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第二回:主体的に働く動機付け【株式会社メディケアソリューション代表取締役|理学療法士 鯨岡 栄一郎先生】

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コーチングでマネジメントするとは?

ー コーチングを学んでいてそれを実際にマネジメントに活かした場面って何かありますか?

鯨岡先生 すごくたくさんあるんですが、例えばスタッフの「部署でこういう取り組みをしたい」という提案に対して、なかなか通らなかったり、すごく進行が遅かったり、却下されてしまうことがあるじゃないですか?

 

人って主体的になった時にこそ、パフォーマンスが発揮されやすいのですが、「とりあえずやってみたら?」というスタンスで取り組んでもらったことで、いい流れができました。施設内に、主体性に基づくスタイルを根付かせて、みんながやった成果を認める、という仕組みを作ったからこそ、施設自体のネームバリューが際立ったんじゃないかなと思ってるんです。

 

 

ー 逆にやりたいことがないチームとかモチベーションの低い人とかもいたりすると思うんですけど、主体性を引き出すコツっていうのはありますか?

 

鯨岡先生 人数が増えれば、やる気がない人は一定数います。ある種仕方がないというのはありますね。ただ、そんな時に、動機付けのきっかけになるのが「成功体験」なんじゃないかと思ってるんです。

 

例えば自分が関わることによって、相手が良くなったり、喜んでもらえた、感謝されたという「こんな自分だけど役に立てたんだ」と感じることができた時に、一番動機付けられるんじゃないですかね。

 

「君がやってくれたから、〇〇さんすごい喜んでたよ」と褒めたり、「すごい変わったよね」とか「見かけに寄らずやるじゃん(笑)」というのを冗談半分でもいいから言ってあげることがいいんじゃないかなと思います。

 

現代、普通の業務遂行だけじゃ誰も動機付けられません。成功体験を感じさせてあげること。そういうのことが大事ですね。

 

あとはコミュニケーションの仕方によっても、信頼関係の度合いというのは変わります。別にコミュニケーションが苦手と思っていない人の中にも、あまり効果的じゃない喋り方をしてしまっている方っているんですよね。

 

ー  効果的っていうのはどういうことですか?

 

鯨岡先生 例えば、一緒にいるだけで思わず利用者さんや患者さんが動機付けられて、満足度が全然違うという状態ですかね。

 

 

最近私はセミナーの中で、「相手にご機嫌を与える」という言葉をよく言っています。いるだけで快感情を与えるとか、思わず自ら自主練を始めるとか。そういうコミュニケーションの使い手になれるといいですよね。

 

患者さんとか利用者さんは「この人ちょっとイヤだな」という違和感をすぐに感じ取ります。なので、決してたくさん喋ればいいというわけでもありません。自分なんか、だんまりしてリハビリすることもありますし、トータルの存在感というのが影響しているんじゃないかなと思います。教科書的に言うと非言語コミュニケーション。たたずまいとか表情とかも含みます。

 

会社設立は表現の自由を求めて

 

ー 株式会社メディケアソリューションを始めようと思ったきっかけは?

 

鯨岡先生 コーチングの活動や講演の活動によって、早々に個人事業の開業届けを出してスタートしたのですが、施設の仕事をしながら副業を続けていて、そういった活動も増えてきたので2014年に会社を立ち上げることにしました。周りに経営者も多かったので、それは私にとっては自然なことでした。

 

執筆物だったり、セミナー資料作成などの部分で、施設と個人活動の線引きが曖昧になってきていて。施設の業務はもちろんやっているつもりでしたが、私自身Webでのプロモーションに力を入れていたので、法人内の人が見たときに「この人何やっているの?」と思われたり、法人に迷惑がかかってしまうかもしれないと感じていました。

 

また、会社を立ち上げたとしても、軌道にのるのに2、3年はかかるじゃないですか。なので、準備は決して十分ではなかったのですが、走りながら勉強して成長していくのが早いと思い、先を見越して設立しました。対法人のビジネスをしたかったですし。

 

あとはそのとき求めていたのが“表現の自由”ですかね。どうしても看板を背負っている状態ですと、例えばSNSで「誰かが見ているかもしれない」と気にしながら発信しなければいけない状況が嫌だったんです。法人を作ってしまえば、気兼ねせず活動ができると思ったのが正直なところですね。

 

ー 今は会社一本動いている感じですか?

 

鯨岡先生 いやいや、もといた法人と個人で提携して平日は訪問リハビリに行っていますよ。臨床に出ています。これが結構楽しませてもらっていて(笑)  地域の実情を知るとてもいい機会になってるんです。あとは夜の時間にセッションしたり、週末は講演に出たり、書籍の執筆をしたり、色々と休みなく動いてますよ。

 

ウチで標榜しているのはコンサルティング業務です。元々は個人事業からの流れで、対個人のセッションが中心でしたが、今はどこも組織の課題が山積みなわけです。リハ部門でいうと若い人が運営していく際に、リーダーシップをどのようにして発揮していくかとか、色々ありますもんね。

 

 

最近だともっと強い組織にしたいということで老健施設にコンサルティングで入らせてもらったり、事業所とか病院・チームの組織改善・仕組みづくりのご依頼をもらうことが増えてますね。

 

【目次】

第一回:部署の崩壊

第二回:主体的に働く動機付け

第三回:60点理学療法士から始まったキャリア

 

鯨岡栄一郎先生オススメの書籍

心を鍛える言葉 (生活人新書)
Posted with Amakuri at 2017.12.17
白石 豊
NHK出版

鯨岡栄一郎先生のプロフィール

株式会社メディケアソリューション 代表取締役

理学療法士,日本コーチ協会認定メディカルコーチ,国際コーチ連盟正会員

群馬大学医療技術短期大学部 理学療法士学科卒

訪問リハで現場実践する傍ら、老健の施設長だった経験を生かし、施設・事業所に対する組織活性化コンサルや研修講演事業、管理職向けの個人コーチングセッションを展開している。「心の放火魔」の異名をもち、これまで数多くの療法士のブレイクスルーをサポートしてきた、医療介護業界におけるコーチングの第一人者。

著書「医療・福祉の現場で使える『コミュニケーション術』実践講座」(運動と医学の出版社)は教科書としても採用されている。

2018年初頭に新刊出版予定

 

 [著作物・論文等]
・作業療法ジャーナル(2011年1~6月号) 「OTのための教養講座:コーチング」
・書籍 「医療・福祉の現場で使える『コミュニケーション術』実践講座」(運動と医学の出版社) 2012年
・理学療法ジャーナル(2014年4月号) 「理学療法における患者の動機づけを向上させる技術」
・通所介護&リハ(2015年9・10月号)「相手を伸ばす!レベル別・キャリア別 ほめ方・叱り方と育成のポイント」
・月刊介護保険 「介護の現場を活性化するコミュニケーション術」(2017年7月号~)

他多数。

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