今年5月、東海大学医学部付属病院にて、腰椎椎間板変性症が原因で腰痛となっている患者に対して国内初の治験が実施される。
▶整形外科学の酒井大輔教授らが医学部付属病院で、国内初の再生医療による腰痛症治療の治験を開始します
今回の再生医療では、中等度の椎間板変性症の腰痛患者を対象に、損傷した椎間板に「IDCT‐001」を投与し、修復・再生させる方法が使われる。この「IDCT-001」とは、成人ドナーのヒト同種の椎間板由来細胞から作成した細胞治療製品のことである。治験を始める前の非臨床試験においては、変性椎間板症に投与した際に、抗炎症作用、椎間板修復作用がみられていた。
また、この製品の開発元である米国ディスクジェニックス社は今年4月、東海大学医学部付属病院をはじめとした6か所の医療機関で、治験を開始することを発表されており、東海大学が国内初となる。
治験が実施される背景として、腰痛症はADLを低下させ、その診察にかかる医療費も年間1700億円超となっていることや、働き盛りの壮年期男性に好発しており、労働生産性を下げているなどの社会問題がある。
研究グループの酒井准教授は、「これまでの研究の結果、『IDCT-001』の投与により椎間板を生物学的に修復・再生する細胞治療は、組織学的修復や椎間板高の回復結果から腰痛の改善が期待されます。腰痛に悩む患者さんが痛みから解放されて新たな人生を送れるよう、さらに努力したい」と述べている。