妊娠は病気じゃない?|荒木智子先生

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荒木先生 ここから「産みたい育てたいと思ったら」ということについて考えていきましょう。

 

「妊娠は病気じゃない」と言われます。皆さんはどんな時にこの言葉を使いますか。頑張らなければいけない時、人手が足りない時、どちらかというとネガティブな要素を含んで使われることが多いと思います。妊娠自体は立派な体調変化です。一つの身体の中で二つの心臓が動き、一人の人間が形成されていきます。

 

しかもその経過は10ヶ月におよび、長期に渡ります。

もともとの「病気じゃない」という言葉には身体変化の辛さを薬や治療では軽減しづらいという意味が含まれています。先程お話をした「妊娠中には薬がなかなか使えない」、「物理療法では禁忌が多い」などこのような意味合いが含まれています。

 

では、妊娠の経過とともに、体や心がどのように変化をするかを見ていきましょう。

 

妊娠初期には身体的変化として乳房の変化、便秘、疲労と不眠、頻尿、よだれの増加、月経がなくなり、つわりによって吐き気や嘔吐、めまい感などが生じると言われています。

 

心では感情の変化が起きてきたり、母親になることへの関心、今後のことのすべてが気がかりになったりすると言われています。この時期は周囲には妊娠していることが気づかれにくく、妊婦本人も身体変化に敏感になる時期であります。このような背景から無理をしやすく、周囲への遠慮が生じやすい時期だと考えます。

 

続けて妊娠中期の身体的な変化、精神的な変化についてみていきたいと思います。身体的な変化としては、つわりが落ち着くことにより活発になり、食欲が増進すると言われています。

 

また20週ぐらいから胎動の自覚をして子供がおなかの中にいるということを体をもって感じることができます。便秘や鼻の閉塞感などもこの時期には起きると言われています。

 

鼠径部の痛みや骨盤の緩みによる腰痛、下肢の痙攣なども起きると言われています。心の変化としては保護者になるという準備を始める時期であると言われています。

 

パートナーへの感覚の変化も生じ、これは母性や父性の起こる男女差から起こると言われています。特に女性はおなかの中で子供が育っていくことを体感することにより、早くに母性が目覚めると言われていますが、男性にとっては自身の体の変化は特に起こらず、なかなか父性がこの時期にはまだ芽生えにくいというふうに考えられます。

 

妊娠中期はいわゆる安定期に入り、心も身体も落ち着いて生活できるようになります。安定期という言葉もあり、この時期には過信しやすいという問題が起きます。

 

妊娠後期には身体の変化としては、胎児が大きくなることにより、消化器が圧迫され、胸焼けが起きたり、消化不良がおきます。

 

また肺も押されることにより、息切れや下肢のむくみなどが起きます。この時期は胎児の体重が大きくなることから、腰痛や静脈瘤なども起きてきます。一方で心の変化としては赤ちゃんが、ちゃんと育っているだろうかという正常発達への関心や、どんなお産になるんだろうか、育児は大丈夫だろうかというような、出産や育児への不安や恐怖、またマミーブレインなどと言われる、不器用な感覚であったり、注意散漫になったりするような状況が見られます。

 

妊娠後期は身体変化が再び著しくなり、精神的にも不安や期待が入り混じった状態になります。また注意散漫にもなりやすいなど、落ち着きが再びなくなっていくような状況であるという風に言われています。

 

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▷▶︎ 産後の身体の変化は、腹部の術後と同じ!?

 

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