高齢ドライバーによる事故の報告が後を絶たない中、大分県にある井野辺病院では「高齢者自動車運転外来」を設立し、作業療法士が運転の評価、指導を行っている。
▶︎ レコーダー、作業療法士が解析 高齢者運転外来 大分の病院 /福岡
この運転外来では、脳血管疾患後遺症患者に対して行ってきた、自動車運転評価のノウハウを生かし、診察、記憶能力の検査に加え、ドライブレコーダーを貸し出して普段の運転を記録。その映像を作業療法士が解析し、運転を継続する事が可能であるか、運転を継続するために必要な注意点や方法等を総合的に評価している。
車内側にもカメラを取り付ける事で、ドライバーの眼球の動きやハンドル操作を評価することで、机上で行う検査では見えてこない、判断能力や注意の向け方なども評価する事が出来る。中には、一般道の運転するのは、もう危険と判断し、ご家族と協力して免許返納を勧める事もあるそうだ。
現時点では、この作業療法士の関わりに対して、診療報酬の算定が適用されていない。しかし、担当の作業療法士である久保田直文さんは、実際に運転している映像を見ながら、本人も家族も危険を共有することは、非常に意義があることだと語っている。
平成28年度、75歳以上の高齢運転者による死亡事故は、75歳未満の運転者と比較して2倍以上も多く発生している。また、死亡事故全体のうち、高齢運転者による事故が占める割合も年々増加している。
今回のような活動は、高齢社会を迎えている日本のニーズに応える、重要な活動ではないだろうか。
参考:I 高齢者を取りまく現状|平成29年交通安全白書(全文) - 内閣府