理学療法士(PT)阿部勉先生-旅行リハビリを生活につなげる-

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リハビリ旅行事業

POSTインタビュアー土屋:現在は訪問リハの事業所を立ち上げていらっしゃいますよね。

阿部勉先生:はい。訪問リハ事態は、ここ十年で急に増えてきましたが全国的にもまだまだ足りないです。ニーズはあるけどまだまだ知られていないのが現状です。家に帰ってきて、何を目標にするかというと、歩きたいとか、お風呂に入りたいとおっしゃる方が多いです、もちろんそれは必要なことだと思いますし。家族もそれを望んでいます。

その先、歩けるようになってさらにその先の目標は何ですかと聞くと出てくるのが二つあって、「墓参りにいきたい」、「旅行に行きたい」この二つが出てきます。 そもそも僕らが関わらせていただいている利用者さんは中々外に出れない方もいて、一般の高齢者が旅行に行きたいと言ったら、じゃあどこに行きますか?となると思うのですが、中々外にいけないので、現実的に旅行に行くというのは難しいのですが、ある時、行けるのかもしれないと思い行ってみました。

行って帰ってきたらすごい元気になったこと、旅行に行ったことで自信がついて次の目標がどんどんでてきて、今までふさぎこんでいた人がすごく変わりました。旅行の力ってすごいなと思って。じゃあ、この旅行を一つの目標にして普段のリハビリを頑張ろうとなるのではないかと、それでリハビリ旅行事業をやっています。


たび

インタビュアー土屋:リハビリ旅行事業?

阿部先生:例えば、家のマンションの階段で階段昇降を練習されている方がいます。どうしてやっているのかというとこの人は旅行をしたときに駅の階段を自分の力で降りたい、露天風呂に入るまでの段差を乗り越えてお風呂にはいれるようにしたいと。その為に練習されているのです。

どんなに動かなかった方も徐々に変わってきます。ただ足腰鍛えるためだけに歩きましょうとか健康のためにと言っても中々やりません。旅行にいける、お風呂にはいれる、それだけで練習します。やるなと言ってもやってしまいます。モチベーションが全然違います。旅行に行き実際できるようになるとそこで自信がつきます。その方は一緒に露天風呂に入ったのですが、脱衣所で小声で「できた、できた」と自分に言い聞かせるようにつぶやいていました。

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成功体験を通じて、生きる目的を考える

インタビュアー土屋:旅行に対するモチベーションでリハビリも頑張れる。とてもいいですね。

阿部先生:やっぱり自信がなかったのだと思います。それまで仕事をバリバリやっていて、仕事が終わり退職してこれから奥さんと二人で旅行に行こうと話して楽しみにしていたところで倒れてしまった方なので、奥さんにも申し訳ないとか、喪失感で自分に自信を無くしてしまいます。

そのような方が旅行によりできたという「成功体験」をして、その成功体験を積み重ねることによって、「自己効力感」、できる、できたを感じることができます。 そうすると旅行から戻ってきたところでまた次のことにチャレンジしてみようと思うきっかけになります。単純に言うとこのようなことがリハビリ旅行事業です。 ただ歩くとか、転倒予防のために、ではなく「生きる目的」を「夢」とか「希望」がある生活にいかにつなげていくのか。ということです。それを普段のリハビリの目的として生かしていくという形です。

インタビュアー土屋:ただ歩くではなく、生きる目的を考えると。

阿部先生:だから僕らは課題設定、目標設定をするのですが、その人のできる能力ギリギリを見極め、本人がどうしたいのかを引き出し、こういうことをしてみたい、じゃあこの差はどうやって埋められるのだろうと考えます。現実と本人のしたいことのギャップですね。三か月後に旅行に行くとしてこの三か月でこうしたいのならこうしましょうとプログラムを提案します。

そうすると本人はリハビリをやり始めます。リハビリをやって実際旅行に行って結果という流れになります。そのため目標設定はあまりに高すぎると利用者さんは無理だなと思ってしまうので今はできないけど三か月後はできそうだなというところに設定して、利用者さんにお話しします。リハビリ専門職が今求められているのは「課題発見」だと思います。

生活機能として今どこまでできるか、できないとしたら何が課題なのか、解決策として課題をどうしたらできるようになるのか解決策を提示すること、予後予測としてどの期間でどのくらい改善するのか。まさにそれをリハビリ旅行事業で生かしています。そこはほかの職種とは違うと思っています。
たび

阿部先生:旅行というといろんなバリアがあります。階段、段差沢山ありますがそれをフリーにするのではなく、もちろんその人の能力によって違いますが、旅行自体が沢山バリアがあるのでそのバリアをどう乗り越えるのか。それを家族がみて、こんなにできるのだと、ご家族が一緒にいて何をするかというのも重要です。 リハビリ旅行はご家族だけで旅行に行ってもらうことを目標としています。

事業を成り立たせるためにスタッフの料金はもらっていますが、それも介護度によって変えています。最後は自分たちで旅行に行っていただく。最初はリハビリ旅行に参加されていたが、今は自分たちで旅行に行かれている方もいらっしゃいます。 家族にはどういうことに気を付けたらよいのか、介助の仕方など、ポイントをアドバイスしています。家族の方も実際に旅行に行き直接アドバイスすることができ実際にこういうことに気をつければ良いのだなとわかるので、自分たちで行くときに役に立ちます。

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阿部勉先生経歴

平成4年 東京都老人医療センター理学療法科勤務
平成6年 東京理科大学 理学部物理学科卒業
平成14年 筑波大学大学院 教育研究科リハビリテーションコース卒業
板橋区役所前診療所勤務
東京都老人総合研究所 疫学部客員研究員兼務
平成15年 リハビリ推進センター株式会社代表取締役
平成20年 植草学園大学 保健医療学部 講師兼務
平成22年 首都大学東京大学院 後期博士課程 修了
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キーワード

♯訪問リハビリ ♯旅行リハビリ ♯理学療法士

 
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