「行動できた」という自信
インタビュアー:産後のリハビリテーション研究会を立ち上げたきっかけを教えていただけますでしょうか?
山崎先生:研究会は、フランスで勉強(ガスケアプローチ)に行ったことがきっかけで、学びに行く直前に、自分と同じような形でフリーランスをやっている人と情報交換がしたくて、探していました。それで、たまたま宮崎の先生と熊本の先生と知り合って、そのときに「フランスで講座がある」ということで誘ってみたら2人とも「一緒に行く」といってくれて(笑)フランスで初めてその2人にお会いしました。
フランスから帰ってきてからも、その2人とはずっと同じ想いで、かねてから「勉強する場がないな」とすごく感じていましたし、自分たちだけで困っているママさんたちを救える手数は少ないなと思って研究会を立ち上げました。本当に基礎的なところをちょっとずつ勉強していけたらと思って立ち上げました。
フランスで学んで技術ももちろんですが、“フランスに行くという行動ができた”という部分で自分でもすごいなと思いました(笑)
上の子がまだ2歳くらいで授乳中だったので「この子置いていくのも心配」とかいろいろ考えましたけど、タイミング的に今しかなかったので決断しました。行動に移せたのが自分の中で気持ち的にも「やれば意外とやれるんだな」とすごく自信に繋がったので本当に行ってよかったなと思います。
技術ではなく制度の問題
インタビュアー:フランスと日本では、制度上の違いで大きな違いはありますか?
山崎先生:フランスの産前産後の制度はすごく整っていること自体は、純粋に母として「うらやましいな」と思いました。また理学療法士として「その分野を求められて働く場がある」というのも魅力的ですね。日本にそのまま、フランスのコピーを持ってきたとしても日本では成り立たないという部分が課題です。当然、文化的な背景もそうですし、日本人の体に合わせたケアを考えていかなければいけないなと思っていました。
フランスに行ったことによって日本の産前産後の分野だけ、抜け落ちているということもわかった事が良かったです。社会的な制度も含め、作り上げていかなければいけないと思っています。逆に今は、いろいろやり始めて「産前産後にあてはまる人達全員が医療にあてはまるのか?」ということを考え直しています。過剰な消費を促してしまうのも違いますし「適切な人に適切な医療を」ということをすごく考えていかなければならないところですね。
専門と民間
インタビュアー:治療とケアという部分の境があまり明確ではないでは?
山崎先生:そうですね、そこにすごく気を配っているのは医療にいる人たちのほうで、逆に民間サービスのほうが中身は“治療”という概念でやっています。産前産後の分野だけ、すごく民間サービスと医療分野では「ケアと治療」が混在してしまっているような感じですね。現状だと民間サービスともうまく連携を取りながら、医療と繋げていくのが、いいのかなと思います。民間サービスの人たちにもできる情報とかを繋いでいきたいなと思います。
山崎愛美先生経歴
【資格】理学療法士・呼吸療法認定士
ガスケアプローチ研修受講終了
ベビーセラピスト・リフレクソロジスト
【所属】
【ブログ】
【コラム】
美と健康のガーデン通信 「山崎愛美の未病塾」
バックナンバー
第一回:子供がいても仕事はできる
第二回:技術ではない制度の問題
第三回:小さな成功が生む自信
第四回:産前産後ケアの関わり方
第五回:出産すると骨盤底筋群の神経損傷があり、回復に6ヶ月を要する?