第43回日本脳卒中学会学術集会にて、昨今注目を集める脳梗塞急性期治療「血栓回収療法」が取り上げられた。
わが国で1年間に実施された脳梗塞急性期の血栓回収療法は、2016年の7702件から2017年は1万360件と34%増加したことが明らかになった。日本脳神経血管内治療学会(JSNET)が取り組むRESCUE-Japan PROJECTによる調査結果で、第43回日本脳卒中学会学術集会(STROKE 2018、3月15~18日、開催地:福岡)で兵庫医科大学脳神経外科教授の吉村紳一氏が発表した。
詳細を読む:脳梗塞血栓回収療法、2017年は前年比34%増
脳梗塞の急性期における治療としてはt-PA静注療法(血栓溶解療法)が有名である。発症から4.5時間以内に薬剤を投与し、血栓を溶かすことで、血管を再開通させる治療だ。
しかし、適応が4.5時間以内と極めて早く治療を行う必要があることや、再開通の確率が30-40%と少ないことなどが問題とされてきていた。
血栓回収療法は、血管の中から、特殊な機器によって血栓を絡め取ったり、砕きながら回収し血管の再開通を目指す治療法で、脳卒中治療ガイドラインでもグレードAと推奨されている最新の治療法だ。
また、適応も発症から(6~8時間以内と)t-PAと比較して長いのも特徴だ。
血栓回収療法の実施状況においては地域格差が生じており、今後の課題である。