Q. 50歳の男性。右足先が上がらないことを主訴に来院した。昨夜、泥酔して右脚を 上にして脚を組んだ状態で寝込んでしまったところ、今朝、目覚めたときに右の足 関節を背屈できなくなっていた。徒手筋力テストでは、左下肢はすべて正常、右下肢では膝関節の屈曲伸展と足関節の底屈とは正常、足関節の背屈は2と低下してい る。右下腿外側と足背とに感覚低下を認める。下肢の腱反射は左右とも正常である。 障害されているのはどれか。
①大腿神経
②閉鎖神経
③坐骨神経
④脛骨神経
⑤総腓骨神経
答えは⬇︎
・
・
・
・
・
⑤です。「右脚を上にして脚を組んだ状態で寝」てしまっており、膝関節の背面を通る総腓骨神経が圧迫されて麻痺されている状態が考えやすい。総腓骨神経は前脛骨筋を支配しており、足関節を背屈できないことも合致する。また、総腓骨神経はL5神経根に含まれるため、右下腿外側と足背に感覚低下があることも矛盾しません。
①…大腿神経麻痺では股関節の屈曲や膝関節の伸展が障害される。また、下肢内側に感覚障害が出現する。
②…閉鎖神経麻痺では股関節の内転が障害される。また、大腿内側に感覚障害が出現する。
③…坐骨神経麻痺では足関節の背屈の他、足関節の底屈や膝関節の屈曲も障害される。また、下腿前後面と外側に感覚障害が出現する。
④…脛骨神経麻痺では足関節の底屈が障害される。また、足底と下腿後面に感覚障害が出現する。