国立障害者リハビリテーションセンター研究所と東京大学などの共同研究グループは、軽いジョギング程度の運動中、足の着地時に頭部に伝わる適度な衝撃により、脳内の組織液が動き、神経細胞に物理的な刺激が加わり、神経細胞でタンパク質の分布が変わることが、大脳皮質における薬剤誘導性の幻覚反応の抑制につながることを発見した。
▶︎ http://www.rehab.go.jp/hodo/japanese/news_2019/news2019-03.pdf
これまで、運動が脳機能の予防・治療に極めて重要であることはわかっていましたが、運動が脳の健康を維持する仕組みはよく分かっていなかった。 また、脳に限らず、運動は身体のほとんどすべての臓器・組織において炎症・老化を抑制す る効果があることはわかっていましたが、その仕組みもよく分かっていなかった。
本研究にて、
①軽いジョギング程度の運動を 1 日 30 分間で 1 週間続けたマウスでは、前頭前皮質(大脳皮質の一部)において高用量のセロトニンにより誘導される幻覚反応が抑制されること、
②麻酔したラットの頭部を、1 G の衝撃がリズミカルに加わるように、毎秒 2 回上下動させると、脳内の組織液が秒㏿約1ミクロン で主に前後方向に流れ、これを1日 30 分・1 週間続けると、前頭前皮質におけるセロトニン誘導性の幻覚反応が抑制されること。
③1 日 30 分間・1 週間の運動を続けたマウスと、1 日 30 分間・1 週間の受動的頭部上下動を与えたマウスでは、幻覚反応に関係する前頭前皮質の神経細胞におけるセロトニン 2A 受容体が細胞表面から細胞内部に移動しており、セロトニンに対する応答性が低下したこと。
が分かった。