問題点は何が挙げられますか?

小平先生:

まず、基本的(生理的)三大欲求である性欲は、私たち生物にとって当然の事柄ですが、

なぜか医療福祉の現場では切り離して考えられています。

インタビュアー細川:

確かに。

小平先生:

仕方がないことであるとは思いますが、現場で働く医療スタッフが養成校において、

患者さんのセクシュアリティに関して詳しい教育を受けてくることはとても稀なことです。

私の学生時代の記憶を辿っても、性における支援を記した項目があるのは、

脊髄損傷の参考書にバイブレーションを用いた射精の方法が記されている部分ぐらいでした。

インタビュアー細川:

確かに、まず学校教育では習いませんね。

そもそも、国家試験にも出ないので教科書にもほとんどのらないですしね。

そんな中、小平先生は「身体障害者の性活動」という本を執筆されていますが、

療法士に求めるものは何があるのでしょうか?

小平先生:

まず、療法士は患者さんに一番近い存在だと思っています。

食事、排泄、入浴動作などをはじめとした生活に関する介入に大きく関わりますよね。

その生活にはもちろん「性」に関することも生活に含まれるはずです。

療法士が排泄方法の指導はするのに、性に関することは関係ないと考えるのはおかしい。

国際生活機能分類(ICF)には性に関する分類項目がきちんとあります。

それにも関わらず、現場では生命に直結する排泄については積極的に介入されますが、

セクシュアリティに関することは問題があることにさえ気づいていない、

つまり無視されている状況です。これはやはり違和感があります。

インタビュアー細川:

確かに、その論理でいけば違和感ありますね。

では、看護師や介護士もいる中で、療法士が行う必要性はどこにあり、

また、どのような支援を行っていけばいいのでしょうか。

小平先生:

まず、療法士は病院では特に看護師や介護士よりも

患者さんとマンツーマンで会話をする時間が長いと思います。

なにより、心身機能の評価やアプローチができる。

しかし、多くの療法士に聞いても、

セクシュアリティに関する相談は受けたことがないと答えます。

でも、実際にはセクシュアリティに関することで悩みを抱えている方は多く存在しています。

その課題は人それぞれ異なりますが、

例えば女性であれば生理用品の扱い方、

男性であれば自慰に関することなど、もし相談された時どうするのか。

療法士はこういった知識を知っている必要があると思います。

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セクシュアリティに関する知識の必要性

インタビュアー細川:

知らないといけないのはわかりますが、やはり「学校でやってないから。」

という理由で敬遠する療法士も多そうですよね。

とっかかりとして最低限これだけは知っておいて欲しいという知識が、

もしあれば教えて下さい。

小平先生:

教育課程のカリキュラムに含まれていないので、

知らないのは仕方ないのですが、今日読んで頂いた方はこれを機に知って頂きたいと思います。

セクシュアリティに関する悩みや課題、

問題があって支援を望んでいる人も存在するという現状があること、

そして、セクシュアリティに関する正しい知識の把握と必要性についてですかね。

インタビュアー細川:

そのなるほど。確かにこの領域は「真の信頼関係」が成立していないと、

患者さんから訴えることは難しいですもんね。

まずは、そのようなニーズがあると

知っておくことが大事になりますね。

小平先生:

もし自分が相談してくれた人と同じ状況だったら。

セラピストに相談したけれど、よく分からないと言われて話をはぐらかされたら。

このように想像すると、当事者意識をもって考えざるを得なくなります。

また、患者さんがゲイだったり、レズビアン、バイセクシュアル、

トランスジェンダー(その他にも様々ありますが、これらを総称してLGBTsと呼ぶ)

の場合もあります。

そういった性的志向の方たちも身近に多くいます。

しかし、そのことを知らないと、自分が無意識のうちに会話において偏見や差別的な発言をし、

相手を傷つけている場合があることにも気づきません。

こうした性的志向の多様性に関する正しい情報も自分から関心を持って

取りにいかないと、学校では教えてはくれません。

インタビュアー細川:

確かに。学校では全てのことは教えてくれないですし、

現場に答えはたくさん落ちてますからね。

このような知識をまずは知っておくことが、

一人の患者さんの「真のニーズ」を汲み取れる可能性があることを知るべきですね。

小平先生:

はい、本当にそう思います。

小平愛子先生経歴

経歴:

群馬パース大学 理学療法学科 卒業

リハビリテーション病院に4年間勤務後、2015年1月から青年海外協力隊でスリランカへ派遣。

著書:身体障害者の性活動(一部執筆)

*第3回(最終回)は1月21日に配信します。

 
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理学療法士(PT)小平愛子先生 -性に対するリハビリテーションの普及を目指して- 第2回
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