排泄に関わるリハビリテーション職は、当然もうチェックしたと思うが、「パッドマン 5億人の女性を救った男」のDVDが全国リリースされたぞ。
<あらすじ>
インドの小さな村で新婚生活を送る主人公の男ラクシュミは、貧しくて生理用ナプキンが買えずに不衛生な布で処置をしている最愛の妻を救うため、清潔で安価なナプキンを手作りすることを思いつく。研究とリサーチに日々明け暮れるラクシュミの行動は、村の人々から奇異な目で見られ、数々の誤解や困難に直面し、ついには村を離れるまでの事態に…。それでも諦めることのなかったラクシュミは、彼の熱意に賛同した女性パリーとの出会いと協力もあり、ついに低コストでナプキンを大量生産できる機械を発明する。農村の女性たちにナプキンだけでなく、製造機を使ってナプキンを作る仕事の機会をも与えようと奮闘する最中、彼の運命を大きく変える出来事が訪れる――。
インドのある社会実業家「アルナーチャラム・ムルガナンダム」という実在する人物をモデルにしていて、彼は2014年には米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれ、インド政府からは2016年に褒章パドマシュリを授与されている。
何と言っても見所はクライマックスに主人公が国連本部でスピーチをするシーンだ。"偉大な男、強い男、国を強くしない。女性が強い。母が強い。だから世界は強くなる"と強く訴えるその姿に、オムツマンも何度もDVDの巻き戻しボタンを押して見入ってしまった。彼の生理パッドにかける想いが強く伝わってくる本当にいい映画だ。
これ以上はネタバレになるので書かないが、ぜひ一度、見てほしい。特に排泄ケアに関わるセラピストは絶対だ。もしつまらなかったら、オムツマンがレンタル代を全額保証してもいいぞ!
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レイプ大国でもあるインドが抱える 悲しい背景
実は、インドはレイプ大国とも言われ、女性軽視の風潮を根強い文化的背景があるんだ。
インド人の多数派であるヒンズー教の法典「マヌ法典」の条文の中には「少女、若い女、老女を問わず、女は何事も独立になしてはならない。家事においても然りである。」「女は幼児には父に、若いときには夫に、夫の死後には子に従属する。女は決して独立することはできない。」といった条文がある。
さらには、「生理=穢れ」と扱われ、今でもタブー視されており、生理ナプキンは5枚で1,000円近くする高級品で一部の高所得者層しか利用できない。多くはボロ布を利用し、葉っぱなどで代用している人もいるという。
また、乾燥した紙よりも、水と手で洗う方が清潔だという価値観もあり、市街地を外れると、トイレットペーパーや生理用品を捨てるゴミ箱も備え付けられていないトイレも少なくないそうだぞ。
日本における尿もれ対策と使用される"生理用ナプキン"問題
パッドマンがこういった女性の生理に関する問題に気づいたのは、奥さんと結婚してからだ。インドほど大きな社会問題ではないものの、日本においても男性が女性の身体について深く知らないがために起きている諸問題も少なくないと思う。
私も恥ずかしながら、高校時代、当時付き合っていた彼女がデートの時によくトイレにいく理由が「なんて頻尿な子なんだ」と思っていたことがある。
私が日頃より取り組んでいる「排泄ケア」に関連付けて話すと、「尿もれ(尿失禁)は高齢者の問題」だと簡単に片付けられていることがあるが、実際には成人女性の4人に1人が、40歳以上では女性の3人に1人が尿もれで悩んでいるということを知っておいたほうがいい。
さらには、そういった女性の多くが、今生理用ナプキンで尿もれ対策をしていることもここで伝えておこう。理由は、「恥ずかしいから」「尿とりパッドは高そう」といった理由が挙げられる。生理用パッドと尿とりパッドは実際にどう違うのか。これは過去にオムツマンも実験してみたことがある。
<実験動画>
先に結論を言っておくと、やはり尿モレに対しては、できれば生理用ナプキンではなくて、尿とりパッドの方が適切だ。 生理用ナプキンはドロドロした血液を吸収するのに適しているのに対して、尿とりパッドは、サラッとした水を吸収する特徴がある。
ナプキンを使用した状態で多量に尿モレをした場合、本来、サラッとした水分を吸収する目的ではないので逆流してしまう。ベタベタで皮膚が弱い方は、肌が荒れてしまう可能性やその状態では、尿道周囲が不衛生なため膀胱炎のリスクすらあるんだ。
ウーマンズヘルスは、女性だけが取り組む問題じゃない
最後に少し話がそれたが、やはりパッドマンを見て、つくづくウーマンズヘルスは女性だけが取り組む問題ではないと感じた。冒頭にも書いた"女性が強い。母が強い。だから世界は強くなる"という言葉には、私も完全に同意だ。
そのためにも、男性こそもっと生理について理解しよう。女性にはなれなくとも、知識を身につけることはできるはずだ。まずは薬局のナプキンコーナーへ行ってみよう。そして愛するパートナーと生理について話してみることから始めてみよう。