僕が大学PT学科を中退してドイツへ拠点を移した理由【荒岡 修帆】 

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ドイツのプロサッカークラブ、RBライプツィヒの下部組織でコーチをしている荒岡修帆(24)さんは、もともと首都大学東京の理学療法学科に通っていた。大学2年で中退し、ドイツに渡った荒岡さんに当時の心境やこれからのビジョンについて伺った。

PT資格を取得してから行く方が、むしろ不安だった

 

ー 荒岡さんははじめ日本で理学療法士になるための大学に通っていたそうですが、ドイツに移とうと思ったのはどういった経緯だったのでしょうか?

 

荒岡:きっかけは大学2年の夏休みにヨーロッパを1人旅したことです。

 

そこで目の当たりにしたのは、今まで想像したこともなかった多様性に富んだ世界でした。当時19歳で、世の中を知った気になっていた僕は、そんな常識の通用しない世界に強く惹きつけられました。そしていつかはその中で暮らしてみたいと思うようになりました。

 

話が急展開したのは半年後の春休みです。夜中にふと将来のことを考えると、ヨーロッパで暮らすのが目的なら、今から留学するのも手段としてアリなんじゃないかという案が浮かんできて、その夜はほぼ徹夜で調べまくりました。

 

ドイツで大学に入り直せることを数日かけて各所で確認して、約1ヶ月半後には日本から飛び立ちました。

 

ー 日本でPTの資格を取得してから行くという選択肢もあったと思うのですが、大学を途中で辞めるのに不安はありませんでしたか?

 

荒岡:僕の中では、むしろ日本でPTの資格を取得してから行くという方が不安が大きかったです。

 

というのも、もともとはPTになってからスペインとかにトレーナーとして行きたいなと思っていたのですが、大学在学中に出会えたPTの方々を見てると、PT免許も運転免許と同じなんだなと思って、そうなるといつになったらヨーロッパで戦えるのかなと…。

 

それなら現地の大学に入って学生期間を文化や言語に慣れる猶予として使う方がより確実なのかなって。何故だか知らないですけど、本来不安を感じるはずの言語習得には妙な自信があったんですよね。

 

ー ちなみにどうしてドイツを選んだんですか?

 

荒岡:スポーツ科学、サッカー、滞在許可の得やすさの3つの条件を考えたときにベストだと思ったのがドイツだったといった感じです。あとは学費が無料だったことやタレント育成の評判が良かったことも僕の中では大きかったです。

 

U-9のチームで学んだこと

 

ー ドイツに来て3年半経ち、現在大学の最終学年の学生だそうですが、それでもブンデスリーガのRBライプツィヒのU-9チームでコーチに選ばれた経緯はどういったものだったのでしょうか?

 

荒岡:ライプツィヒだと、現地で活動している日本人は少ないので、それだけで単純に目につきやすいんです。LinkedInというビジネス特化型のSNSに登録しているだけでも色々とメッセージが送られてきますし、人伝いにどんどん噂が広がっていきます。

 

RBライプツィヒに関われたのも、大学の先生に繋いでもらえたのがきっかけです。最初は見学から始まったのですが、唯一の日本人というステータスが無ければそもそもスタートラインにすら立てなかったと思います。その後は1年間インターンとして関わり、今シーズンにU-9のコーチの枠が空いたので、僕に声がかかったという流れになります。

 

ー RBライプツィヒで9歳以下の子供たちに指導する上で、荒岡さんが大切にしていることはどんなことがありますか?

 

荒岡:何かを決めつけないことですかね。子どもたちの可能性を指導者が狭めてしまうことほど残念なことはないと思います。

 

未発達で可能性に満ち溢れているからこその自由な発想や表現を見守って支えてあげる。そんな関わり方を常に意識しています。

 

 

ー 9歳以下という年代に関わってよかったと思うことはありますか?

 

荒岡:人としてのあり方やドイツ語に向き合うにはとても良かったと思っています。例えば、U-14とかだと僕の指導者としての振る舞いやドイツ語が不十分だったとしても、僕が発した情報をもとにどんな内容か想像した上で全力で取り組んでくれます。そうすると気付かないうちに自分の実力を過信してしまっていたのかなと。

 

一方で8歳や9歳の子どもたちだと伝わらなかったらやってもらえないですし、そもそも人として尊敬してもらえないと話すら真剣に聞いてもらえません。

 

正直なところ今でも苦戦していますが、これを乗り越えたときに初めてドイツ人と同じ土俵で戦えるようになるのかなと思っています。

 

その時の感情に従えばいい

 

ー 今後のキャリアプランについて教えてください。

 

荒岡:卒業後の次のステップとしては、RBライプツィヒでフィジカルコーチとして活動したいっていうのがまずは一番です。ただ外国人局が定める基準を満たすだけの収入を得られなければ滞在許可を取得することができないので、その場合は大学院の学生として滞在していくつもりです。

 

一度レールを外れた今は、面白いプロジェクトと最低限の安全さえあれば生活するのはどこでもいいと思っていて、現時点ではやりたいことがヨーロッパ、そしてドイツにあるのでしばらくはこっちにいるのかなと。

 

ただ日本でもやりたいことはあるのでいつかは日本に戻るのかなと思っています。

 

ー キャリアを考える上で大切にしていることはありますか?

 

荒岡:自分の感情に素直になることですかね。

 

正直なところ今の生活において先のキャリアなんて考えられません。考えたところで出来ることは限られていますし、自分の経験や時代の移り変わりとともに見えるものは常に変化していきます。

 

そのため日々の生活をどれだけおもしろいと感じれるかが僕にとっては重要です。もちろん得たいものを掴み取るためにストレスを抱えることもあります。

 

ただ何かしらおもしろいと思える要素を見出せない限り何事も続きません。だからこそ自分の感情をよく知っておく。そして目の前に岐路が現れたときにはその時の感情を基準に進んでいく方向を決める。人生なんてそんな選択の繰り返しでしかないのかなと思っています。

 

あとは自分の感情以外にどれだけ人生におけるコンパスが増えていくか。それだけは想像もつきません。

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