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テクノロジーで運動の「定着」までコミットする【リハサク 近藤慎也】

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理学療法士と関わっている時間”外”の過ごし方が重要なのは言うまでもない。自主トレーニングの実施率はリハビリの効果に大きく関わってくる。

 

一方で、患者さんからは「自分でやった場合は効果が低そう」「運動内容を忘れてしまった」といった理由で、なかなか理学療法士の思惑通りにはいっていないという現状がある。

 

この課題を解決すべく、理学療法士の近藤慎也さんは一昨年、運動指導支援ツール「リハサク」を立ち上げた。

 

リハサクを利用すれば、診断名や症状を選択すると、それに応じた運動療法が表示され、わずか30秒で自主トレーニングの処方が可能である。

 

近藤さんがリハサクを立ち上げたキッカケ、テクノロジーにおける理学療法の可能性についてお話を伺った。

 

 

サクサクっと運動処方

 

ー リハサクのサービスについて教えてください。

 

近藤 リハサクは、自宅で行うリハビリメニューの作成・支援するサービスです。リハサクに患者さんの症状を入力すると、概ね400種類ほどの運動療法から適切なものが表示されます。

 

動画やテキストの形で、プリントアウトまたは患者のスマートフォンなどに共有することで、患者さんは自宅に帰った後、指導された運動を忘れてしまっても、見直すことができます。

 

また、痛みの変化や運動の実施状況が記録されるため、理学療法士と患者双方で運動量を確認することができます。

 

 

現場の理学療法士は、皆多忙で、業務に追われており、1人1人の患者さんに対して自宅で行う運動を指導する時間を確保することは難しいという現状にあります。

 

そのため十分な情報伝達ができずに、誤った方法が伝わってしまったり、患者さんが運動を忘れてしまったりする。リハサクではこういった課題を解決できると思っています。

 

ー 個々の理学療法士が考えたオリジナルなものだったり、指導したい運動メニューがなければ使えないのでしょうか?

 

近藤 リハサクで予め準備していない運動も、ユーザー各々で運動を撮影していただければ、リハサクにアップロードし、運動メニューをカスタマイズすることができるようになっています。

 

他院でも使った方がいいような運動であれば、動画をユーザーが見やすいように弊社で撮影・編集し、全体に反映致します。コミュニケーションを取りながら、常にアップデートしていき、より充実したサービスにしていきたいと考えています。

 

 

ー 実際、自主トレーニングを管理できるようになるだけで、患者さんは自宅で運動するようになるのかというところが気になるところです。

 

近藤 今利用している患者さんの継続率を見ていると1ヶ月以上継続してくれる患者さんは3割います。一方で、4割の患者さんは4日以上続けてくれているが、1ヶ月以内に離脱してしまっています。このあたりを解決する施策を開発中です。

 

ただ、このあたりはどれだけテクノロジーを駆使しても完全には解決しない問題だと捉えていて、運動のモチベーションを上げるとか行動変容に繋げるというところは人の力が必要です。

 

最後のもうひと押し、運動を勧める声掛けなどで理学療法士の専門性を発揮していただきたいと思っています。

 

ー マネタイズはどのような仕組みになっているのでしょうか?

 

近藤 導入いただいた病院・施設から月額で使用料をいただくtoB向けサービスです。導入によって、運動療法の実施率が上がれば、患者の治療効果が上がるので、評判が向上し、集客力に貢献できます。特に、マーケティング手段が限られた医療業界においては、経済メリットは大きいと考えています。

 

リハサク立ち上げの原体験

 

ー リハサクを立ち上げるまでの経緯を教えてください。

 

近藤 私が、新卒で8年間務めた船橋整形外科病院は、セカンドオピニオン・サードオピニオンで来院する患者さんが多い事が特徴です。

 

他の病院でもリハビリを受けているはずなのに、なかなか良くならずにうちの病院を訪れる。なぜ良くならないかを考えた時に、運動療法が定着していないからだと考えました。

 

私は、理学療法士の個々の技術差というのはそこまでないと考えています。他の職種と比べてみても、休みの日に講習会に参加したり、勉強熱心な方が多いですし、リハビリの効果は理学療法士の腕よりも、患者さんの日頃の運動習慣が大きく影響していると考えました。

 

 

海外の報告では、術後に病院のリハビリを実施した群と自宅でのリハビリを実施した群で比較した時に、自宅でも同等の効果を期待ができるということが分かっています。

 

しかし、臨床現場で患者さんに「前の病院ではどんなリハビリをしていましたか」、「家でどんな運動やっていますか」と質問すると、運動療法を自宅で行なっている患者さんはほとんどいませんでした。徒手療法や物理療法メインでやっているところが多かったんですね。

 

船橋整形外科病院では、運動指導を理学療法士も行いますが、アスレティックトレーナーが中心となって指導しています。理学療法士の役割は、評価しリハビリメニューの立案をするところに重きが置かれています。

 

トレーナーが運動指導を丁寧に行える環境にあるからこそ、患者が自宅に帰った後も、運動を実施し、リハビリの効果を上げることができてきたのだと思います。

 

ただし、他の病院や施設でもトレーナーを雇うことは、経営的な理由でなかなか難しいと思います。テクノロジーを使えば、雇用型の負担なく運動療法を広めることができ、良くなる患者さんも増えるだろうと思いました。

 

週1リハの転換期

 

ー 整形外科クリニックで、だいたい週に1回20分の介入になってくるので、それだけで効果を出すのは中々難しいのかもしれません。

 

近藤 そうですね。今後、少子高齢化で保険診療が縮小してくることを考えると、リハビリに通える回数が減り、2週間に1回や3週間に1回での介入でも、結果を出すことが求められてくると思います。

 

そうなってきた時に、今までと同じようなやり方で理学療法を提供していては、生き残っていけません。効果が出せなければ「理学療法って意味ないよね」と、保険点数から外されてしまう可能性もあります。

 

費用対効果で考えると、運動療法は不可欠になってきます。研究ベースでも運動療法が重要という見解はワールドスタンダードです。

 

僕がリハサクを作ったのは、理学療法士業界全体の価値を高めていきたいというのもあります。「リハビリ業界に花を"咲か"せる」というのがリハサクの由来になっています。テクノロジーの力で、今まで取得が難しかったデータ・定性的だったデータをエビデンスとして出していきたいと思っています。

テクノロジーで運動の「定着」までコミットする【リハサク 近藤慎也】

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