皆さん、こんにちは。
火曜日担当の藤本裕汰です。
最近はコロナの影響で様々なことを自粛し、ストレスが溜まっている場面も多いと思います。
今できることをしっかりとやって、乗り越えていきましょう!
前回は後頭下筋について書いていきました。その中で頸部のパターン化しやすい上位交差症候群について説明しました。
本日は下肢のマッスルバランスである下位交差症候群について解説していきたいと思います。
ヤンダのマッスルインバランスの分類
マッスルインバランスとは疼痛・機能障害・変性などから、抑制あるいは筋力低下と緊張あるいは短縮により生じる筋機能不全を指すと言われています(Janda V,1987)。また、マッスルインバランスはいくつかの筋が筋力低下や筋緊張を呈する訳ではなく、マッスルインバランスのパターンがあると報告されています(Janda V,1983)。
つまり、マッスルインバランスは疼痛や機能障害により生じやすい不良姿勢のことを指します。
マッスルインバランスの典型的パターンとしては大きく3つ挙げられています。
①上位交差症候群
②下位交差症候群
③層状症候群
に分けられます。
前回説明した、上位交差症候群と今回解説していく下位交差症候群と2つの特徴が複合した層状症候群になります。
それではここから下位交差症候群の説明をしていきます。
下位交差症候群
下位交差症候群では脊柱起立筋・腸腰筋の硬さと腹筋群・大殿筋の筋力低下が特徴です。アライメントは骨盤前傾、腰椎前弯の増強、腰椎外側偏位、下肢の外旋、膝の過伸展の姿勢を呈します(Page P,2013)。
細かく書いていますが、反り腰の人がこれに当たります。
このパターンが多いため、介入を行う際にあらかじめ推測しておくと評価や治療もスムーズに行うことが可能となります。
介入
臨床上、上位交差症候群や下位交差症候群のパターンを呈する方は多いと思います。
簡単に考えると介入の方法としては
硬くなりやすい筋→伸張する
弱くなりやすい筋→強化する
というイメージになります。
しかし、マッスルインバランスの考え方では抑制・筋力低下・緊張・短縮を考えることが重要になります。
赤坂4)によると筋の緊張が強くなり、筋力低下を生じた場合に筋力強化を実施すると筋緊張を亢進させ、筋力低下を増悪させると言われています。
そのため、緊張した筋をリリース・ストレッチ行うよりも筋の粘弾性の改善や緊張・短縮と関連する筋の抑制・筋力低下を改善させることが重要になります。
言葉では分かりにくいため、例を出すと
ハムストリングスの硬さ→ハムストリングスのストレッチ
と考えるのではなく、
ハムストリングスの硬さ→大殿筋の筋力低下による代償→大殿筋の強化
と考えることが必要になります。
それぞれ、抑制・筋力低下・緊張・短縮を評価して進めることが重要になります。
本日は下位交差症候群について説明しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
少しでも活かして頂けると幸いです。
【参考文献】
1) Page P,Frank CC,Lardner R:ヤンダアプローチ マッス ルインバランスに対する評価と治療.小倉秀子(監訳),三輪書店,2013
2) Janda V: Muscles and motor control in low back pain: assessment and management. In: Physical therapy of the low back, Twomey LT (ed.), Churchill Livingstone, 253-278,1987
3) Janda V: On the councept of postural muscles and posture. Austr J Physiother, 29: 83-84,1983
4)赤坂清和:マッスルインバランスに対する評価と理学療法.理学療法科学 22(3):311–317,2007