私が考える東日本復興戦略【山口和之先生】

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連絡をください。一通からでも動きます。

ー ただ一方で、散歩の付き添いをしているような「なんちゃってリハビリ」を提供しているレベルの低い理学療法士もいるのも事実です。この現状を野放しにしたまま、給料を上げようとするのも少し違うと思っています。

 

山口和之先生 確かにそうですね。ただ本音を言うと、部下(理学療法士)の給料を上げてあげたいという想いもあります。私が理学療法士になった頃はそもそも理学療法士の知名度もなくまず学校へ行こうとする人がいなかった。それを高校の進路指導の先生に「こんなにいい仕事だと」必死にアピールしていました。その責任は重大と思っています。

 

理学療法士という仕事を、いい仕事にするには優秀な人材が必要だったんですよ。でも、それだけ優秀な人材は、他の世界で働けば給料もボーナスも良くいい生活ができてたと思うんです。まず良い人材確保には、専門職としての使命、そしてやりがいが一番です。そして、価値は国民が判断することですが、その価値を認めてもらうために本物にして行くことが大切です。

 

だからこそ、今のままではいけないですし、優秀な理学療法士を育ててアピールする場をつくりたいと思っています。

 

ー この法律を今後より良いものにしていくために現場のセラピストができることは何がありますか?

 

山口和之先生 未来の姿、こうなったらいいなの世界、ドラえもんではないですが、多くの命、人生を救える大きな夢を語ってもらいたいですね。それと、一方で現場でリアルに困っていることを、自分に直接連絡してきてくれるのが一番いいです。Facebookなりメールなりで、どんどん私に言ってきてほしいと思っています。

自分みたいのがその中に議員としていれば、例え一通のメールだけでも動きますし、国会で質疑答弁したりもしています。

 

あれから8年

ー 山口先生は震災後に訪問リハビリステーションの特区設立にも貢献したというお話しを伺いました。”復興”という言葉はリハビリテーションとも言い換えられますし、専門職としての考え方も活かされる部分があるのではないかと思っています。

 

山口和之先生 今の課題は、特区の訪問リハビリテーションも相当頑張りましたが、被災地の急速な高齢化と人材不足と、風評被害です。

 

長期にわたる避難生活で元々のコミュニティーは崩壊し、要介護の認定率の増加、要介護度の重度化、若者がいないところには産業が再発展は困難で、放射能による健康被害の心配も福島産の農作物の販売や若者の定着に少なからず影響を及ぼしています。

 

では、それに対して理学療法士として何ができるでしょうか。私は福島県を誰もが元気な健康寿命日本一の県にしようと思っています。健康寿命が一位になれば、明るく元気な福島県、原発による影響があるとは誰も言わなくなるでしょう。

 

まずは基本的に、高齢者の低水分、低栄養、低気力、低体力、低活動。5つの「低」を改善していくことが大切です。これがそろってくると活動量はどんどん減って気力もどんどん減っていくことになります。これらへのアプローチは環境により異なり多彩であるべきです。

 

脳血管疾患死亡率で言えば、残念ながら東北はワースト3位を独占してしまっている状況です。まずは、これをひっくり返したいと思っています。

 

具体的にどうするかを、先ずは東北大学を中心とした新潟を含めた東北7県の脳外科教授の皆さんと協議していく予定です。今プロフェッショナル集めて仕掛けていきたいと思っています。

 

【目次】

第一回:脳・循環器リハは、法成立後どう変わっていくのか

第二回:世界をリードする理学療法士を育てるために

第三回:私が考える東日本復興戦略

第四回:地域包括ケアを支える「高齢者リハビリテーションセンター」構想

 

山口和之先生プロフィール

[ 職歴 ]
◆ 政治家として
2009年 9月~ 衆議院法務委員会委員、衆議院厚生労働委員会委員
2009年 1月~ 消費者問題に関する特別委員会委員
2011年 5月~ 東日本大震災復興特別委員会委員
2013年 7月~ 第23回参議院議員通常選挙にて当選
2013年 8月~ 参議院財政金融委員会委員、参議院東日本大震災復興特別委員会委員
2013年10月~ 党政策調査会社会福祉部門復興担当
2013年12月~ 参議院厚生労働委員会委員(2014年12月~オブサーバー)
2014年 1月~ 参議院東日本大震災特別委員会理事(2014年12月~オブサーバー)
2015年 1月~ 参議員国土交通委員会委員(オブサーバー)、決算委員会(オブサーバー)、東日本大震災復興及び原子問題特別委員会(オブサーバー)
2015年 3月~ 環境委員会、決算委員会、東日本大震災復興及び原子力問題特別委員会
2016年 8月~ 法務委員会

◆ 理学療法士として

福島県理学療法士会会長、藍野大学医療保健学部非常勤講師。

日本理学療法士協会東北ブロック会長、同協会理事などを歴任。

私が考える東日本復興戦略【山口和之先生】

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