こんにちは、POSTの森田(@ksk116street)です。
6月22日(土)に大阪にて「デザインについて考えるWorkshop」をやらせていただく予定です。そこで今回はビジネス界隈でもよく使われる「デザイン思考」について、事例を通してお伝えします。実はあなたも普段からやっているということ、「早くたくさん失敗する」ことの重要性についてお伝えしたいと思います。
予算は200万円、あなたならどうする?
さて、突然ですが、地元で初開催される「鳥人間コンテスト」に応募することになりました。
オリジナルの人力飛行機で琵琶湖を横断する飛行距離を競いあうアレです。
しかーし!与えられた予算はわずか200万円。でも優勝したい。当然、予算をかければ軽量かつ強度の高い良い素材が買えることでしょう。プロペラやペダル、コックピットなど各種あるパーツの中で、どこに重視して、予算を割り当てるでしょうか?
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「いや、知らんがな」なんて、言わないでください。ここで言いたいのは「200万円を丸ごと使って、1機分のパーツを買う選択は正しいのか?」ということです。よーく考え直してみてください。良い素材を買って、でき上がった飛行機に乗って、もし何か不都合が起きてしまった場合、残された予算が少なければ変える事ができません。
もちろん一発でうまくいけばそれで完成でも良いのですが、そんなことの方が珍しいですよね。
デザイン思考とは
さて本題に入ります。以下は、ハーバード大学デザイン研究所のハッソ・プラットナー教授が提唱する、デザイン思考の5段階という思考モデルです。
(1) 共感 (Empathise) - ユーザーの行動を理解し、寄り添い、何が問題なのかを見つける
(2) 定義 (Define) - ユーザーのニーズや問題点、みずからが考えることをはっきりさせる
(3) 概念化 (Ideate) - 仮説を立て、新しい解決方法となるアイデアを生み出す
(4) 試作 (Prototype) - 問題に取組み始める
(5) テスト (Test) - 検証こそが解決方法
世の中の新しいサービス・商品は、こういったプロセスを何度も繰り返すことによって私たちの手元にやってきているのです。これを鳥人間の例に当てはめてみましょう。
⑴共感
まず、飛行機を作るときの第一ステップです。乗るパイロット(ユーザー)の立場に当てはめて、設計する事がとても大切です。いくら、軽くて、頑丈な飛行機を作っても、パイロットが漕ぐペダルがとても重かったら長い飛行を困難ですよね。開発者目線ではなくユーザー目線で。そのために、企業はアンケート調査やインタビューなどで、ニーズやホープなどを聞いていきます。
⑵定義
調査をすると、色んな返答が返ってきますが、それらを統合して問題点を明確にする事が必要です。ここでは、「開催時期・場所は強い風がふくこと」という問題点から片付けることにしましょうか。
⑶概念化
次は概念化です。仮説を立てて、最善の解決策となるアイディアを募ります。「翼の向きをパイロットが自由に操作できるようにすれば」「そもそも風にもビクともしない重さで作れば良いのでは」「風に流されても、それを補うくらい長持ちする燃料を積めば良いのでは?」といった感じです。
⑷施策 ・⑸テスト
いよいよプロトタイプを作ります。冒頭で述べたように、あくまで試作品なのでこれで完成ではありません。プロトタイプを実際に環境の近い場所で試しに飛ばしてみましょう。
そうすることで新たな課題が出てくるかもしれません。
大切なのは"ループ"すること
さて、ざっくりと説明しました。そして、ここまで説明すればお気付きの方も多いと思いますが、普段から、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士もの臨床でデザイン思考のプロセスを踏んでいますよね?
患者さんを観察・検査し、問題点を抽出し、そこから仮説・検証作業を行う。一緒じゃないですか。デザインとは、何もデザイナーや事業開発に取り組む人だけのためのものではないです。
そして、ここからは持論を交えながら話していきますが、デザイン思考に関して一番大切なのは、ループすることだと思っています。回転数です。このプロセスを踏むだけで満足してしまう人もいるのですが、何度も何度も繰り返すこと洗練されたものが出来上がります。
そうなると、今度は、できるだけ早く一周するスピードが大事になってきます。そのために、世界的企業のGoogleや、日本発のユニコーンメルカリ社も「デザインスプリント」という短期間でデザイン思考を行う手法を開発しています。
出典:メルカリ
臨床においても同じで、何も考えずに経験年数を重ねても臨床ができるようにはなりません。何回このループを回せたかが重要だと思っています。(勿論ループの質も大切ではありますが…)
臨床思考デザイントレーニング
でもですよ。臨床って、この1回転を早く回すことって中々難しいですよね。効果がすぐ出る訳でもないし、1人の患者さんを退院するまでを1プロセスと考えたとしたら、数ヶ月かかります。
なので、僕が最近、打ち立てた仮説は、「その他のループを作って回せば、臨床力も上がるんじゃないか」というものです。具体的には、もっと1回転が早いプロダクトを行うこと。例えば、個人単位で言えば毎日ブログを書くということでもいいと思いますし、パートナーに喜んでもらう料理を作るということでもいいと思います。
院内単位で言えば、スタッフに臨床以外の役割を与えてあげることです。勉強会の企画や委員会、書類作成など今やセラピストの業務は臨床だけではありません。ループを回す癖が結果的に、臨床思考も育てるのではないかと思っています。
まとめです。
「早くたくさん失敗するからこそ、いいものができ上がる」という事を分かっていただけたでしょうか?
そして、本記事2回目の告知となりますが、6月22日(土)に大阪にて、デザインのワークショップをやります。このワークショップはあくまで「見た目」という意味でのデザイン能力を高めることに重きをおいてコンテンツを作っていただきますが、そこでも一度作って終わりではなく、僕がフィードバックしてさらに作り直すということをやっていただこうと思います。
このワークショップを参加した人が、先に述べた理由で果たして臨床力も上がるのか。それは現段階で、僕が立てた仮説でしかありませんので、このワークショップ自体もデザインの一部だということです。(うまいこと言ってみた)
詳細は以下。終わった後は一緒に飲みに行きましょう^ - ^
▶︎ https://ssl.form-mailer.jp/fms/bb9a2793625861
6月は大阪で話しますー!
— 森田 佳祐 KEISUKE MORITA (@ksk116street) 2019年5月9日
懇親会では「リハビリ×デザイン」についてディスカッションしたいhttps://t.co/Rzi6Kn15TJ