作業療法士協会に”喝”! 会長候補者選挙に出た理由 #2

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ー では作業療法士は具体的に何をすればいいのでしょうか?

 

大嶋 まず、クライエント自身の自助力を高めてあげることが大切になります。障害を抱えて生活するのはあくまでも患者さん自身なわけですから、作業療法士の仕事の半分は心理面です。(麻痺と共に生活する)新しい身体をもったクライエントさんに行動変容するための教育的アプローチが必要になってくるんです。本人のやりたい気持ちや、やる気をどんどん引き出さないといけません。

 

しかし、現状は患者さんに、「リハビリは誰がやりますか?」と聞くと、約8割の方から「PT・OTがやるんでしょう? 私は言われたことだけやれば良いと思います」と返ってきます。つまり「私は患者だから、先生、どうにか治してくださいよ」という心理なわけです。

 

「患者さんがそんなメンタルだから良くなるものも良くならないんだ」と思うかもしれませんが、患者さんの立場からしたら十分に理解できることです。麻痺側にセラピストが触らずに、「動かせる健側の手足を使って、日常生活の代償訓練をしましょう。できることをどんどん増やしましょうね」などとい最初に言ったら、誰でもパニックになりますよね。

 

一方で脳卒中を始め、関節リウマチ、脊髄損傷などの場合、患者さんはうつ症状を合併している割合が多い、という報告もされています。「治らないと不安。治らないと自分は何もできない」と思いこむような精神状態におかれてしまっていることを、セラピストはもっときちんと把握しておかなければいけません。

 

身障の理学療法士や作業療法士の多くは身体機能だけみて「頑張れ」と励ましたり、運動させたりしますよね。作業療法士の場合,それが本当にメンタルのことを学んでいるプロフェッショナルのやることですか?と思います。

 

私は、この患者心理へのアプローチとして認知行動療法を作業療法にうまく統合して使っています。「リハビリは自分でやるもの」と、認識するだけで、クライエントさんの意識は劇的に変わります。自分の障害と向き合う事が出来ればADLはどんどん改善できるようになります。もちろん麻痺側のステージが変わらなくてもです。自分の麻痺した身体をどう動かしてどう使うか、ということにフォーカスを向けてあげることが重要です。

 

さらに、脳卒中患者や内部障害の患者さんは、長い間の不適切な生活習慣の影響によって生じている問題が多いですから、それらを繰り返さないためにも生活習慣を変える、行動を変える事でしか改善できません。心理的なフォローをしながら、生活を変えていくコンサルテーションやカウンセリング技術が必要になってきます。

 

一方で、作業療法の場合、精神科患者に運動の効果を十分適用してできていない事が問題です。身障の患者には心理アプローチを用い、精神科患者には身体機能へのアプローチを増やす。

 

作業療法士の頭の中で、「身障」と「精神」とで分野を完璧に分けてしまっているのが大きな問題です。養成校で学んだ事を十分に使わず,知識とスキルを捨ててしまっています。本当に勿体ない。「心と身体」の両面にコミットするのが作業療法士の役割です。

 

 

ー 確かに身体機能へのアプローチを良くするのが身障のプロフェッショナルと思いがちで、メンタルに関してはみれていない人も多いのかもしれません。

 

大嶋 そうですね。だから、患者さんが、自分自身の身体のことをどれくらい理解しているのか?という評価を必ずやった方が良いと思っています。脳卒中患者さんのボディイメージは、実は発症する前のものなので、PTがいくら反復動作訓練をしてみても、運動学習の効果が出るまで相当の時間がかかってしまいます。

 

さらに、記憶障害や半側空間無視に関して言えば、患者さんが自分でその障害を自覚することができさえすれば、僕らの仕事の7~8割は終わりです。あとは、患者さんが自分で自分の代償方法を考えるだけですからね。

 

ー 認知行動療法や心理療法について学んだことがない人も多いと思いますが、どうやって学べばいいのでしょうか?

 

大嶋 作業療法士は学生の時に皆、精神科の実習を必ず行っていますから、全くできない事はないんです。

 

あと、作業療法士をうまく活かすことができていないリハ医にも問題があります。通常のリハ医は、整形外科や神経内科の先生が多く、普段、メンタルをみることはしないから、そういう処方も出てこない。つまり、そういったリハ医に対して、作業療法士は自分達の仕事をちゃんと伝えることも、必要です。それが判っていないから臨床の作業療法士はどんどん機能訓練に引っ張られてしまっている。本当はこうした事は、作業療法士協会がもっと早期からやらなくちゃいけなかったんですが。

 

今は、作業療法士・国家試験の内容は「精神」と「身障」ではっきりと分かれてしまっていますから、養成校もそれに合わせて教育してしまう。完全に悪循環にハマってしまっていますよね。

 

目次

【第一回】作業療法士協会に”喝”! 会長候補者選挙に出た理由

【第二回】PT協会のコバンザメはやめよう。政治家輩出を考える

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