生理がはじまってから20年以上健康だと思えたことがない
熱海先生:はじめは全然女性に関わる仕事をしたいとかいう考えはなかったですね。1年目の時に勤めたのが整形外科クリニックで、高齢者から子供まで結構幅広くいろいろな人を診てました。
周りにけっこうオフィスが多かったのもあって、なんとなく女性のOLの方やビジネスマンも結構多かったと思います。そのとき勤めていた病院は、患者さんがどのPTに診てもらいたいかを選べるっていうシステムでした。指名制ということですね。
受付に、名前と写真が貼ってあるボックスがあって、そこに番号札を入れてもらうっていう。初診時はランダムに担当するようになっているんですけどやっぱり人気があるPTは支持されていて、1年目のころとかは初診時に担当していた患者さんでも、気が付いたら上司に担当が変わっていたりと…と苦い経験は何度もしましたね。
ウーマンズヘルスの分野に興味を持ったきっかけになったのはある患者さんとの出会いですね。最初首が痛いということでクリニックに来院されたんですけど、いろいろ聞いていると月経前症候群(PMS)の方で。
その後、担当するようになったんですが、生理周期で調子が全然違ったんです。年齢的にも30代後半くらいでホルモンバランスが急激に変わる時期だったのもあると思いますが不調が強く出始めていたんだと思います。
生理周期で首が固まったり腰が痛くなると言っていました。さらに、掘り下げていくと「生理が始まってから20年以上身体が健康だと思えたときがない。
スッキリ過ごせたことがない。毎月生理が来るたびに苦しむ」って話していました。
毎日月経のことが頭の片隅にあって、いつもそれを気にしながら生活を送っていかなければならないなんで本当に辛いことですし、人によってなんでこんなに差が出てしまうんだろう…って思ってとにかく、なんとかよくしてあげたいと思いました。
依存
熱海先生: もちろんずっと人生通して診ていけるわけじゃないし、依存させちゃいけないなっていうのを考えますよね。
自分で自分の身体をコントロールできるように介入していくようにっていうのをいつも念頭にいれて患者さんやクライアントさんを担当するようにしています。
患者さんとリハビリ職種の関係って、頼る側と頼られる側に分かれてしまいがちですよね。そうなると整形クリニックだとずっとだらだら通い続けてしまう。でもそれじゃ自分の身体をコントロールできていない。
どういうタイミングで不調になるか向き合うきっかけを作れたらと思って介入していました。生理周期に合わせて腰が痛くなったりしたら整骨院。それで一回とりあえずケアして、悪くなったらまた・・っていうサイクル。結局それって対処療法でいつになっても変わらない。
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