医療行為をさせた疑いで医師を逮捕

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今月17日、新潟市の住宅型有料老人ホーム「鳥屋野の里」で、無資格の職員に医療行為をさせたとして、施設長の医師(63)を医師法違反(無資格医業)の疑いで逮捕した。

▶ 老人ホーム施設長、無資格医療を職員に指示容疑

逮捕された医師は2016年9~10月、医師や看護師の免許を持たず、必要な研修も受けていない20代の女性介護職員に、入所者のたん吸入やチューブでの栄養剤の注入などの医療行為をさせた疑いがもたれている。

また、30代の女性介護職員に点滴の針を抜かせた疑いもあり、「指示をしてやらせた記憶がある」と供述している。

 

今回問題となっている無資格者による医療行為、また、医療行為の指示。どのような行為が医療行為になるのであろうか。厚生労働省によると

 医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(「医行為」)(後略)。

詳細を読む(引用元):「医行為」について

とある。しかし、障害者や高齢者の現場では、医療行為と類似した行為が日常的に必要とされ、医療行為との区別が曖昧だ。そこで厚生労働省は、平成17年に「医療行為に当たらないとされている行為」、平成24年に「医療的ケア」と医療行為との区別化を行った。

医療行為にあたらないとされている項目は、体温測定、血圧測定、パルスオキシメータの装着、軽微な切り傷・擦り傷・やけど等の処置、医薬品の使用の介助(軟膏の塗布等)、爪切り、日常的なオーラルケア、耳垢の除去、ストマ装具のパウチにたまった排泄物の処理、カテーテルの準備・体位の保持、市販の使い捨て浣腸器による浣腸だ。

医療的ケアにあたる行為は、口腔内、鼻腔内、気管カニューレ内部の喀痰吸引や胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養、経鼻経管栄養だ。しかし、喀痰吸引や経管栄養を行うためには、一定の研修、申請が必要とされている。

 

理学療法士や作業療法士も喀痰の吸引が認められているが、上記の内容と同様に

(前略)養成機関や医療機関等において必要な教育・研修等を受けた理学療法士等が実施することとするとともに、医師の指示の下、他職種との適切な連携を図るなど、理学療法士等が当該行為を安全に実施できるよう留意しなければならない。

詳細を読む(引用元):15.医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進について(通知)

とされている。

介護の現場は、人手不足が深刻でこのような事例が他にもあるようだ。療法士も携わることが多くなっている領域であり、注意が必要である。

 

参考:

医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について(通知)

 

医療行為をさせた疑いで医師を逮捕

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