ヒトの起源を辿ることで、今の社会や経済を紐解く
アフリカで暮らしていた取るに足りない生物であったホモ・サピエンスは、なぜ食物連鎖の頂点に立ち、文明を打ち立て、地球を支配するまでに至ったのだろうか?
本書では、その鍵がホモ・サピエンスの「虚構」を信じる能力にあるとする。国家、宗教、企業、貨幣、法律、自由など、私たちが疑いもなく信じている概念は、みなすべて実体のない虚構だ。虚構は見知らぬ者同士が協力することを可能にし、複雑で高度な社会をもたらしたのである。
近代に至って文明が爆発的な進歩を遂げたのはなぜか? それは帝国に支援された科学技術の進歩にともなって、「未来はより豊かになる」という、将来への信頼が生まれ、投資を加速させる「拡大するパイ」という資本主義の魔法をもたらしたからだ。
では、サピエンスが打ち立てた文明は、個々の人間を幸福にしたのだろうか? 歴史は正義と無関係に進む。農耕社会は狩猟採集生活よりも厳しい生活を人類に強いた。文明は男女格差や人種差別をもたらし、国家や市場は個人の自立と引き換えに家族やコミュニティを破壊してしまった。現代人は飽くなき消費主義という欲望の奴隷となっている。
そして今、ホモ・サピエンスは何を望み、どこへ向かおうとしているのだろうか? テクノロジーはあなたをどのような世界に連れて行くのだろうか? ホモ・サピエンスの過去、現在、未来を俯瞰するかつてないスケールの大著、ついに邦訳!
著者のユヴァル・ノア・ハラリ氏がTIME誌に寄稿した「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか」も、一読することをおすすめします。「人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。」とあります。歴史が、私たちの向かう行き先を教えてくれます。
日本の靴を米国へ。度重なる危機を乗り越えてー。
日本で作られた靴をアメリカで売る。1960年代に米国の誰もが笑うような夢を抱き、著者は日本に渡る。
本書は世界的なスポーツブランドに成長した「ナイキ」の創業物語。夢が叶い、オニツカの靴をアメリカで販売する権利を得て、事業を広げるが、オニツカとの関係が次第に悪化し、資金繰りが苦しくなる。現地の銀行もさじを投げ、倒産寸前に追い込まれた窮地を救うのが、商社の日商岩井だ。日本企業に裏切られ、別の日本企業に救われる。日本との関係の深さに驚かされる。
タイトルの「SHOE DOG」とは靴の製造や販売に命を懸ける人々を指す。ナイキの立ち上げに関わった面々は誰もがSHOE DOGだ。チームに天才は一人もいない。情熱に勝る能力がないことを教えてくれる。
人間とはなにかをつねに決定する存在だ。
ユダヤ人精神分析学者がみずからのナチス強制収容所体験をつづった本書は、わが国でも1956年の初版以来、すでに古典として読みつがれている。著者は悪名高いアウシュビッツとその支所に収容されるが、想像も及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、ついに解放される。家族は収容所で命を落とし、たった1人残されての生還だったという。
著者は学者らしい観察眼で、極限におかれた人々の心理状態を分析する。なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。こうした問いを突きつめてゆくうち、著者の思索は人間存在そのものにまで及ぶ。というよりも、むしろ人間を解き明かすために収容所という舞台を借りているとさえ思えるほど、その洞察は深遠にして哲学的である。
「生きることからなにを期待するかではなく、……生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題」というような忘れがたい一節が、新しくみずみずしい日本語となって、随所に光をおびている。本書の読後感は一手記のそれではなく、すぐれた文学や哲学書のものであろう。
◆ 編集部コメント
ナチスの話と聞くと、どうしてもヘビーな気持ちになり、なかなか敬遠してしまうかもしれません。しかし、それでもこの書籍が今尚、人を引きつけているのは「人生とは何か」を問う内容だからです。生きる意味とは?人に問うことでも、教えてもらうことでもありません。私たち自身が日々問われていて、これに答える義務を引き受けることが生きることなのです。
100歳になった自分が、いまの自分をどう見るかを考える。
◆ 概要
誰もが100年生きうる時代をどう生き抜くか。
働き方、学び方、結婚、子育て、人生のすべてが変わる。
目前に迫る長寿社会を楽しむバイブル。
第1章 長い生涯――長寿という贈り物
第2章 過去の資金計画――教育・仕事・引退モデルの崩壊
第3章 雇用の未来――機械化・AI後の働き方
第4章 見えない「資産」――お金に換算できないもの
第5章 新しいシナリオ――可能性を広げる
第6章 新しいステージ――選択肢の多様化
第7章 新しいお金の考え方――必要な資金をどう得るか
第8章 新しい時間の使い方――自分のリ・クリエーションへ
第9章 未来の人間関係――私生活はこう変わる
終 章 変革への課題
◆ 編集部コメント
このコロナの時代に、これからどうやって生きていくか、改めて人生設計について考え直すいい機会だと思います。定年制が廃止され、70代、80代でも働ける社会に備えるためにはどうすればいいか。価値観が変わる一冊です。
嫌いな自分を肯定するには? 自分らしさはどう生まれるのか?
第1章 「本当の自分」はどこにあるか(教室の中の孤独;小説にのめり込む ほか)
第2章 分人とは何か(私たちを苦しめる矛盾;分人とは何か ほか)
第3章 自分と他者を見つめ直す(悩みの半分は他者のせい;他者もまた、分人の集合体 ほか)
第4章 愛すること・死ぬこと(「恋愛」、つまりは「恋と愛」;三島と谷崎の「恋」と「愛」 ほか)
第5章 分断を超えて(遺伝要因の影響;トリミングの弊害 ほか)
◆ 編集部コメント
他四冊とは毛色が違いますが、独断と偏見で「これはリハ職にこそぜひ読んで欲しい」と思い滑り込ませました。筆者が提唱している「分人主義」という考え方はリハビリテーションのヒントになると思います。まずは下のTED TALKを観てみるのもオススメします。