医療の世界で見てもらえない人がいる
インタビュアー:今、産後ママの需要はありますか?
山崎先生:来る人はやはりトラブルがある人なんです。尿漏れとか腰痛とか。変な話、医療の中で診てもらえない人とかが来るんですよね。腰痛でもう四つ這いじゃないと動けないとかそういった人がいたりします。
今の制度だと私は手を出せないので医療機関を紹介させてもらったりするんです。産科医の先生は「運動しろ」というし、助産師さんは「ベルト締めて安静にしろ」というし。
変なんですけど、医療の中で診てもらえない人がネットでいろいろ調べて行きついてきてくれたりするんです。民間に頼らざるを得ない状況になっているんですよね。正直、こうなるとケアだけでは厳しいです。
なんだか、医療に関わってきた人間からすると、そのような状況になっていることを申し訳ないと思ってしまいます。見放しているようになってしまいます。「私この資格だと診られないので」なんてなかなか言えないですし、それが今は歯がゆいです。
リハビリの立ち上げのお手伝いをさせていただいたことがありますが、それが今は制度としては理想的ですよね。高齢出産の方は意識が高く、特にトラブルはないけれど、美容的にもケアをしておきたいとか、いろいろ情報を調べてくるかたが多い印象です。
産前産後ケアの関わりかた
インタビュアー:産前のケアとしてはどのようなことをされるのですか?
山崎先生:産前はほとんどエクササイズです。骨盤底の部分を産後に備えて意識づけをしたり、フランスで学んだことを伝えたりとか。でも産前もいろいろあるんですよね。
本当は妊娠する前から関わりたいと思っています。妊活みたいな形で「まず性を知る」とかそういった講座をやらせてもらうこともあります。
本当は同じ人にずっと関わっていきたいと思っています、かかりつけのような形で。上の方だと更年期の方とかも含めてですね。でも本当、性に関することとか、月経のこととか、知らなさすぎです。
一番驚いたのは、民間の講座で周産期の解剖生理とかを教えている講座に出たんですけど、受けに来ている人たちはみんな、民間のセラピストです。そこで先生が、骨盤の模型で「どこから赤ちゃんが出てくるか?」と20代くらいの女性に質問したんです。
そしたら、恥骨の上あたりを指したんですよ。さすがに驚きました。一般の人ならまだいいですが、セラピストとして働いている人がその知識では本当に怖いなとすごく思いました。
だから民間のサービスの人たちに向けてもリスクのこととか講座を始めました。ハウツーで学んでいる人はリスクに関して知らない人がかなり多いです。ハウツーで学ぶとマニュアルがあるから変な自信になってしまいがちです。
山崎愛美先生経歴
【資格】
理学療法士・呼吸療法認定士
ガスケアプローチ研修受講終了
ベビーセラピスト・リフレクソロジスト
【所属】
【ブログ】
【コラム】
美と健康のガーデン通信 「山崎愛美の未病塾」
バックナンバー
第一回:子供がいても仕事はできる
第二回:技術ではない制度の問題
第三回:小さな成功が生む自信
第四回:産前産後ケアの関わり方
第五回:出産すると骨盤底筋群の神経損傷があり、回復に6ヶ月を要する?