痛みを抱えている患者やクライアントは非常に多く、必ずと言って良い程、治療の対象になっている場合が多いだろう。
しかし、その痛みは本当に、筋骨格系由来の痛みなのだろうか。
▶︎命に関わる痛みの伝え方 効果的な“ズーン”等の擬態語使用
腰痛に悩まされていた70代の男性は、ぎっくり腰だと思い整形外科を受診した。医師からは、痛み止めが処方され経過観察となった。しかし、1週間過ぎても痛みが軽減しない為、総合内科のクリニックを受診したところ、破裂寸前の腹部大動脈瘤が見つかったという症例が紹介されている。
70代男性は「腰から脇腹にかけて深い所がズーンと痛む」という症状を訴えた。総合内科の医師は、投薬による症状の軽減が見られない事や、ピリピリと言った末梢神経特有の疼痛表現が無い事から内臓疾患を疑い、CTによる精密検査を行った為、腹部大動脈瘤を発見する事が出来た。
このような痛みは、関連痛と呼ばれるもの。関連痛とは、内臓などが障害された際、内臓を支配している同じレベルの皮膚デルマトーム上に症状が出現すること。
その他にも、左肩の痛みは狭心症、右肩の痛みは胆嚢の障害等のケースもあるという。
例えば、階段を昇り降りした際、必ず左肩が痛むという訴えがあった場合、 階段の段数や高さなど負荷量の変化、自覚的な息切れ感や疲労感、既往歴や他院への通院の有無などの詳細を聞くことが出来れば、狭心症による症状である可能性を疑う事も出来るだろう。
痛みと関わる我々セラピストにとって、身近なケースとなり得そうだ。頭の片隅に置いておく必要があるだろう。
参考:関連痛・放散痛