名古屋大学大学院生命農学研究科の小田 裕昭准教授を中心とする研究グループは、砂糖の取りすぎによって起こるメタボリックシンドロームへつながる脂質代謝異常(脂肪肝 、高中性脂質血症 )を、日中の活動している時間帯のみの時間制限摂取により、脂肪肝と高中性脂質血症が改善されることを報告した。
▶︎ 砂糖の取りすぎによる脂質代謝異常(脂肪肝、高脂血症)は 時間制限摂取により軽減される!
これまで、メタボリックシンドロームは、食べ過ぎ(エネルギーの取り過ぎ)や運 動不足が原因と考えられてきましたが、最近では、砂糖(異性化糖を含む飲料などの加糖)の取りすぎが原因であることが明らかになってきた。
砂糖の過剰摂取 による脂肪肝や高中性脂質血症の分子メカニズムは未だよくわかっていない。砂 糖などの甘味は習慣性があるため、それを抑えるのは難しいことはよく知られている。2015 年、WHO は砂糖による健康被害を抑えるため、1 日の砂糖摂取をエネルギー摂取の 5%未満にする指針を出した。これは 1 日小さじ6 杯分の砂糖(約 24g)程度である。 本研究では夜行性のラットを用いて、ラットの活動時間帯のみに砂糖を与える実験をした。そうしたところ、砂糖の過剰摂取によって起きる脂肪肝や高中性脂質血症が改善された。
同研究グループ では、昼夜を問わず、四六時中食べていると、高コレステロール血症注が起きること を報告している。逆に、メリハリのある摂取法として、「時間制限摂取」(主に日中に 限って食事をする)をすることによって、高脂肪食による肥満なども改善することも、 すでに報告されている。今回の研究成果は、砂糖によるメタボリックシンドローム予 防にも時間制限摂取が有効であることが示唆された。
この研究成果は、平成30年8月16 日付で米国科学雑誌「PLOS ONE」電子版に掲載されている。