保険外領域や政治家輩出に関して【日本言語聴覚士協会 会長|深浦 順一】

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第316回目は一般社団法人言語聴覚士協会の深浦順一会長。令和時代におけるこれからのキャリアの道筋について。卒後教育や保険外領域の可能性など、その見解を伺いました。

ST議員誕生の可能性

ーさっそく気になるところから聞いていきます。今、理学療法士協会は国会議員を送り出そうという流れがありますが、言語聴覚士協会の立場としても今後、政治家を出したいという想いはあるのでしょうか?

 

深浦会長 今のところ、そのような考えはありませんね。もちろん、言語聴覚療法を必要な方に届けるために、法律面での制度上の変更が必要な部分に関しては、その都度議員の方にお願いしていきます。患者さんにとって必要な制度設計に関しては、我々からも意見を述べていくスタンスです。ただ、言語聴覚士の国会議員を送り出して、例えば診療報酬が下がらないように政治力を高めようといったことは考えていません。

 

ー 最近は、退院した後もリハビリを続けたい人が自費でリハビリを受けられるような施設が増えてきました。言語聴覚士領域においてもその流れはあるのでしょうか?

 

深浦会長 まず、言語聴覚士は理学療法士・作業療法士と違って、言語聴覚士法の第二条(定義)には「医師の指示の下に業を行う者」という文言はありません。従って、言語聴覚士の名称を用いて言語訓練を、利用者の方と個人契約で実施することは可能です。また、失語症や言語障害を中心とした通所作業所も少しずつできてきました。

 

誤ったやり方によっては身体に危害を加えるおそれのある嚥下訓練や人工内耳の調整には、他動運動若しくは抵抗運動を伴うもの又は薬剤若しくは器具を使用する訓練・検査は医行為とされ、医師や歯科医師の指示が必要です。

 

ー 昨年度より失語症者向け意思疎通支援者の養成事業(講習会等)が始まりましたね。

 

深浦会長 これは障害者総合支援法に基づく事業であり、失語症当事者のご家族や言語聴覚士だけでなく、一般の方々が支援者として関われるようにするために、日本言語聴覚士協会が中心となって養成カリキュラムを作成致しました。

 

個人派遣にあたっても、まず本人の障害特性や生活歴等の背景情報を把握しアセスメントを行ってから適切な支援者をマッチングできるように検討されています。

 

事業としては始まったばかりですので、必要な支援が充足出来るまでには時間がかかります。現段階では、失語症友の会や会話サロンや集いの場などこれまで言語聴覚士がボランティアで係ってきた既存のインフォーマルな資源への関わりを通して、意思疎通支援者によるサポートが出来るようにしていき順次拡大していきたいと思っています。

 

キャリアチェンジの理由

ー 深浦先生が言語聴覚士になろうと思ったきっかけを教えてください。

 

深浦会長 もともとは言語聴覚士を目指していたわけではなく、機械工学系の大学に通っていました。その時に、障害児支援のボランティアサークルに入っていて、その体験が言語聴覚士を志すキッカケになります。

 

当時はまだ、養護学校が義務教育化されておらず、就学猶予免除制度を利用して、学校に通っていない子供たちがたくさんいたので、障害のある子供たちでも楽しめるレクリエーションを公園で開催したり、障害児施設を訪問して修理や整備をしたりしていました。夏休みなど長期的な休みにはそれこそ泊りがけで活動を行っていました。それ以外の時期は土日に月一回くらいの頻度での関わりでした。

 

そんな大学生活を送っていたのですが、同じ学部の友人と同じように就職活動をして、特殊車両の製造会社で社会人1年目をスタートしました。ただその仕事にもなんとなくモヤモヤはしていて。一日中、機械と向き合って人と関わることのない仕事だったんですよね。

 

そうこうして4ヶ月くらい過ごしたお盆休み、実家に帰るついでに、お世話になっていた障害者施設の先生に挨拶に行きました。そしたら、そのまま飲みに誘われて、「来年、聴能言語専門職員養成所(現、国リハ)に職員を派遣することになったから誰か後輩で適任者を紹介してくれないか」と相談を受けたんですよ。酔った勢いもあり、「私が行きます!」と二つ返事で引き受けて、次の年から入学することになりました。

 

養成所修了後は、4年ほど、その知的障がい児施設で働きましたが、佐賀医科大学の付属病院から声がかかり、転職を決めました。悩みましたよ、子どもたちとは長年慣れ親しんで、家族も同然でしたから。

 

ー それでも大学病院に移ろうと思ったのはなぜだったのでしょうか?

 

深浦会長 施設に入所している子達は中度~重度の障害の子が多く、知的障害だけではなく言語機能にも問題がある子がほとんどで、もう少し専門的な勉強をしたいと思ったわけです。

 

ー 今は協会のトップの立場にいますが、そういった活動にはいつごろから興味が湧いたのでしょうか?

 

深浦会長 もともとは、協会の仕事には興味はありませんでしたよ。あまり高望みしてこなかったですから。上の先生方のお手伝いをしていたら引っ張りあげていただいて、それを繰り返す流れの中で気づいたら今の立場に立っていました。

 

僕はね、幸運なことに挫折感を感じる経験は少なかったとおもうんですよ。時代的なものもありますが、私自身。後輩指導等は厳しい方ではあったと思うんですが、それでも幸い皆んな必死についてきてくれた。そういった意味では恵まれていますよね。感謝しています。

 

【目次】

第一回:保険外領域や政治家輩出に関して

第二回:ST育成戦略 ~生涯学習カリキュラムの裏側にある狙い~

第三回:EBST (Evidence Based Speech-Language-Hearing Therapy)の実践に向けて

 

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